)” の例文
忍剣にんけんは、この方角とにらんだ道を、一ねんこめて、さがしていくと、やがて、ゆくてにあたって、一の六角堂が目についた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その結果内乱は終息し、日本の国家は平和となり、上下合一、官民一致、天皇帰一、八こう、新時代が生れるのだ
大捕物仙人壺 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
其の上に一ほこらを建てて一木神社として祭ったが、昭和四年になって、うしろの山を開いて社を改築し、墓石も掘り出すとともに、かたわらに記念碑まで建立こんりゅうした。
海神に祈る (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
前のも哥沢節の稽古に出でて初夜しょやすぐる頃四ツ谷まる横町よこちょうかどにて別れたり。さればわが病臥やみふすとは夢にも知らず、八重はふすま引明ひきあけて始めて打驚うちおどろきたるさまなり。
矢はずぐさ (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
そも/\、此山と申すは、南は野山漫々まん/\として百餘里に及び、北は身延山高く峙ちて白根が嶽につづき、西には七めんと申す山峨々がゝとして白雪絶えず、人の住家一もなし、たま/\
仰げよ萬世一系の皇統、巍々ぎぎたる皇謨くわうぼは無限にす。ああ、八かう肇國てうこく青雲せいうんは頭上にある。
新頌 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
京都の空與上人くうよしやうにんをことの外御信心で、上人しやうにんの爲洛北に一の堂を建立こんりふする爲、二千兩の寄進に付きましたが、表沙汰になると、何かと手續きが面倒、そつと勘定奉行に内意を含め
御霊屋の一はいとど暗い。が、御壇みだんの床に、手燭の小さい灯が見える。そして母の姿は、もうそこにはいなかった。
私本太平記:01 あしかが帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そこに一の社があり、そこの神殿に燈されている、それは一基の燈明なのであった。
南蛮秘話森右近丸 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
背後の岡には、草堂風な一が見え、道は楊柳を縫うて隠れ、渓水たにみずは落ちて、荘院の庭に一ぺきの鏡をたたえている。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
所伝によれば、身の孤独と、世のすさびに、すべてを見失った十六のおとめは、この地で黒髪をおろして一庵主あんじゅとしてついに果てられたというのである。
私本太平記:05 世の辻の帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
彼は州城内の一霧谷観むこくかんがくのある堂の真ン前にたたずんで、虚空こくうを仰いでいたのであり、師から授かった“五雷天罡ごらいてんこう”の秘咒ひじゅ気魂きこんらしていたのだった。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
城下はずれから、荒川に添って、山地へ向いながら小一里も行くと、右側の小高い所に、一の寺が見える。
夏虫行燈 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
かやぶき屋根の一の堂が前にある。なるほど、村人たちが念仏講に寄りあつまる時宗じしゅうの道場でもあろう。
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
(もし秀吉の敗れと聞えなば、わが眷族けんぞくことごとく処分し、城中にいえも残さず焼きはらえ)
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その年、城下に一の寺を建立こんりゅうした。じい菩提ぼだいのために、という信長の発願からであった。
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
仁和寺にんなじの十四大廈たいかと、四十九院の堂塔伽藍どうとうがらん御室おむろから衣笠山きぬがさやまの峰や谷へかけて瑤珞ようらく青丹あおにの建築美をつらね、時の文化の力は市塵しじんを離れてまたひとつの聚楽じゅらくをふやしてゆくのだった。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
見ると、竹むらのすぐ向うに一の堂。そこから洩れる燈火である。
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いつとはなく梁山泊りょうざんぱく聚議庁ほんまる奥所おくがには、星をまつった一びょう——
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ふと見ますに、そこに一の堂がある。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)