“仮借:かしゃく” の例文
“仮借:かしゃく”を含む作品の著者(上位)作品数
吉川英治50
野村胡堂6
ロマン・ロラン3
徳田秋声2
中里介山2
“仮借:かしゃく”を含む作品のジャンル比率
文学 > フランス文学 > 小説 物語9.6%
文学 > 日本文学 > 小説 物語2.0%
文学 > 日本文学 > 評論 エッセイ 随筆0.1%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
という密告から、関白家の附近にも、番所をもうけて、その出入りを見張らせるなど、粛正の風は、仮借かしゃくをしなかった。
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そんなお祭り気分ではない、うけた無念は深刻なものだ。賛之丞があれだからと言って、とうてい仮借かしゃくすることはできない。
八寒道中 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
法令は、人間どもを、驚かせた。いや、まごつかせた。しかも、徹底的に厳行され、寸毫すんごうも、仮借かしゃくされなかった。
大岡越前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
わめきながら、決して一瞬の仮借かしゃくもするのではなかった。十歩退けば十歩迫り、五歩かわせば五歩寄ってくる。
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
こうなると、敵もあえて近づかなかった。遠巻きにして、矢を射はじめた。半裸体の典韋に矢は仮借かしゃくなく注ぎかけた。
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
何しても、幕府の武家意志なるものでは、後醍醐にたいして、みじんな仮借かしゃくも同情もしていなかったのは明らかだ。
私本太平記:05 世の辻の帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
彼は多くの外国人と同じく、自分が出会った二、三の類型によって得た仮借かしゃくなき意見を、フランス婦人全般に押し広げてしまった。
その代りに、さからう者は、仮借かしゃくなく罰し、人間を殺し、財宝をかすめとることが、党の日課だった。
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「幾ツだと訊いておるのになぜ答えん。何事も素直にいわぬと、仮借かしゃくせぬぞ。痛い目には、あいたくあるまい」
私本太平記:03 みなかみ帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その、気の荒い原士たちは、なんらの仮借かしゃくなく俵一八郎を引ッ立てて、前神の石子牢へぶちこんでしまった。
鳴門秘帖:03 木曾の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
仮借かしゃくなき武士たちは、ひとたび命をうくるや、馬謖をらっして轅門えんもんの外へ引っ立てたちまちこれを斬罪に処そうとした。
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
義貞は仮借かしゃくなく、すぐ船田ノ入道をさしむけて、わずか九ツでしかない万寿を、相模川のへんで首斬らせた。また、これに味をしめて、
私本太平記:08 新田帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
お通は、あの老婆としよりの、物に仮借かしゃくしない気質を、身に沁みて知っている。悪くすれば斬り捨てられる城太郎かも知れないと思う。
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そして一歩踏みはずしたがさいご、人の姿も家門のかたちも、かくまで急に転落するものかと、社会の仮借かしゃくなさにおどろかれた。
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それを仮借かしゃくなくズルズルと引きずってきて、やがて、大久保石見おおくぼいわみ酒宴しゅえんをしている庭先にわさきへすえた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
やぶれを取っては富田三家の恥辱、また仮借かしゃくがあっては新九郎の不為ふため、いずれにしても正しき剣の優劣を明らかにせねばならぬ。
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
治兵衛は急に雄弁になります。利害問題になると、一歩も仮借かしゃくしない様子が、平次にもよく呑込めました。
しかも、かれらが落ちゆく先には、上杉方の川中島衆が、要路をふさいで、小鳥の大群を待つかすみ網のように、仮借かしゃくない打撃を与えた。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
行く行くこの猛軍は人民の墳墓をあばいたり、敵へ内通する疑いのある者などを、仮借かしゃくなく斬って通ったので、民心は極端に恐れわなないた。
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
彼の反撥を食うと、かえって、仮借かしゃくは無用と、玄蕃も六郎左も、その傲岸ごうがんを、露骨にして、
私本太平記:05 世の辻の帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
士卒は、仮借かしゃくなく、郝萌の背に百鞭を加えた。郝萌は、のがれぬところと思ったか、悲鳴の下から、
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
寄手の兵は気が立っている。仮借かしゃくもなく引っ立ててどこかへらっして行こうとした。彼女は死にものぐるいに一時は反抗していたが、やがて、
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
直木のこの手を喰うと、私はまんまと、武蔵以上傲岸ごうがん不遜ふそん仮借かしゃくのない彼の木剣を、そら商売と大上段から貰ったに違いない。
随筆 宮本武蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
尼ヶ崎の七つ松で、信長は、かかるあわれな者たちを、仮借かしゃくなく一まとめに殺させたのである。
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「は……はい。なんとお縋りしても、東儀様には、役目とあって、仮借かしゃくをしては下さいませぬ」
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
六月にはいると、盆地特有の猛烈の暑熱が、じりじりやって来て、北国育ちの私は、その仮借かしゃくなき、地の底から湧きかえるような熱気には、仰天した。
美少女 (新字新仮名) / 太宰治(著)
それに、嘘ではなく、仮借かしゃくのない下司男げすおとこの力に、心臓がしめられるようだった。
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
すこしの仮借かしゃくもなく、打って打ち据えて、とうとう兵馬をそこへ打ち倒してしまいました。
大菩薩峠:21 無明の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
重蔵は更に仮借かしゃくなく、肉親の弟へ、向け難き刃を烈々と向けて、今は狂気のようになった。
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
庄次郎は、絶叫したが、八十三郎が激しく反抗するので、捕手たちは、仮借かしゃくしなかった。
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
平次の調子はいくらか穏やかになりましたが、その底には仮借かしゃくのない響きがありました。
だが、それは安穏で無事な生活の中にいて、現実の仮借かしゃくなさを知らないからにすぎない。
だが、こんな者をも、仮借かしゃくなく、宮方の何かと見て、容疑者のかずに入れねば気がすまぬほど、六波羅配下の彼らも、いまや逆上気味なのかもしれない。
私本太平記:03 みなかみ帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「お分りならばよいが、剣は絶対だ……手にかける以上、五分までの、七分までの、そんな仮借かしゃくがあるものではない。——さもなくば、逃げるかがあるばかり」
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
試合である以上、父子おやこの間でも、微塵みじん仮借かしゃくもあろうわけはない。
柳生月影抄 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、玉枝の背ぼねを踏みつけて、仮借かしゃくなく、彼女の両手を後ろへ廻して縛り上げた。
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
護送の検視役、平季通たいらのすえみちの組下であろう。仮借かしゃくをしない声である。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「仔細は知らん。云い開きは、都督の前でいたせ」と、兵は仮借かしゃくなく引っ立てた。
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「徳川どのは御当家のような潔白な家からも、仮借かしゃくなく、質人を召されて行った。北畠どのは、反対に、二心なき者へは、取っておかれた質人も、お帰しなさる」
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
とたんに仮借かしゃくなき父の稽古槍は、亀一の肩を烈しく突いた。亀一は、あッと叫ぶなり、槍をほうって、仰向けざまにもんどり打ち、そのまま昏倒してしまった。
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それでも昼の稽古に通う子供たちには、さすがに多少の勘弁もあったが、夜の道場に立った時には、すこしの過失も決して仮借かしゃくしないで、声を激しくして叱り付けた。
わっと乱れたが、すぐにまた捕手は彼女へ追いかかった、「御用」「御用」「御用」それは仮借かしゃくのないごずめずが針の山へ罪のものを追いあげてゆく責め声のように。
鳴門秘帖:06 鳴門の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
勝三郎信輝は、後の池田勝入しょうにゅうである。強力者だし、戦場往来の若者なので、もとより仮借かしゃくがない。組み敷かれた山伏は、彼のこぶしを一つ喰らうと、
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
が——秀吉の進撃の手は、仮借かしゃくなく前田軍をも撃ちくった。前田方の殿軍しんがり、小塚藤兵衛、富田与五郎、木村三蔵など、十数名は、この時に、討死した。
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しこうして現実は少しの仮借かしゃくもなく、あるがままに認められねばならぬ。
愛と認識との出発 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
正邪断明、罪あきらかなれば厳科に処し、家中の士とて仮借かしゃくはなかった。
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「お味方の兵でも、犯せば仮借かしゃくをなさらない。稀有けうなことじゃ」
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
我国の文化は今も昔と同じく他国文化の仮借かしゃくに外ならないのである。
向嶋 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
黄蓋はたちまち衣裳甲冑かっちゅうをはぎとられ、仮借かしゃくもなく、棍棒を振りあげてのぞむ獄卒の眼の下に、無残、老い細った肉体を、しかも衆人監視の中にさらされた。
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
平次の調子は、平淡なうちにも一歩も仮借かしゃくせぬ厳しさがありました。
道場へ出て、礼を交わし、槍をり合うと、静山は、こよいは約束どおり十本勝負であるぞと云って、前の二夜にもまさる程、仮借かしゃくないはげしさで立ちむかって来た。
剣の四君子:04 高橋泥舟 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
なぜなら、彼が何物をも仮借かしゃくしないだろうと感じていたから。
と、仮借かしゃくなき杖はふたたび持ちなおされて、お綱の新藤五を一撃に叩きおとした。そして、なお身を跳ばしてかかる脾腹ひばらをのぞんで、ウムと、左突きのこぶしがのびた。
鳴門秘帖:05 剣山の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
彼らは怜悧な面白いりっぱな人々ではあったが、孤立してるために往々逆説に傾きやすく、また仲間だけで言論する習慣のために、仮借かしゃくなき批判と饒舌じょうぜつとに傾きがちだった。
「あの弱冠じゃっかんの警吏は、犯すと仮借かしゃくしないぞ」
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
後家のおすげは、どこかにそこを頼みとしている所があった。だが、期限が来ると、彦兵衛は、仮借かしゃくしなかった。約束どおり、抵当ていとうにとった家屋を明け渡してもらおうと云う。
鍋島甲斐守 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
平次の言葉は丁寧ですが、仮借かしゃくのない厳しさがあります。
——吉原裏のおはぐろどぶ、黒い泡がブツブツと立つ、あの濁り水のような裏店うらだなで、情けも仮借かしゃくもなく育てられては、こんな姉でも、こうまで強く慕う気になるのであろう。
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
三位卿の仮借かしゃくないあばき方には、もう絶対に抗弁する余地がなかった。なおさらのこと、みすみすつづらを運ばれて行っても、はばめる気力などはない。被征服者の屈伏があるのみだ。
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
平次の論告は峻烈しゅんれつで一歩も仮借かしゃくしません。
銭形平次捕物控:130 仏敵 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
そして、あの物に大まかな叔父も、ひとたび怒ると、肉親であれ眷族けんぞくであれ、仮借かしゃくせぬぞ——というきびしい人間であったことを、今さらのように、知ったにちがいなかった。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
然し読者はそんなことなど仮借かしゃくしては読みません。
親鸞の水脈 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「——が、いつまでそのはくわぬ。姻戚以外、甲斐に武田信玄あることを、思い知らせてやらねばならぬ。家康の質子は出奔した。これ、家康から義を絶つもの。もう何の仮借かしゃくを要そう」
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「よくもこの綱吉に一代の恥かかせおったな。裁きは豊後に申しつくる。なお、町人どもをどのように苦しめているやも知れぬ。仮借かしゃくのう糾明きゅうめいせい。——目障りじゃ。早うひけいッ」
手下達は仮借かしゃくなく老人の衣服を解きほぐした。
人間山水図巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あたりにひそんでいた鉄甲の武者の、おびただしい人影は、たちまち包囲して、くくりあげたのか、斬りころしたものか、その結果すら見え分かぬほど、手早く仮借かしゃくなく始末してしまった。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
これが不正な仮借かしゃくでありませんやうに。
恢復期 (新字旧仮名) / 神西清(著)
それは最初のうちに、国を治める人が方便のためにしたことが、後日はその方便が方便の仮借かしゃくから離れて、そのことそのものに、われとつけてしまったはくのために、われと迷うているのでございます。
大菩薩峠:38 農奴の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
と「小羊こひつじ漫言」に『早稲田文学』の総帥坪内逍遥は書いたが、おとめ問題での美妙の反駁文には手厳しかった。「小説家は実験を名として不義を行うの権利ありや」という表題で仮借かしゃくなくやった。
田沢稲船 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
だが、なんで捕手に、仮借かしゃくがあろう。
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
が、現下にはもうそんな仮借かしゃくがない。
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
たとえば、荒木と毛利の両軍が聯合してたてこもっている兵庫の花隈城はなくまじょうへ対してなど、不断に攻撃をつづけ、須磨すま、一ノ谷、六甲あたりの寺院でも村々でも仮借かしゃくなく焼きたてた。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「ええ、元成どのは、迎えのご家来たちにかこまれて、一日の仮借かしゃくもなく、もう伊賀へ立たれました。ただわたくしは、こうなる以上、ご無事のうちに、ひと目でも、お別れをしてゆきたいと存じまして」
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
たとい村芝居でも仮借かしゃくはしなかったほど藩の検閲は厳重で、風俗壊乱、その他の取り締まりにと木曾福島の役所の方から来た見届け奉行ぶぎょうなぞも、狂言の成功を祝って引き取って行ったくらいであった。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
下知をうけると、獄卒たちは仮借かしゃくをしない。あらゆる方法で吉平の肉身をいじめつけた。けれど吉平の容子は——その五体の皮肉こそあけにまみれてはいたが——常の落着きとすこしも変るふうはなかった。
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
落首は、ご新政をひぼうするものとして、検非違使ノ役人が見つけしだい取り払って捨て、また下手人は仮借かしゃくなく挙げてもいたが、なお三条、七条河原などに、夜陰、落首をたてて世を皮肉る者がたえなかった。
「なれど、おうえにはなんとしても、左馬頭がおきらいなのです。左馬頭と申しただけでおいろの変るほどにです。左馬殿もまた事々に、ここのお扱いには、きびしさばかり、すこしの仮借かしゃくもおありでない」
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
宦官的かんがんてきな側用人、腐敗しきった無能吏、つべこべ出入する阿諛的あゆてき儒者、大奥と表との見えざる穴道を往来する城鼠奸人じょうそかんじんともがらなど、仮借かしゃくなく、罷免させた。
大岡越前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しかしながら、最後まで突進して、たとい苦しみを受けようとも、事物の真相を見きわめんと欲する、誠実な魂の仮借かしゃくなき本能には、どうして抵抗することができよう?——で彼はついに神聖なる作品をひらいた。
「故なく陣地を離れる者は、仮借かしゃくなく斬れ。卑劣なる脱走者は、鉄砲で追い撃ちにせよ。浮説虚言を放ち、味方にして味方の内に、士気をくじくがごとき振舞いある者は、即座に、突き殺して見せしめとせい」
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その老大家は、煉脂ねりあぶらを塗りたて、金持ちで高名で、あらゆる学芸院の会員であり、最高位に上りつめていて、もはや何も恐るべきものも仮借かしゃくすべきものもないらしく見えながら、あらゆる人の前に平伏し
「いや殿はそうでも、朝廷方では、殿の恭順など一切みとめてなどおりません。——ひとたび、官軍がここへ迫らば、たとえ染衣剃髪せんえていはつのお身とおなりであろうとも、何で、仮借かしゃくなどするものですか」
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
仮借かしゃくはいらぬ、斬れ!)
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
平次は仮借かしゃくのない顔です。
それでも、彼はなお、しばしば怪しからぬ大官の罪をただして仮借かしゃくしなかったため、ついにそういう大官連から排撃されて、やがて免職をいい渡され、ぜひなく郷土に老骨をさげて、一庶民に帰してしまった人だとある。
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
とばかり、仮借かしゃくはない。
私本太平記:01 あしかが帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
仮借かしゃくしなかった。
縮図 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
仮借かしゃくすな」
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
彼は、この挙動が何か心の余裕をもっているように見えて、その実仮借かしゃくのないあさましいものだことに十分気がついていたが、思いのほか町の更けているのを見ると、一層それがはっきりするようで、内心来たことを悔いる心にもなっていた。
仮装人物 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
「ふム……。そこで承知でもあろうが、当流は御先代以来、天下に鳴りわたっている宝蔵院一流の槍じゃ。荒い、激しい、仮借かしゃくのない槍術じゃ。一応、その授業芳名録のいちばんはじめにしたためてある文を読んでからにいたしてはどうだな」
宮本武蔵:03 水の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
——以来芸州の福島正則まさのり、肥後の加藤忠広を始め、駿河大納言するがだいなごん家にいたるまで、仮借かしゃくなく剔抉ていけつし、藩地を召上げ、正則も配流はいる、忠広も流罪るざい、大納言家も、今、御幽閉させて、上意を待たるるお身の上だ。
柳生月影抄 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ために、信長その人について、深い理解をもち得ない敵国の民衆は、織田軍と聞けば、涙も仮借かしゃくもないものと一途いちずに怖れおののいて、その幕営をめぐって市が立つどころか、求めても、人は逃げてしまうし、さがしても、物資は地下にかくされてしまう。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いや、光厳のみかどすらも、ひだりのひじに一矢をうけて、鞍つぼを鮮血に染められていたし、まわりの女房輿にょうぼうごしにも、仮借かしゃくなき矢がブスブス立って、みかど同様、駒の背にお姿をさらしている法皇、上皇など、もちろん、お人心地もないすがたであった。
私本太平記:08 新田帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
七、八年前から、阿波の領境りょうざかいを封じて、かりそめにも、領土の内状をうかがおうとする者には、恐ろしく神経をとがらせている蜂須賀家では、今日までの間、銀五郎以外の者でも、ずいぶん仮借かしゃくなくばくし上げて、その目的をたださねばやまなかった。
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いったい痴川という人は見掛倒しの人ではあるが、見掛けははなは仰山ぎょうさんな、その現われるや陰惨な翳によって四囲をたちま黄昏たそがれの中へ暗まし、その毒々しい体臭によって、相手の気持を仮借かしゃくなく圧倒する底の我無者羅がむしゃらな人物であった。
小さな部屋 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
奉行は、その前に、頼朝に対する清盛の仮借かしゃくない気もちをそれとなく聞いていたので、常磐に対しては、なおさら主人のむねにかなうように苛烈かれつに扱ったのであったが、案に相違したので非常に狼狽し、やがて彼女を館の下屋しもやまで召つれて来た折には、客を伴うように、いたわり慰めた。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)