嬰兒あかご)” の例文
新字:嬰児
教師けうしそのあとで、嬰兒あかご夜泣よなきをしてへられないといふことでぢき餘所よそした。幾度いくど住人すみてかはつて、今度こんどのはひさしくんでるさうである。
怪談女の輪 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
お前が此間話した、嬰兒あかごと嬰兒を取換へるといふのは、一應筋になりさうだが、實はさう容易く行く藝當ぢやない。
腹立はらだたしかほをしたものや、ベソをいたものや、こはさうにおど/\したものなぞが、前後ぜんごしてぞろ/\とふねからをかあがつた。はゝかれた嬰兒あかごこゑは、ことあはれなひゞき川風かはかぜつたへた。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
ふねどう嬰兒あかご一人ひとり黄色きいろうらをつけた、くれなゐたのがすべつて、婦人をんなまねくにつれて、ふねごときつけらるゝやうに、みづうへをする/\となゝめにく。
三尺角拾遺:(木精) (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
女房にようばうは、おどろきかなしみ、哀歎あいたんのあまり、嬰兒あかごうでひとつきしめたまゝ、みづとうじたとふ。
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
材木町ざいもくちやう陶器屋たうきやつま嬰兒あかごふところに、六歳ろくさいになる女兒をんなのこいて、すさまじ群集ぐんしふのなかをのがれたが、大川端おほかはばたて、うれしやとほつ呼吸いきをついて、こゝろづくと、ひとごみに揉立もみたてられたために
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
加減かげんなことをおひなさいな。これはね、嬰兒あかご胞胎えなですよ。」とつた。
みつ柏 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
おくではしきり嬰兒あかご泣聲なきごゑがした。
怪談女の輪 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)