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いい
ふりがな文庫
“
好
(
いい
)” の例文
渺々乎
(
びょうびょうこ
)
として、
蘆
(
あし
)
じゃ。お婆さん、
好
(
いい
)
景色だね。二三度来て見た処ぢゃけれど、この店の工合が
可
(
い
)
いせいか、今日は格別に広く感じる。
悪獣篇
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「
好
(
いい
)
塩梅
(
あんばい
)
にお天気が続きますね。
併
(
しか
)
し来月になったら、急にお寒くなりましょう。来年のお正月も又雪でしょうかねえ。」
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
さうネ、いつか来ても
好
(
いい
)
けど、何にもつれやしまひと思ひ升よ、それに
釣
(
つり
)
をするには針だの
餌
(
え
)
だのなければなりませんもの、
一寸
(
ちよいと
)
は来られないの。
鼻で鱒を釣つた話(実事)
(新字旧仮名)
/
若松賤子
(著)
その時、私が水を掛ける
真似
(
まね
)
をしたら、「
好
(
いい
)
御主人を持って御
仕合
(
しあわせ
)
」と言って、御尻を
叩
(
たた
)
いて笑った女が有ましたろう。
旧主人
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
なるべくここは
好
(
いい
)
加減に迷亭の鋭鋒をあしらって無事に切り抜けるのが上分別なのである。鈴木君は利口者である。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
ただ今の処交通遮断なれど
好
(
いい
)
加減に出たり這入ったり致居り候。寅彦、「嵐」と題する短篇を送りこし候。例の如く筆を使わないうちに余情のある作物に候。
漱石氏と私
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
どこが
好
(
いい
)
と明らかに指すことが出来れば、どこが
醜
(
わる
)
いということもまた明らかに指すことが出来る、すでに醜い所を指すことが出来ればそれでもほれると云う理は無い。
油地獄
(新字新仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
「母親さんは自分が清元が出来るもんだからそんな事をお言いだけれども、長唄の方が
好
(
いい
)
サ」
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
やっぱり日本風の裏漉が便利だね。上等の家庭料理になると鳥でも牛でも魚でも大概一度裏漉にかけて使うから口へ入ると
溶
(
とけ
)
るようだ。消化が早くって吸収が
好
(
いい
)
から最も衛生法に
適
(
かな
)
っている。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
アヽ、ナニ、こねいだは大分
好
(
いい
)
よ、ぢいさまもネ、この
頃
(
ごろ
)
は又畑へ出て、アレあすこに、人の仕事してるとこで石ツころを拾はして
貰
(
もら
)
つてまさあ。
黄金機会
(新字旧仮名)
/
若松賤子
(著)
「そうだろう。
併
(
しか
)
しあの以来、𤢖の噂も消えた
様
(
よう
)
だよ。まあ、
好
(
いい
)
塩梅
(
あんばい
)
だ。何しろ、金の
兜
(
かぶと
)
は掘出物だったよ。」
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「貴方はそう言いなさるけれど、私だっても他人じゃなし、一緒に死ぬなら
好
(
いい
)
じゃごわせんかえ」
藁草履
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
この美学者はこんな
好
(
いい
)
加減な事を吹き散らして人を
担
(
かつ
)
ぐのを唯一の
楽
(
たのしみ
)
にしている男である。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
戸
(
と
)
を
敲
(
たた
)
いて、開けておくれと言えば、何の
造作
(
ぞうさ
)
はないのだけれども、
止
(
よ
)
せ、と
留
(
と
)
めるのを
肯
(
き
)
かないで、
墓原
(
はかはら
)
を夜中に
徘徊
(
はいかい
)
するのは
好
(
いい
)
心持
(
こころもち
)
のものだと、二ツ三ツ
言争
(
いいあらそ
)
って
出
(
で
)
た、いまのさき
星あかり
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「
放擲
(
うっちゃっ
)
てお置きなさいヨ。身から出た
錆
(
さび
)
だもの、
些
(
ちっ
)
とは塞ぐも
好
(
いい
)
のサ」
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
マアぼうは、そんなことを決していうのじゃありませんよ、坊はやっぱりそのままがわたしには
幾
(
いく
)
ら
好
(
いい
)
のか知れぬ
忘れ形見
(新字新仮名)
/
若松賤子
(著)
何とか
好
(
いい
)
智慧
(
ちえ
)
はないか知らぬと帰る
途次
(
みちみち
)
も色々に
頭脳
(
あたま
)
を悩ました末に、父に
対
(
むか
)
ってこういう嘘を
吐
(
つ
)
いた。
一日一筆
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「でも何だかそれじゃ
好笑
(
おかし
)
いわ。それを御着なさる位なら、まだ今までの方が
好
(
いい
)
のですもの」
旧主人
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「そんな連中があるでしょうか」と細君は分らんものだから
好
(
いい
)
加減な挨拶をする。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ヘーそうかい……それに附けても早く内で帰ッて来れば
好
(
いい
)
が……イエネ
此間
(
こないだ
)
もお咄し申た通りお前さんのお嫁の事に付ちゃア内でも
些
(
ちい
)
と考えてる事も有るんだから……
尤
(
もっと
)
も私も聞て知てる
事
(
こっ
)
たから今咄してしまってもいいけれども……
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
おまへもあの女に今まで可愛がつてお
貰
(
もら
)
ひだつたから、
日和下駄
(
ひよりげた
)
の一足もそれで買つておやりだと
好
(
いい
)
ネ。
黄金機会
(新字旧仮名)
/
若松賤子
(著)
斯
(
か
)
くと聞くより
冷笑
(
あざわら
)
って、お前も武士の女房でないか、幽霊の変化のと云う物が
斯世
(
このよ
)
にあろうと思うか、馬鹿も
好
(
いい
)
加減にしろと頭ごなしに叱り付けたが妹は中々承知せず
お住の霊
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「私の一生には夢が附
纏
(
まと
)
っている」と、よく仰いました。こういう風ですから、夢見が
好
(
いい
)
につけ、
悪
(
わるい
)
につけ、それを御目が覚めてから気になさることは一通りで無いのでした。
旧主人
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「君の
家
(
うち
)
から誰か連れて来れば
好
(
いい
)
のに。大勢いるだろう」
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
わたしは
後生楽
(
ごしょうらく
)
の人間ですから、
床
(
とこ
)
へ這入つたが最後、夜のあけるまで一息にぐつすり寝込んで、夜なかに何があつても知らない方ですから、その晩も
好
(
いい
)
心持
(
こころもち
)
に寝てしまつたんですが
赤い杭
(新字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
おとうさまが
明日
(
あした
)
は町へお
出
(
い
)
でだから其時行つて見て来たら
好
(
いい
)
でせう。
黄金機会
(新字旧仮名)
/
若松賤子
(著)
かあちやん、今こゝに
直
(
すぐ
)
とあれば
好
(
いい
)
ネ
鼻で鱒を釣つた話(実事)
(新字旧仮名)
/
若松賤子
(著)
好
常用漢字
小4
部首:⼥
6画
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恰好
不好
嗜好
好事
好事家
相好
好男子
好漢
好奇
格好
好意
好者
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好奇心
好人物
好物
好機
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