價値ねうち)” の例文
新字:価値
そしてセント・ジョンにとつては、あれ位の金額があれば世のためになる事業をすることも出來る位に價値ねうちがあつたんですけど。
是故に己が價値ねうちによりていと重くいかなる天秤はかりをも引下ひきさぐる物にありては、他のつひえをもてつぐなふことをえざるなり 六一—六三
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
惡氣を有つてゐなくつても、内海のために、夫としての自分の價値ねうちが妻の心に低くされてゐることを馬越は疑はなかつた。
仮面 (旧字旧仮名) / 正宗白鳥(著)
何んだ? 何んだツて、俺は此樣なことを考へる……人間は智識の他に何も意味も無い價値ねうちも無い動物ぢやないか。
解剖室 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
いかにも實地を歌つたやうに聞えて、みんなも一入感心いたす。おなじ歌でも斯うして世に出せば十段も價値ねうちがあがつて、人の信仰も又格別といふもの。
能因法師 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
はゞかりながら御鼻おんばなしたなが/\とえさせたまへば、そんじよ其處そこらにたいした御男子樣ごなんしさまとて、分厘ふんりん價値ねうちしと、つぢちて御慮外ごりよぐわいまをすもありけり。
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ヂュリ さア、ふにせい、それはうてこそ價値ねうちもあれ、かほ見合みあせてはうより。
總別、役人ちうもんは上役に向ふと價値ねうちのないもんぢやがのう。
太政官 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
愛を捧げて價値ねうちあるものゝみをこそ愛しなば
海潮音 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
一生いつしやう箱入はこいりらしくらさせんとにや、さすれば此歌このうた無心むしんきたるものにて半文はんもん價値ねうちもあらず、いなこの優美いうびふでのあとはなんとしても破廉耻はれんちひとにはあらじ
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
こと/″\き、こと/″\て、さてのちいっ價値ねうちのあるのをらッしゃれ。とくらるゝと、むすめその一人ひとりとしてかずにははひってゐても、勘定かんぢゃうにははひらぬかもれぬ。さゝ、一しょにござれ。
あたしといふ女の本當の價値ねうちを知らないあの人やあの人に見せてやりたいわ。
新婚旅行 (旧字旧仮名) / 正宗白鳥(著)
髮をすつかりよくかして、黒い上衣うはぎ——まるでクェイカー教徒みたいだが、少くともきちんと合つてゐるといふだけの價値ねうちはあつた——を着て、そして清潔きれいな白いレースの襟をつけた時には、私は
此處こヽ一つに美人びじん價値ねうちさだまるといふ天然てんねん衣襟えもんつき、襦袢じゆばんえりむらさきなるとき顏色いろことさらしろくみえ、わざ質素じみなるくろちりめんに赤糸あかいとのこぼれうめなどひん一層いつそう二層にそうもよし
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
かげに𢌞りては家の書生がと安々こなされて、御玄關番同樣にいはれる事馬鹿らしさの頂上なれば、これのみにても寄りつかれぬ價値ねうちはたしかなるに、しかも此家の立はなれにくゝ
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
かげにまわりてはうち書生しよせいがと安々やす/\こなされて、御玄關番おげんくわんばん同樣どうやうにいはれること馬鹿ばからしさの頂上てうじようなれば、これのみにてもりつかれぬ價値ねうちはたしかなるに、しかも此家このやたちはなれにくゝ
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
御顏のしまり何れもるみて、はゞかりながら御鼻の下ながながと見えさせ給へば、そんじよ其處らに夫れ大した御男子樣ごなんしさまとて、分厘の價値ねうちも無しと、辻に立ちて御慮外を申もありけり。
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)