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双
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さう
我は
手に
握つて、
双の
眼で
明かに
見る
采の
目を、
多勢が
暗中に
摸索して、
丁か、
半か、
生か、
死か、と
喧々騒ぎ
立てるほど
可笑な
事は
無い。
「まだあるよ。淺草馬道の
壽滿寺では、狩野法眼元信の
高士觀瀑の幅が盜られ。日本橋
本銀町の阿波屋藤兵衞は雪舟の秋景山水の六曲一
双の
屏風がやられてゐる」
さうして上衣の隠しを探ると、
翡翠の耳環を一
双出して、手づから彼女の耳へ下げてやつた。
燈にひかる鏡の
面にいきいきとわが
双の
眼燃ゆ。
太しき
双の羽根さへも
起居妨ぐ足まとひ。
双の
玉の
乳房にも、
糸一条の
綾も
残さず、
小脇に
抱くや、
此の
彫刻家の
半身は、
霞のまゝに
山椿の
炎が
𤏋と
搦んだ
風情。
急に
又雪枝は、
宛然稚子の
為るやうに、
両掌を
双の
目に
確と
当てゝ、がつくり
俯向く、
背中に
雲の
影が
暗く
映した。