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こさい
ふりがな文庫
“
巨細
(
こさい
)” の例文
之に
勢
(
いきおい
)
づいた山田は感激に満ちて
滔々
(
とうとう
)
と述べた、如何に無道徳で、如何に残酷で、如何に悲惨であるかを、実例を引き引き
巨細
(
こさい
)
に訴えた。
監獄部屋
(新字新仮名)
/
羽志主水
(著)
事に大小は有ッても理に
巨細
(
こさい
)
は無い。痩我慢と云ッて侮辱したも丹治と云ッて侮辱したも、帰するところは
唯
(
ただ
)
一の
軽蔑
(
けいべつ
)
からだ。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
そして、その捕縛を命じておくと、なにより香箱の行くえをと、右門はただちに仕掛けの壁をあけるべく、
巨細
(
こさい
)
にその構造を点検いたしました。
右門捕物帖:09 達磨を好く遊女
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
かく多量の血を一度に吐いた余は、その暮方の光景から、日のない真夜中を通して、明る日の天明に至る有様を
巨細
(
こさい
)
残らず記憶している気でいた。
思い出す事など
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
肉体の関係ということにもいろいろある佐助のごときは春琴の肉体の
巨細
(
こさい
)
を知り
悉
(
つく
)
して
剰
(
あま
)
す所なきに至り月並の夫婦関係や恋愛関係の
夢想
(
むそう
)
だもしない密接な縁を
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
▼ もっと見る
なおその外、例の件に就きても、ぜひ親しく
巨細
(
こさい
)
に御相談致し、併せて貴女の御説明をも承りたく存じ候。
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
馬琴の人物行状の
巨細
(
こさい
)
を知るにはかれの生活記録たる日記がある。この日記はイツ頃から附け初めイツ頃で終わってるか知らぬが、今残ってるのは晩年の分である。
八犬伝談余
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
推察し得なかった数人の人たちの仲間に倉地がはいって始め出した秘密な仕事の
巨細
(
こさい
)
をもらした。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
モーナルーダオは前記の三人と毎日のようにこの耕作小舎に集っては、暴動を起すべき時期、順序、銃器の入手方法、料食の貯蔵法など、
巨細
(
こさい
)
にわたって、計画を
樹
(
た
)
てて行った。
霧の蕃社
(新字新仮名)
/
中村地平
(著)
お貞は聞きつつ
微笑
(
ほほえ
)
みたりしが、ふと立ちて店に
出
(
い
)
で
行
(
ゆ
)
き、往来の左右を
視
(
なが
)
め、
旧
(
もと
)
の座に帰りて
四辺
(
あたり
)
を
眗
(
みまわ
)
し、また板敷に伸上りて、裏庭より勝手などを、
巨細
(
こさい
)
に見て座に就きつ。
化銀杏
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
くだらない者共だと忌々しながら、主膳はそのあいつらの言うことを、
巨細
(
こさい
)
いちいち耳に受取らないわけにはゆかない立場に置かれてある。その無遠慮な隠亡共の問答の一ふし——
大菩薩峠:38 農奴の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
その言う通りに切り開いて、二
面
(
めん
)
の琵琶の胴を作らせたが、その
面
(
おもて
)
には自然に白い
鴿
(
はと
)
があらわれていて、羽から足の爪に至るまで、
巨細
(
こさい
)
ことごとく備わっているのも不思議であった。
中国怪奇小説集:08 録異記(五代)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
これ程
巨細
(
こさい
)
に知る為には、小山田家の召使を買収するか、彼自身が邸内に忍込んで、静子の身近く身をひそめているか、又はそれに近い
悪企
(
わるだく
)
みが行われていたと考える外はなかった。
陰獣
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
ハルトアン氏はコペンハーゲン地区検事を務めて、直接事件の捜査に当ったわけではないが、検察当局の責任者として、事件の報告は
巨細
(
こさい
)
となく受けている身であった。したがって
グリュックスブルグ王室異聞
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
これら狂い荒れるざわめきのもとで、私は思い出す——この寄怪な荒々しい、生涯に一あって二とない一日の
巨細
(
こさい
)
を。そして私は自分が実際気が狂ったか、または別人になった思いがする。
妻
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
糺
(
たゞ
)
すに同人も
今更
(
いまさら
)
陳
(
ちん
)
ずる事能はず
今宵
(
こよひ
)
の事共白状なしけるにぞ一々
口書
(
くちがき
)
を取り翌朝町奉行大岡越前守殿役宅へ
送
(
おく
)
りに相成たり是に因て油屋五兵衞よりは右の始末を
巨細
(
こさい
)
に認め五郎藏の
死骸
(
しがい
)
檢使
(
けんし
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
大名や幕府役人の全部について
巨細
(
こさい
)
にしるした四冊ないし五冊ものの『
大成
(
たいせい
)
武鑑』だの『
慶応
(
けいおう
)
武鑑』だのと銘うったもの、それの省略懐中本で二寸に四寸五分ほどの一冊本、同じ型で頁数八、九十丁
武鑑譜
(新字新仮名)
/
服部之総
(著)
巨細
(
こさい
)
にあたりを調べあげると、はからずも右門の胸により以上の不審を打たれたものは、それなるかまどの上の天井ぎわに見える車井戸の井戸車でありました。
右門捕物帖:06 なぞの八卦見
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
こういう手腕で彼に返報する事を
巨細
(
こさい
)
に心得ていた彼は、
何故
(
なぜ
)
健三が細君の父たる彼に、
賀正
(
がせい
)
を口ずから述べなかったかの源因については全く無反省であった。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
殊にその“Pathology of Mind”は最も熱心に反覆翫味して
巨細
(
こさい
)
に研究した。
二葉亭四迷の一生
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
屍体を
巨細
(
こさい
)
に視た上、煤けた部分を払わせて、
熟々
(
つくづく
)
と眺めて居た山井検事は、更に頸の部分、手拭の巻きつけてある工合や、頸に喰い込んでる有様等、詳細に観察した後、二三の質問を
越後獅子
(新字新仮名)
/
羽志主水
(著)
なせしならんと思ひ早速立歸りて右の趣き
巨細
(
こさい
)
に申し立てければ大岡殿然らば文藏夫婦の者外に惡事もあらざるゆゑ助け遣さんと思はれけれども
關所破
(
せきしよやぶ
)
りと言ては
磔
(
はりつけ
)
に成べき大法ゆゑ
種々
(
いろ/\
)
に工夫ありて又々文藏夫婦を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
取りあげて
錵
(
にえ
)
、におい、こしらえのぐあいを、
巨細
(
こさい
)
に見改めていましたが、その目が
鍔元
(
つばもと
)
へ注がれると同時に、ふふん——という軽い微笑が名人の口にほころびました。
右門捕物帖:20 千柿の鍔
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
当時の事情をありのままに
認
(
したた
)
めた
巨細
(
こさい
)
の手紙がようやく余の手に落ちた時の事であった。
思い出す事など
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
聞て長庵は猶も
恐
(
おそ
)
れず
勿々
(
なか/\
)
以て左樣の事ども
更
(
さら
)
に
覺
(
おぼ
)
え御座無候程に
白状
(
はくじやう
)
などとは思ひも寄ぬ事なりと
大膽不敵
(
だいたんふてき
)
にも白状せざれば越前守殿は
丁字屋
(
ちやうじや
)
半藏
代人
(
だいにん
)
文七と
呼
(
よば
)
れ其方
尋問
(
たづね
)
る次第
巨細
(
こさい
)
に
答
(
こた
)
へ成るやと有に文七
徐
(
しづ
)
かに頭を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
そこに取り散らかされてあった身の回りの品を
巨細
(
こさい
)
に調べると、路用の金すらも持たずに、ほとんど着のみ着のままで飛び出したことがまず第一に判明いたしましたから
右門捕物帖:10 耳のない浪人
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
それで遂に押し通せなくなった揚句、彼はとうとう健三に連印を求めたのである。けれども彼がどの位の負債にどう苦しめられているかという
巨細
(
こさい
)
の事実は、遂に健三の耳に
入
(
い
)
らなかった。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
じっと廊下先の障子を一本一本
巨細
(
こさい
)
に見まわしていましたが、と——果然、その
痕跡
(
こんせき
)
があった。
右門捕物帖:03 血染めの手形
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
いいながら、そろりそろりとあごのあたりをなでなで、
巨細
(
こさい
)
にへやのうちを調べだしました。
右門捕物帖:23 幽霊水
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
以上の三点を林のごとき静けさを保って短檠のあかりをさしつけながら、
巨細
(
こさい
)
に見調べていましたが、そのうちに、ピカリと、真にピカリと、名人の目がさえ渡るや同時に
右門捕物帖:20 千柿の鍔
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
うやうやしくさし出したのを受け取って、目あての太田五斗兵衛の人別を
巨細
(
こさい
)
に調べたが、しかしいない! 娘や妹も、それと思わしき若い女の名まえは見当たらないのです。
右門捕物帖:26 七七の橙
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
巨細
(
こさい
)
によく調べてみると、まず第一に目についたものは、相当使い古したものらしいにかかわらず、少しの手あかも見えないで、ぴかぴかと手入れのいいみがきがかけられてあったことでした。
右門捕物帖:01 南蛮幽霊
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
当の本人である糸屋の若主人の素姓身がらを
巨細
(
こさい
)
に洗いたてました。
右門捕物帖:05 笛の秘密
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
いうように名人はそろりそろりとあごをなでなで、何か
眼
(
がん
)
のネタになるものはないかと、鋭く目を光らしました。
巨細
(
こさい
)
に見調べると、まんなかの女の子の着物の継ぎはぎが、いかにもぶ細工なのです。
右門捕物帖:25 卒塔婆を祭った米びつ
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
巨
常用漢字
中学
部首:⼯
5画
細
常用漢字
小2
部首:⽷
11画
“巨”で始まる語句
巨
巨大
巨人
巨魁
巨躯
巨勢
巨漢
巨刹
巨石
巨浪