-
トップ
>
-
十疊
>
-
じふでふ
別莊はずつと
其の
奧の
樹深い
中に
建つて
居るのを、
私は
心づもりに
知つて
居る。
總二階十疊に
八疊の
𢌞り
縁で、
階下は
七間まで
數へて
廣い。
よくものを
考へ
見よ、
汝が
常に
住まへる
處、
知らず、
六疊か、
八疊か、
廣さも
十疊に
過ぎざるべし。
夜はやゝ
更けた。はなれの
十疊の
奧座敷は、
圓山川の
洲の
一處を
借りたほど、
森閑ともの
寂しい。
唯見ると、
床の
間も
何にもない。
心持十疊ばかりもあらうと
思はれる
一室にぐるりと
輪になつて、
凡そ
二十人餘女が
居た。
私は
目まひがした
故か
一人も
顏は
見なかつた。
東京かね——
番町——
海水浴、
避暑にくる
人はありませんかな。……この
景氣だから、
今年は
勉強ぢやよ。
八疊に
十疊、
眞新しいので、
百五十圓の
所を
百に
勉強するですわい。
中二階の
六疊を
中にはさんで、
梯子段が
分れて
二階が
二間、
八疊と
十疊——ざつとこの
間取りで、なかんづくその
中二階の
青すだれに、
紫の
總のしつとりした
岐阜提灯が
淺葱にすくのに