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あんばい
ふりがな文庫
“
按配
(
あんばい
)” の例文
各防寨の内側では、居酒屋や門番小屋などが衛舎に変わっていた。その上この暴動は、きわめて巧妙な戦術によって
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(
あんばい
)
されていた。
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
ふふ、京伝という男、もうちっと
気障
(
きざ
)
気たっぷりかと思ったら、それ程でもなかった。あの
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(
あんばい
)
じゃ、少しは面倒を見てくれるだろう。
曲亭馬琴
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
と、敬称している三人の
優
(
すぐ
)
れた子があり、
麓
(
ふもと
)
のあちこちには、百戸、二百戸、また六、七百戸といった
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(
あんばい
)
に、部族部族の村があった。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
しかし宇乃は榾火の
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(
あんばい
)
や、串を廻す
間
(
ま
)
をよく教えてから、そこを出て隠居所へ戻った。——客というのは、奥山大学であった。
樅ノ木は残った:04 第四部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
ただ眼のさきが、もやもやして、心臓がコトコトと響を立てて躍っているみたいな
按配
(
あんばい
)
で、あれは、まったく、かなわない気持のものだ。
パンドラの匣
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
▼ もっと見る
モンタージュまた一つの場面の推移をはこぶコマ数の
按配
(
あんばい
)
、テンポの緩急といったようなものに対する画家の計画には、ちょうど映画監督
山中常盤双紙
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
そして地べたに
茶飲茶碗
(
ちゃのみちゃわん
)
ほどの——いやもっと小さい、さかずきほどの
穴
(
あな
)
をほりその中にとってきた花をいい
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(
あんばい
)
に入れる。
花をうめる
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
それをどういうふうに
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(
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)
したらいいのか——そうしてしばらくのあいだ、それぞれに割付けねばならない、役割の事で悩まねばならなかった。
白蟻
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
その中で水蒸気の自然対流を適当に
按配
(
あんばい
)
して結晶を作って見ると、わけなく天然のものに負けないような
綺麗
(
きれい
)
な雪の結晶の片割れが出来たのである。
雪を作る話
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
又は
造物
(
つくりもの
)
、
床几
(
しょうぎ
)
等を出したり入れたり
按配
(
あんばい
)
したりする加減に注意するので、そんな仕事のない能では、初めからしまいまで唯座っているきりである。
能とは何か
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
蝶子の姿を見ると柳吉は「どや、ええ
按配
(
あんばい
)
に煮えて来よったやろ」長い
竹箸
(
たけばし
)
で鍋の中を
掻
(
か
)
き廻しながら言うた。
夫婦善哉
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
有名なる夜会の事とて一千有余名の来賓に
充
(
あ
)
つるその献立の
如何
(
いか
)
に
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(
あんばい
)
され、
厨人
(
ちゅうじん
)
の如何に苦心せしやは料理法に重きを置かるる者の等しく知らんと欲する
処
(
ところ
)
ならん。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
叙述の
曖昧
(
あいまい
)
な点はこれを明快な描写となし、資料が断片的な場合は不完全な類話を巧みに
按配
(
あんばい
)
して無縫の天衣を織りだしたのではあるが、総じて提供せられた材料には
『グリム童話集』序
(新字新仮名)
/
金田鬼一
(著)
昨夜は十二時頃に雨が少し降った様子であったが、朝見ると好い
按配
(
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)
に晴れていた。
奥秩父の山旅日記
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
「そうか。まず、誰にも見付からなくて、いい
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(
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)
だったな」
地球要塞
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
健作——いい
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(
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)
だったな、天気がよくて(立ちどまる)
探偵戯曲 仮面の男
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
「ウム、空模様さえよければ、夜旅をかけて
矢走
(
やばせ
)
の
渡船
(
わたし
)
に夜を
更
(
ふ
)
かすのもいいが、この
按配
(
あんばい
)
では危なッかしい……」
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
盃というのは二つだけ、あとの者は湯呑で、飲めない与平と他の二人が、量の
按配
(
あんばい
)
をしながら酌をしてまわった。
さぶ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
殊
(
こと
)
にも、あの、「つくしにね、鈴虫が鳴いてるって言ってやって」以来、僕の気持は急速にはりつめて来ているような
按配
(
あんばい
)
なのだし、それにまた、君への手紙に
パンドラの匣
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
咄嗟
(
とっさ
)
に浜子の小言を覚悟して、おそるおそる上ると、いい
按配
(
あんばい
)
に浜子の姿は見えず、父が長火鉢の前に鉛のように坐って、泣いている新次をぼんやりながめながら、
煙草
(
たばこ
)
を吹かしていました。
アド・バルーン
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
「風がなくてよい
按配
(
あんばい
)
だった」
五階の窓:02 合作の二
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
「それはそうじゃ。
甚
(
はなは
)
だわしの方が損じゃ。帰ったら醤に、そういっていたと伝えてくれ。しかし神聖なるバーター・システムの
誓
(
ちか
)
いの手前、こっちでもぬかりなく
按配
(
あんばい
)
しておいたと、あの醤めにいってくれ。さあ、引取るがよろしかろう」
毒瓦斯発明官:――金博士シリーズ・5――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
そこで明晩の手筈ですが、なにしろそんな
按配
(
あんばい
)
で、ただお
身装
(
みなり
)
を変えたくらいでは、とても
露顕
(
ろけん
)
せずにはおりませぬ
鳴門秘帖:04 船路の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
何かよい容れ物があるまいかと、かっぽれは前から思案にくれていたというような
按配
(
あんばい
)
なのだ。
パンドラの匣
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
「並木町の天川だったそうだが」と大六は答えた、「それがじつは、おふくろが、やっぱりあの火事で焼け死んじまったそうで、すっかり途方にくれてるような
按配
(
あんばい
)
だったもんだから」
ちいさこべ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「なにさ、そのほうは残念ながら、まだ手懸りはねえんだが、いい
按配
(
あんばい
)
に、弦之丞様の居所がやっと分った」
鳴門秘帖:02 江戸の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
私は
聊斎志異
(
りょうさいしい
)
の中の一つの物語を
骨子
(
こっし
)
として、大いに私の勝手な空想を
按配
(
あんばい
)
し、「
清貧譚
(
せいひんたん
)
」という
短篇
(
たんぺん
)
小説に仕上げて、この「新潮」の新年号に載せさせてもらった事があるけれども
新釈諸国噺
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
客が多くてもぎっしり詰めず、ゆとりをおいて飲めるように
按配
(
あんばい
)
してあるらしい。
さぶ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
職方の配置、頭数の振りあては、持場によってちがうゆえ、それは各組の
頭
(
かしら
)
と
棟梁
(
とうりょう
)
の
按配
(
あんばい
)
にまかせおく。
新書太閤記:02 第二分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
小出さんの話のようすがどうもそんな
按配
(
あんばい
)
だったよ、あの父子のあいだでは、どうやら平五の勝ちらしい、いや、小出一族ひっくるめて、と云うほうがいいかもしれない、平五のやつ
末っ子
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
そこはお互いにいい
按配
(
あんばい
)
の事であった。
薄明
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
いい
按配
(
あんばい
)
、蜂須賀家の探りでもないらしい、行ってしまったな——と思っていると、また同じ所から
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
なんのために逢うのかわからないという
按配
(
あんばい
)
だったからだ。
屏風はたたまれた
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
久濶
(
きゅうかつ
)
の情を誇張して、いかにも親しげな表情である。もう少し弦之丞が白い歯をみせれば、その図に乗って肩を叩き、あわよくば襟首にでもからみついてきそうな
按配
(
あんばい
)
。
鳴門秘帖:02 江戸の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「——他藩との折衝が多く、それには政治的なかけひきが付きものだし、ときには幕府の重職とも交渉に当らなければならない、話術にも特別な技巧が必要だろうし、酒席の設けかたにはむずかしい
按配
(
あんばい
)
があるそうだ」
滝口
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「あの
按配
(
あんばい
)
では、さだめし斬合いになるだろうと思っていたら、イヤに馴れ合ってしまやがった」
鳴門秘帖:02 江戸の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それは私がよく
按配
(
あんばい
)
を致します。
樅ノ木は残った:02 第二部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
つづいてまたも同じような一
艘
(
そう
)
が漕ぎ寄せて来た。盧はギョッとして見廻すばかり……。何のことはない、三ぞう三ツ
巴
(
どもえ
)
に、こっちの舟へ
絡
(
から
)
み絡み漕ぎめぐっている
按配
(
あんばい
)
。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
なかなか
易々
(
やすやす
)
とは一致をみないままに、ここはお互いが、心の推移を待っているといった
按配
(
あんばい
)
に——一先ず寧子の縁談は、家庭のうちでは、打ち切られたすがたになっているのであろう。
新書太閤記:02 第二分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
しかも
拝領
(
はいりょう
)
したその刀は、
武田家伝来
(
たけだけでんらい
)
の名刀
般若丸
(
はんにゃまる
)
尺七、八寸の
丁字
(
ちょうじ
)
みだれ、抜くにも手ごろ、斬るにも自在な
反
(
そ
)
り
按配
(
あんばい
)
、かの泣き虫
蛾次郎
(
がじろう
)
がじまんする、あけび
蔓
(
づる
)
をまいた山刀などとは
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「いい
按配
(
あんばい
)
だこと、
明日
(
あした
)
もこの分で晴れてくれると嬉しいけれど……」
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「は、は、は、罪はないな。だが、そこで居眠っていちゃ危ないから、今おじさんがいい
按配
(
あんばい
)
にしてやろう、こっちへおいで、こっちへ——さあさあここならいくら寝ぼけたって腰掛から落ちる心配はない」
鳴門秘帖:04 船路の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ちょうど、いい
按配
(
あんばい
)
によりかかる物があった。
鳴門秘帖:04 船路の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“按配”の意味
《名詞》
体や物事の具合や様子。
程よく順序をならべたり、物事を処理すること。
(出典:Wiktionary)
按
漢検準1級
部首:⼿
9画
配
常用漢字
小3
部首:⾣
10画
“按”で始まる語句
按摩
按
按排
按察使
按察
按司
按腹
按針手
按摩針
按手礼