凛々りんりん)” の例文
いずれも勇気凛々りんりん、今日を限りにこの痛快無比の旅行と別るるのがのこり多いようにも思われ、またこのこうおわったという得意の念もあった。
いや知っているだけでなく、その男まさりな凛々りんりんたる気性や、母公だの兄孫権だのを動かす勢力にはあるおそれすら抱いていたのだった。
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
うやうやしくあたまげているわたくしみみには、やがて神様かみさま御声おこえ凛々りんりんひびいてまいりました。それは大体だいたいのような意味いみのお訓示さとしでございました。
今二点を拍ちし時計のひぐらしなど鳴きたらんように凛々りんりんと響きしあとは、しばし物音絶えて、秒を刻み行く時計のかえって静けさを加うるのみ。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
そのからびた声が、霜に響くせゐか、凛々りんりんとしてこがらしのやうに、一語づつ五位の骨に、応へるやうな気さへする。
芋粥 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
かれらはいずれも凛々りんりんたる勇気をもって、年長者は幼年者をいたわり、幼年者は年長者の命令に服し、たがいに心をあわせて日の暮るるも知らずに働いた。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
讀經の聲凛々りんりんと響き渡ると、それに合せて念佛を稱へる善男善女の聲が、一種の情熱的なリズムになつて、平次のもたらした世俗の『御用』などは通りさうもありません。
清冽せいれつな雪の原野には、きーンとはだをつき刺す冷気があった。それを胸まで吸いこんで、ふーッと白く吐きだした。すると身体はぴんと張りきった。凛々りんりんたる思いであった。
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
コン吉とタヌの二人が、しきりにとみこう見するが勇気凛々りんりんたるところがない。毛のつやも悪くなり、しきりに生欠伸なまあくびをして、よだれを流す有様はなかなかなまや愚かの修業でなかったことがわかる。
米友は勇気凛々りんりんとして、竿を打振って行手の群衆に道を開けと命令する。
大菩薩峠:06 間の山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
しかし、さすがは播州ばんしゅう第一の骨ッぽい武将と勇卒ゆうそつのたてこもっただけのものはあって、今なお士気は凛々りんりん秋霜のごときものを示している。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
耳には美しい主題が凛々りんりんと響く、——が、階下したから聞える病妻と病児のうめき声が、またもベルリオーズの幻想を打ち破って、もう一度あきらめの枕につかなければならなかった。
楽聖物語 (新字新仮名) / 野村胡堂野村あらえびす(著)
書かれた辛苦の状は、書いたものにとっては、踏み越えて行く凛々りんりんたる勇気であったが、受け取って読むものにあっては、それが、まるで、火に入る夏の虫のようにあわれであった。
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
コン吉も急に元気凛々りんりん
凛々りんりんたる勇姿ゆうし、あたりをはらった。さしも、烏合うごう野武士のぶしたちも、このけなげさに、一てきなみだを、具足ぐそくにぬらさぬものはない。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
この呉妹ごまいは、生れつき剛毅ごうきで、武芸をこのみ、脂粉霓裳しふんげいしょうの粧いも凛々りんりんとして、剣のかんざしをむすび、腰にはつねに小弓を
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
郝昭は太原たいげんの人、忠心凛々りんりんたる武人の典型である。その士卒もみな強く、くに先だって、鎮西将軍の印綬いんじゅを拝し
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
凛々りんりんたる夫人の一声を浴びて、四人は思わず馬から飛び降りた。そして叉手さしゅの礼をとって起立していると、夫人は真白な指をきっと四人の胸にさして
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
シーッと静まり返っている八方の閃刃せんじん。機を逸したか、胆をのまれてしまったか、それに応じる気合いもないうちに、またかれは凛々りんりんたる語気を張って
鳴門秘帖:03 木曾の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「濛々たる鬼気、凛々りんりんたる殺雲。どうして伏兵でない筈があるものか。物見の未熟にちがいない。老練な隠密を選りすぐってさらに入念に見とどけさせろ」
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
たまたま、捕虜とした一兵卒といえども気概凛々りんりん敵愾心てきがいしんに燃えているのを見ては、——中国の攻略——これは難事のうちの難事業と、痛嘆せずにおられません
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
若い関平は、たちまち馬上の人となり、部下一隊を白刃でさしまねくと、凛々りんりん、先に立って駈けだした。
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
蜀の名将厳顔げんがんは、老いたりといえど、よく強弓をひき太刀を使い、また士操凛々りんりんたるものがあった。
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そして轅門えんもんから営内にわたるまで、兵列を整えさせ、槍旗そうき凛々りんりんたる所へ、董荼奴以下を呼び入れた。
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
猛然もうぜんとおどりかかッて、伊那丸の胸板むないたへ突いていったが、ヒラリとかわして凛々りんりんたる一かつもと
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
赤毛の南蛮牛の背に、緬甸金襴ビルマきんらんいて花梨鞍かりんぐらをすえ、それにまたがった孟獲は、身にさいかわよろいを着、左に楯をもち、右手には長剣を握っていた。正に威風凛々りんりんである。
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
凛々りんりんたる終りの一かつは、矢のごとく、論敵の肺腑はいふをつらぬいたかのように思われた。
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
どれもこれも、薄ぎたなくて、不精髯ぶしょうひげやして、ごもに尺八一本持って歩いていた。——中には本格的に鈴を振って、普化禅師ふけぜんじをまねて凛々りんりん遊行ゆぎょうしていた者がないこともなかったが。
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
にもかかわらず、かくの如き武勇凛々りんりんたる子弟を、時代の真っ先に送り出していることは、まことに文武両道の家なればこそ、父なればこそと、子のために、その親たる人まで、大いに称揚しょうようされた。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「いや、お似合いでもある。あの馬上凛々りんりんなお勇ましさのどこやらは」
戦い半ばの頃から大きな牡丹雪ぼたんゆきが降り出して、朔風さくふう凛々りんりん、次第にこの地方特有な吹雪となりだしていたが、今しも姜維の兵は、その霏々ひひたる雪片と異ならず、みな先を争って、陣門の内へ逃げ入り
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
凛々りんりん、心腸をしぼるばかり、高唱してやまない者がある。
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、凛々りんりん、こういい放つ。
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)