ゆゐ)” の例文
には木陰こかげけてしんみりとたがひむね反覆くりかへとき繁茂はんもしたかきくり彼等かれらゆゐ一の味方みかた月夜つきよでさへふか陰翳かげ安全あんぜん彼等かれらつゝむ。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
事件の眞相を突止めて、惡い者に思ひ知らせてやるのが、平次の十手捕繩にかけた、ゆゐ一の望みだつたのです。
よるいろにそのみどりくろずみ、可愛かあいらしい珊瑚珠さんごじゆのやうなあかねむたげではあるけれど、荒涼くわうりやうたるふゆけるゆゐ一のいろどりが、自然しぜんからこの部屋へやうつされて
日の光を浴びて (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
ゆゐ一の願ひすべてを忘れてる
鶴彬全川柳 (新字旧仮名) / 鶴彬(著)
「おつうらとつても今度こんだあ駄目だめだよ」勘次かんじ果敢はかない自分じぶん心持こゝろもちゆゐ一の家族かぞくであるおつぎの身體からだけるやうにしをつていつた。勘次かんじ衷心ちうしんから恐怖きようふしたのである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
これが殘るゆゐ一の疑ひでした。
醫者いしやさら勘次かんじ藥舖くすりやはしらせた。勘次かんじたゞ醫者いしやのいふがまゝいきせきつてけてあるあひだが、屹度きつとどうにかふせぎをつけてくれるだらうとのたのみもあるのでわづか自分じぶんこゝろなぐさゆゐ一の機會きくわいであつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)