しゃく)” の例文
別に例の通りバターでメリケン粉をいためて牛乳五しゃくと今の湯煮汁五勺とをして塩胡椒で味をつけてドロドロした掛汁かけじるこしらえます。
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
大きいものは一こくるれば小さきものは一しゃくも容れ得ぬ。しかしいかにしょうなるも玩具がんぐにあらざる限りは、皆ひとかどの徳利と称する。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
急峻な谷間には一しゃくの平地とてもない。止むなく大木が倒れて根と共に山腹を掘取った其跡へ泊ることにした。一方は木の根に支えられている。
秋の鬼怒沼 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
自分は五しゃく飲むのがきまりであるが、この日は一合いちごう傾けた。この勢いで帰って三角を勉強しようという意気込であった。
(新字新仮名) / 正岡子規(著)
だが、吸っても吸っても、乳が出ぬものだから、傷口に口をつけて、乳の代りに、赤い液体を五しゃく程も飲んでしまった。
江川蘭子 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
一合から一合五しゃくの休み茶屋、そこを出ると、雲の海は下になって、天子てんしヶ岳の一脈、その次に早川連巓の一線、最後に赤石山系の大屏風だいびょうぶが、立てつらなっている。
不尽の高根 (新字新仮名) / 小島烏水(著)
時には一合五しゃくにふえた酒のわざで、ろくに呂律ろれつのまわらぬ浄瑠璃じょうるりをあやつるようなこともあった。
(新字新仮名) / 壺井栄(著)
びっしり詰った十三坪何しゃくかの四角な教室からは、たからかな教育勅語の斉唱が廊下に溢れでた。
白い壁 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
ホンの五しゃくばかりひやのまま飲んで眠ったせいか、今朝けさになってみると特別に頭がフラフラして、シクンシクンと痛むような重苦しさを脳髄の中心に感じているのであった。
木魂 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
彼らの手にせる「メンパ」というのは、美濃方面で出来る漆で塗った小判形の弁当箱で、二合五しゃく入りと三合入りとある。山へ出る時は、二つもしくは三つを持ってゆくという。
白峰の麓 (新字新仮名) / 大下藤次郎(著)
しゃくのますと石油せきゆをくむしゃくがあって、おとこはそのしゃくあおれる液体えきたいなかむせつな、七つ八つの少年しょうねんが、熱心ねっしんにかんのなかをのぞいて、その強烈きょうれつ香気こうきをかいでいるのでした。
火を点ず (新字新仮名) / 小川未明(著)
それを手に取ることは他の女にはさせぬようにした。この桝はしばしば古椀ふるわんなどを代用しているが、一ぱいというのはおおよそ二合五しゃく、西の方の国では是を「ゴ一つ」とも謂う。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
男にう前は、かならずこうした玄人くろうとっぽい地味なつくりかたをして、鏡の前で、冷酒ひやざけを五しゃくほどきゅうとあおる。そのあとは歯みがきで歯をみがき、酒臭い息を殺しておく事もぬかりはない。
晩菊 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
カレンズはゼリーになったのが食品屋にありますから一鑵のゼリーへセリー酒五しゃくを混ぜて裏漉しにして少し塩を加えてかけます。
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
今のアルミの水呑はそれから思い付いた物かも知れません、約八しゃくは入りますから五杯で四合はある、れを一気に飲むので、あらかじめ水を飲む稽古をして出たものです。
登山談義 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
奥羽おううで一般にいっパイと謂い、九州ではゴひとつと称えたのは、ともに今日の桝目ますめの約二ごうしゃくであった。是が一人扶持いちにんぶちの五合を二つに分けて、朝夕かたけずつ食わせた痕跡であることは疑いが無い。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
「また、がりました。」と、おとここたえながら、五しゃくのますにほとんど過不足かふそくなくたいらかに石油せきゆたして漏斗じょうごにわけました。そして、もう一ぱいれるために、また、杓子しゃくし石油せきゆれました。
火を点ず (新字新仮名) / 小川未明(著)
独逸どいつでは今のようにした上等の牛乳でさえ一リートル即ち五合五しゃくが我が二十五銭に当りますから一升一合で五十銭、一升で四十五銭余です。
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
頂上は磊砢らいらたる嶄岩ざんがんの堆積であって、南北の二隆起に分れ、肉眼ではいずれが高いか判じかねるが、三角点は北の隆起に置かれ、其附近のみわずかに一しゃくの平地を存している。
利根川水源地の山々 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
それを鍋へ入れて一合五しゃくのスープをしてホンの少しの塩と小匙一杯の砂糖を加えよくまわしてく弱い火へかけます。
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
オットはなしが脇道へ走ってしまったが今の再製のスープの中へ白米を五しゃくばかり入れてかゆのようになるまで弱い火でグツグツ煮てこれもやっぱり裏漉へかける。
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
... 二升に五しゃく位な割で海鼠餅なまこもちに搗き込みますと乾きが悪うございますけれども、カキ餅にして焼きました時お砂糖入りのカキ餅よりもよくふくれて軽うございます」妻君
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
中匙軽く一杯へ牛乳五しゃく水五勺とを入れてよくって別にメリケン粉二斤と焼粉やきこ大匙四杯とをふるっておいて今の物へザット混ぜて軽くねて二分位な厚さにして
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
ですから新しい樽を買った時には必ず最初に五しゃくばかり壜へ入れて古いお醤油も五勺ばかり壜へ入れて一つの鍋の中で一緒に二つの壜を湯煎にして同一の温度で試験します。
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)