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ふえて
ふりがな文庫
“
不得手
(
ふえて
)” の例文
わたしは話が
不得手
(
ふえて
)
なほうですから、
無味乾燥
(
むみかんそう
)
なあっけない話になるか、それともだらしない調子はずれな話になるか、そのどっちかです。
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
能
(
よ
)
く
饒舌
(
しゃべ
)
りもし、飛び
廻
(
ま
)
わり
刎
(
は
)
ね廻わりして、
至極
(
しごく
)
活溌にてありながら、木に登ることが
不得手
(
ふえて
)
で、水を泳ぐことが
皆無
(
かいむ
)
出来ぬと云うのも
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
しかし、
小幡民部
(
こばたみんぶ
)
は、こうした
斬合
(
きりあい
)
はごく
不得手
(
ふえて
)
であった。
太刀
(
たち
)
をもって人にあたることは、かれのよくすることではない。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
持ば
震
(
ふるへ
)
が
出
(
いで
)
槍
(
やり
)
も同樣
手跡
(
しゆせき
)
に於ては惡筆の上なしゆゑとんと其方は
不得手
(
ふえて
)
なりと申に長兵衞は若々其樣に
御卑下
(
ごひげ
)
なされては御相談が出來ぬと云を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
というような普通の人情の触手は生れつき退化し、それによって人と
縺
(
もつ
)
れ合うことはとかくに
不得手
(
ふえて
)
だったらしい。
宝永噴火
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
▼ もっと見る
不承不承に
不得手
(
ふえて
)
な採鉱の方に廻ったお蔭で、ヤット炭坑から学資を出してもらう事が出来たのであったが
斜坑
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
僕はそういうことは一向
不得手
(
ふえて
)
なので、友人の医者に頼んで見てもらったのだが、このピンの頭がひどくゆがんでいる。何か
角
(
かど
)
のあるものでたたきつけた跡だ。
一寸法師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
こんな所を歩くのは、
山岳家
(
さんがくか
)
なら朝飯前の仕事であろうが、私は元来中学時代に機械体操が非常に
不得手
(
ふえて
)
で、鉄棒や
棚
(
たな
)
や
木馬
(
もくば
)
にはいつも泣かされた男なのである。
吉野葛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
シネクネと
身体
(
からだ
)
にシナを付けて、語音に
礼儀
(
れいぎ
)
の
潤
(
うるお
)
いを持たせて、
奥様
(
おくさま
)
らしく気取って挨拶するようなことはこの細君の大の
不得手
(
ふえて
)
で、
褒
(
ほ
)
めて
云
(
い
)
えば
真率
(
しんそつ
)
なのである。
鵞鳥
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
金次郎はなかなか腕の出来た人であったが、仏を彫刻することは
不得手
(
ふえて
)
であって、仏に附属するところの、台座とか、後光とかいうようなものの製作が
美事
(
みごと
)
であった。
幕末維新懐古談:06 高村東雲の生い立ち
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
日本人のとかく語学に
不得手
(
ふえて
)
なるやうにいはるるは中学校にて日本の教師に英語の手ほどきされるがためなるべし。小学中学の恐るべきはこれだけにても知らるるなり。
小説作法
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
「どうも私には、人の持っているものをさがすのは
不得手
(
ふえて
)
だ。これはやはり帆村探偵の専門だよ」
怪塔王
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
とこの婆やは片仮名の西洋名前が
不得手
(
ふえて
)
だ。アレキサンダーも言えない。アレさんと呼んでいる。
負けない男
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
打ち勝て。以上、一般論は終りだ。どうも僕は、こんなわかり切ったような概念論は、
不得手
(
ふえて
)
なのだ。どんな、つまらない本にだって、そんな事は、ちゃんと書かれてあるんだからね。
乞食学生
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
さてその目的を達してしまふと、何か外の方角へ手を出すのである。そんな風で、幼年学校にゐた間、あらゆる学科の最優等生になつてゐた。その頃フランス語の会話が只一つ
不得手
(
ふえて
)
であつた。
パアテル・セルギウス
(新字旧仮名)
/
レオ・トルストイ
(著)
鉄風 俺は、どうも、そう言うことは
不得手
(
ふえて
)
だよ。万事、君に一任する。
華々しき一族
(新字新仮名)
/
森本薫
(著)
ナニ
横着
(
わうちやく
)
な事があるものか、イエ
彼
(
あれ
)
はほんの心ばかりの
祝
(
いはひ
)
なんで、
如何
(
いか
)
にも
珍
(
めづらし
)
い物を
旧主人
(
きゆうしゆじん
)
から
貰
(
もら
)
ひましたんでね、
実
(
じつ
)
は
御存知
(
ごぞんぢ
)
の
通
(
とほ
)
り、
僕
(
ぼく
)
は
蘭科
(
らんくわ
)
の
方
(
はう
)
は
不得手
(
ふえて
)
ぢやけれど、
時勢
(
じせい
)
に追はれて
止
(
や
)
むを
得
(
え
)
ず
八百屋
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
『おれは
不得手
(
ふえて
)
だ』
酒徒漂泊
(新字新仮名)
/
佐藤垢石
(著)
ぼく余りお邪魔しに行かぬよう心掛け、手紙だけでも時々書こうと思い、筆を
執
(
と
)
ると、えい面倒、行ってしまえ、ということになる。手紙というもの、実にまどろこしく、ぼくには
不得手
(
ふえて
)
。
虚構の春
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
この書生輩の
行末
(
ゆくすえ
)
を察するに、専門には
不得手
(
ふえて
)
にしていわゆる事務なるものに長じ、
私
(
し
)
に適せずして官に適し、官に容れざれば
野
(
や
)
に煩悶し、結局は官私不和の
媒
(
なかだち
)
となる者、その大半におるべし。
学者安心論
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
芳夫さんは数学は
不得手
(
ふえて
)
だけれど、英語は
迚
(
とて
)
も能く出来る。如何にも入学試験に出そうな問題を拵えて教えてくれる。それに未だ学校を卒業したばかりで試験については敏感だから同情が深い。
親鳥子鳥
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
返事をフランス語で書くのは、場はずれのような気がするし、さりとてロシア語の
綴
(
つづ
)
りにかけては母は
不得手
(
ふえて
)
だったし——自分でもそれを知っていたので、みすみす
恥
(
はじ
)
をさらしたくなかったのである。
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
一つには中学校長に
扱
(
こ
)
き
下
(
おろ
)
された憤慨がある。頭が好いか悪いか見て貰おうという気だった。語学数学共に
不得手
(
ふえて
)
だけれど、歴史丈けはいつも点が好かった。早川君もこの専門に興味を持ってくれた。
ある温泉の由来
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
“不得手”の意味
《名詞》
得意でないこと。不得意。
好きではないこと。
(出典:Wiktionary)
不
常用漢字
小4
部首:⼀
4画
得
常用漢字
小5
部首:⼻
11画
手
常用漢字
小1
部首:⼿
4画
“不得”で始まる語句
不得要領
不得已
不得
不得心
不得止
不得策
不得御意