しりへ)” の例文
公子しりへより、汝等は我が夫人の手をきて同じ戲をなすことをもとむるにやといふとき、ジエンナロは直に歩をとゞめたり。
女婢こしもとしりへつゞいて、こはいかに、掃帚はうきまたがり、ハツオウとつて前後ぜんごして冉々ぜん/\としてくものぼつて姿すがたかくす。
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
そのかしらには雉尾を揷し、羊のけごろもを着け、犬に跨りて昭君のしりへに従ふ、昭君はしばしば振り回りて後髪ひかるる思ひあれば、羊裘児は情容赦もあらばこそ、鞭あげて逐ひたてゆく。
『聊斎志異』より (新字旧仮名) / 蒲原有明(著)
踏み轟かす道人餡餅あんもち腹にりて重量おもみを増したるにや兎角にしりへさがる露伴子は昨年此道中を
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
あひおもはぬひとおもふは大寺おほてら餓鬼がきしりへにぬかづくごとし 〔巻四・六〇八〕 笠女郎
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
しりへよりみの毛をさはらす、熊又まへにすゝむ。又さはり又すゝんで熊つひには穴の口にいたる。これをまちかまへたる猟師れふしども手練しゆれん槍尖やりさきにかけて突留つきとむる。一槍ひとやりあやまつときは熊の一掻ひとかきに一めいうしなふ。
あなと、くらめば、しりへより、戞戞戞かつかつかつだくふませ
第二邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
森の祖母君は徒歩して俊の轎のしりへに従つた。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
その立たむしりへより幸でまさね
が子にか、しりへのかたに
泣菫詩抄 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
われ眼を閉ぢ耳をおほひ、心に聖母を念じて、又まぶたを開けば、怖るべき夫人の身は踉蹌よろめきてしりへたふれんとす。そのさま火焔の羽衣を燒くかとぞ見えし。
ゆめのごとしりへるるせうふし
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
我はあまりの嬉さに、西班牙スパニアいしだんを驅け上りて、ペツポのをぢに光ある「スクウド」一つ抛げ與へ、そのアントニオの主公だんなと呼ぶ聲をしりへに聞きて馳せ去りぬ。
しりへより
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)