トップ
>
依怙
>
えこ
ふりがな文庫
“
依怙
(
えこ
)” の例文
従って、曹操の一族とか、その一族に附随する者どもとかの専横、独善、
依怙
(
えこ
)
、
驕慢
(
きょうまん
)
ぶりなどは、推して知るべきものがあった。
三国志:09 図南の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
依怙
(
えこ
)
のご
沙汰
(
さた
)
はごかんべんくだせえましと、何が何してどう依怙の沙汰だか、どうせ死ぬからにはもっと詳しくけえて直訴すりゃいいんだ。
右門捕物帖:27 献上博多人形
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
吉岡(奥山大学)どのの
依怙
(
えこ
)
による、加増、替地、任免をあげ、増し御合力は一部重臣の私腹を肥やすものだと、箇条を並べてございます。
樅ノ木は残った:03 第三部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
近頃
依怙
(
えこ
)
の心に非ずやといへば、住持答へて、さにあらず、御身は今この寺を出でたりとも、僧一人の勤めはなるものなり。
艸木虫魚
(新字新仮名)
/
薄田泣菫
(著)
「
数馬
(
かずま
)
の
意趣
(
いしゅ
)
を含んだのはもっともの次第でございまする。わたくしは
行司
(
ぎょうじ
)
を勤めた時に、
依怙
(
えこ
)
の
振舞
(
ふるま
)
いを致しました。」
三右衛門の罪
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
▼ もっと見る
格別の
思召
(
おぼしめし
)
のこれ有る所の神原五郎治へお咎めのあるとは、実に
依怙
(
えこ
)
の御沙汰かと心得ます、左様な依怙の事をなされては御裁許役とは申されません
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
なお御屋敷名物の三人腰元を、私共三人の家臣に賜わるのは、此の上もない有難いことでは御座いますが、その取り合せに、
依怙
(
えこ
)
があってはなりません。
奇談クラブ〔戦後版〕:02 左京の恋
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
この三つの大罪を犯したる津軽を
依怙
(
えこ
)
贔屓によって、処断せざること、天下政道の乱れ、これに優ること無し。
三人の相馬大作
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
大岡殿聞ナニ九郎兵衞依怙贔屓と申か能承はれ天下の
裁斷
(
さいだん
)
を
爲
(
する
)
者
聊
(
いさゝ
)
かたりとも私しの
意
(
い
)
を以て
依怙
(
えこ
)
の
沙汰
(
さた
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
人類全体の文化価値創造の生活に参加する意味からいえば徹底個人主義であり、人格主義であり、これに由って一切の人格が偏頗なく、
依怙
(
えこ
)
なく、平等に、円満に
婦人改造の基礎的考察
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
此家の
主人
(
あるじ
)
は彼小笠原に剣を
抛
(
なげう
)
つ可く
熱心
(
ねっしん
)
勧告
(
かんこく
)
したが、一年後の今日、彼は陸軍部内の
依怙
(
えこ
)
情実に
愛想
(
あいそう
)
をつかし
疳癪
(
かんしゃく
)
を起して休職願を出し、北海道から出て来たので
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
考えてごらんなさい、人間の愛というものに、
依怙
(
えこ
)
の
沙汰
(
さた
)
のないというところがドコにありますか。
大菩薩峠:26 めいろの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
かく高値を払うて教えを受けた中にアペルレースはギリシア空前の画聖、その妙技について一、二談を挙げんに、かつて諸画師と競うて馬を画くに、審査員他の輩に
依怙
(
えこ
)
す。
十二支考:10 猪に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
ジョン・リードの
理不盡
(
りふじん
)
な虐待振りや、彼の妹の
權高
(
けんだか
)
な冷淡さや、彼等の母が私に示す
嫌惡
(
けんを
)
の情や、召使ひの寄せる
依怙
(
えこ
)
ひいきが、濁つた井戸の暗い
沈澱物
(
ちんでんぶつ
)
を掻き𢌞すやうに
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
由良という人のそこが堅いところで、いくら可愛い弟子でも、いくらその人間が
仕出来
(
しでか
)
しても、だからといってそれだけのまだ貫禄もないものに決してそんな
依怙
(
えこ
)
の沙汰はしなかった。
春泥
(新字新仮名)
/
久保田万太郎
(著)
これは馬翁に
依怙
(
えこ
)
ひいきがあるからで、師匠としても許しがたい振舞いである。
宝永噴火
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
さてこそ、そこに
依怙
(
えこ
)
や毛嫌いの私情が入り込む隙間があるのである。
学位について
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
しかしひとたび筆を
執
(
と
)
って
喧嘩
(
けんか
)
する
吾
(
われ
)
、
煩悶
(
はんもん
)
する吾、泣く吾、を描く時はやはり大人が小児を視るごとき立場から筆を下す。平生の小児を、作家の大人が叙述する。写生文家の筆に
依怙
(
えこ
)
の
沙汰
(
さた
)
はない。
写生文
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
二、
万
(
よろ
)
ず
依怙
(
えこ
)
の心なし。
花吹雪
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
荊州の留守をしている
潘濬
(
はんしゅん
)
も、とかく
政事
(
まつりごと
)
にわたくしの
依怙
(
えこ
)
が多く、
貪欲
(
どんよく
)
だといううわさもあって、おもしろくありません。
三国志:09 図南の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
子を思う親の心は上下みな一つと存じ
候
(
そうろう
)
。お取り上げこれなきをさらさらお恨みには存ぜず
候
(
そうら
)
えどもご政道に
依怙
(
えこ
)
のお
沙汰
(
さた
)
あるときは天下乱る。
右門捕物帖:27 献上博多人形
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
依怙
(
えこ
)
の条では、弟(遠山
勘解由
(
かげゆ
)
)を評定役にし、加増させたこと。末弟、永江
主計
(
かずえ
)
をも評定役、
出入司
(
しゅつにゅうづかさ
)
に進めたこと。
樅ノ木は残った:02 第二部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「もう一つ、佐渡屋の跡取りは誰になるだろう。親類方や店の者は、
依怙
(
えこ
)
があっていけない、鳶頭は毎日のように出入りして居る様子だから、その辺の匂いがわかると思うが——」
銭形平次捕物控:233 鬼の面
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
わたくしはしまったと思いました。が、そう思う心の裏には、いや、
行司
(
ぎょうじ
)
は誤っては居らぬ、誤って
居
(
い
)
ると思うのは数馬に
依怙
(
えこ
)
のあるためだぞと
囁
(
ささや
)
くものがあるのでございまする。………
三右衛門の罪
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
斯うしてくれと云っては
依怙
(
えこ
)
の沙汰になって、それでは伯父も済まん訳だから、
然
(
そ
)
ういう事で
私
(
わし
)
を
此処
(
これ
)
へ呼び寄せて、お前が馳走をして
引立
(
ひきたて
)
を願うと云って、酒などを飲ましてくれちゃ誠に困る
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
そこへ
依怙
(
えこ
)
の私と差別の争いが入り込むのであろう。
学位について
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
此度
(
このたび
)
上京に付信州
小田井
(
をだゐ
)
宿旅宿の處其領分高田村名主傳吉と申者此度無實の
罪
(
つみ
)
にて
死罪
(
しざい
)
に
相決
(
あひけつ
)
し既に日限り定り候由右傳吉妻專と申者
愁訴
(
しうそ
)
有之近年御領奉行代官に
依怙
(
えこ
)
の
取計
(
とりはから
)
ひ有て
非義成儀
(
ひぎなるぎ
)
多き由
上聞
(
じやうぶん
)
に達し此度
道中
(
だうちう
)
愁訴
(
しうそ
)
あらば取上申べき樣
嚴命
(
げんめい
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
ただ上官への
諂
(
おもね
)
りや
依怙
(
えこ
)
ひいきだけに依って保っている存在とはちがう。よくも悪くも、やはり時務にかかるとそれだけの腕はある人間だった。
梅里先生行状記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
お役向きご繁忙にてお目漏れなら格別、もし何かいわく子細これあり候ために
依怙
(
えこ
)
のおさばきなされ候てかくお取り上げこれなくとならば、われらにも覚悟これあるべく候。
右門捕物帖:27 献上博多人形
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
その御配慮はかたじけのうございますが、家中では、増し御合力を目的に人増しを願い出たのだと申し、特に私は、一ノ関さまの
依怙
(
えこ
)
に頼っている、と非難されております。
樅ノ木は残った:04 第四部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「もう一つ、佐渡屋の跡取りは誰になるだらう。親類方や店の者は、
依怙
(
えこ
)
があつていけない。
鳶頭
(
かしら
)
は毎日のやうに出入りしてゐる樣子だから、その邊の匂ひがわかると思ふが——」
銭形平次捕物控:233 鬼の面
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「すると数馬はそちの行司に
依怙
(
えこ
)
があると思うたのじゃな?」
三右衛門の罪
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「いや! 谷の者らが、専ら取り
沙汰
(
ざた
)
するところによると、座主の僧正には、少納言に対して、
依怙
(
えこ
)
を持たれると承る」
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それ戦いにあたるや、功あるは賞し、罪あるは罰す。
正明
(
せいめい
)
依怙
(
えこ
)
なく、軍に
親疎
(
しんそ
)
なし、奮戦ただ呉を負って、魏を破れ。
三国志:07 赤壁の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
公事訴訟
(
くじそしょう
)
の
依怙
(
えこ
)
から、金銀の横領などにわたる私的行為の不徳までを、綿々、烈々、辞句にかざりもなく
認
(
したた
)
めて突きつけた
弾劾文
(
だんがいぶん
)
であったのである。
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
余りに、
依怙
(
えこ
)
とも評されましょう。——しかし、今日となれば、誰も
羨
(
うらや
)
み
誹
(
そし
)
る者はございますまい。猿めも、あの折口を出した
咎
(
とが
)
で、洲股へ遣らるるわと、小気味よく申すことでしょう。
新書太閤記:03 第三分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
まだ、去年の十二月に、
麓
(
ふもと
)
から、よたよた這い上がった十歳の
稚僧
(
ちそう
)
に、突如として、これを授けるとは何事だ。
依怙
(
えこ
)
にも、ほどがある。私情をもって、大法を
紊
(
みだ
)
すといわれても、いい開きはあるまい。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
此度
(
このたび
)
、南北の議奏、
叡聞
(
えいぶん
)
に達し、諸宗の
依怙
(
えこ
)
、人心の
謀
(
はか
)
りに依る。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
一、よろづに
依怙
(
えこ
)
の心なし
随筆 宮本武蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“依怙”の意味
《名詞》
頼ること。また、頼るもの。
片方をひいきすること。依怙贔屓。
私利。
(出典:Wiktionary)
依
常用漢字
中学
部首:⼈
8画
怙
漢検1級
部首:⼼
8画
“依怙”で始まる語句
依怙地
依怙贔屓
依怙贔負
依怙地者
依怙沙汰