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徃復
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わうふく
仕方がないから、
猶三四
回書面で
徃復を
重ねて
見たが、
結果はいつも
同じ
事で、
版行で
押した
樣に
何れ
御面會の
節を
繰り
返して
來る
丈であつた。
鬼怒川を
徃復する
高瀬船の
船頭が
被る
編笠を
戴いて、
洗ひ
曝しの
單衣を
裾は
左の
小褄をとつて
帶へ
挾んだ
丈で、
飴は
箱へ
入れて
肩から
掛けてある。
河面は
対岸の
空に
輝く
朝日ビールの
広告の
灯と、
東武電車の
鉄橋の
上を
絶えず
徃復する
電車の
燈影に
照され、
貸ボートを
漕ぐ
若い
男女の
姿のみならず
宗助の
此處を
訪問したのは、十
月に
少し
間のある
學期の
始めであつた。
殘暑がまだ
強いので
宗助は
學校の
徃復に、
蝙蝠傘を
用ひてゐた
事を
今に
記憶してゐた。
宗助は
一封の
紹介状を
懷にして
山門を
入つた。
彼はこれを
同僚の
知人の
某から
得た。
其同僚は
役所の
徃復に、
電車の
中で
洋服の
隱袋から
菜根譚を
出して
讀む
男であつた。