元服げんぷく)” の例文
以て此段申上奉り候明日は吉日に付御親子しんし對顏たいがんの御規式ぎしきを御取計ひ仕り候もつと重役ぢうやく伊豆守越前役宅まで參られ天一坊樣へ御元服げんぷく
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
牛若うしわかもなく元服げんぷくして、九郎義経くろうよしつねのりました。そしてにいさんの頼朝よりともをたすけて、平家へいけをほろぼしました。
牛若と弁慶 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
「だから——わしがせめて、元服げんぷくをする時節まで、その宝物を、この白旗しらはたの宮へおあずけしておこうではないか」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
心は、『このくじに逢ふ人は運甚だ惡し』と來た、『待人來らず、望み遂げ難し、賣買利なし、元服げんぷくよめとり聟とり旅立ち萬惡よろづわるし、女色によしよくの惑ひ深く慎しむべし』
それがしは当時退隠たいいん相願い、隈本くまもとを引払い、当地へ罷越まかりこし候えども、六丸殿の御事おんこと心にかり、せめては御元服げんぷく遊ばされ候まで、よそながら御安泰を祈念きねん致したく、不識不知しらずしらずあまたの幾月を相過あいすごし候。
なが突通つきとほしのかうがいで、薄化粧うすげしやうだつた時分じぶんの、えゝ、なんにもかにも、ひつじこくかたむきて、——元服げんぷくをしたんですがね——富川町とみかはちやううまれの深川ふかがはだからでもありますまいが、ねんのあるうちから、ながして
深川浅景 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
それに元服げんぷくしたばかりの尾上松助おのえまつすけなどの一こうであった。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
おまえもはや十六さい、たしか、そうだろう。もうここ二、三年で元服げんぷくをしてさ、一にんまえ鍛冶かじなり、一人前のさむらいなりになる心がけをしなくってはいけない。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
敷居際でお辭儀をして、ヒヨイと擧げた顏を見ると、精々十五六、まだ元服げんぷく前の可愛らしい小僧でした。
七つのとし石清水いわしみず八幡はちまんのおみや元服げんぷくして、八幡太郎はちまんたろう義家よしいえのりました。
八幡太郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
撰みて元服げんぷくさせ表向養子やうし披露ひろうもせんとて色々其用意よういなどしける處に或時本店ほんてんの加納屋より急使きふつかひ來り同道にて參るべしとの事故餠屋もちや亭主ていしゆは大いに驚き何事の出來せしやと取物とるものも取敢ずいそぎ本店へおもむきけるに利兵衞は餠屋を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
不知哉いさや丸も十五です。いかに何でも、この春はもう、元服げんぷくさせねばなりますまい」
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「へツ、さう來なくちや——お蔭で薄墨華魁の元服げんぷく姿が拜めるといふものだ」
安樂あんらくに送りお金は終身しうしん不足ふそくなく此家につか管伴ばんたう忠兵衞は此度の一件に附き盡力じんりよく一方ひとかたならざれば褒美はうびとして宅持たくもちの通ひ管伴ばんたうとなり和吉も種々くさ/″\褒美はうびありしが三年の後長左衞門夫婦は隱居し長三郎は主個あるじとなり和吉は元服げんぷくして二番管伴ばんたうとなり其家ます/\さかえたり
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
だが、そなたはも早や、元服げんぷくの若者である。一にんまえ武士もののふとなるべきだ。いつまで小さな私怨しえんにとらわれているばかりがまこと武士もののふでもなかろう。まなこをひろい世の中にみひらいてたもれ。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
紫紐むらさきひも大願だいがん元服げんぷく
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)