不可いかん)” の例文
「それはそうと、お前の家でも高輪に居据りだね。今のままでは到底不可いかんぞ。久米さんだってもそう長く頼んで置く訳には行くまい」
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
どこまでもそれに付け込んで彼女の名誉や生命にまで関渉かんしょうせんとするときには、どっこい、それは不可いかんと毅然としてこれをしりぞける。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
植民地的な、活氣のある氣風の多少殘つてる處もあるかも知れないが、此函館の如きは、まあ全然まるで駄目だね。内地に一番近い丈それ丈不可いかん
漂泊 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
人生ライフ々々ライフというが、人生ライフた一体何だ。一個の想念ノーションじゃないか。今の文学者連中に聞き度いのは、よく人生に触れなきゃ不可いかんと云う、其人生だ。
私は懐疑派だ (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
左様さうさナ」と主人は頬でつゝ「づ不敬罪あたりへ持つて行くのだ、吹つ掛けはるべく大きくないと不可いかんからナ」
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
「おい、声を出しちゃあ不可いかん、黙っていな、おとなしくしてついておいで。あれそれ謂っちゃあ第一何だ、お前の恥だ。往来で見ッともない、人が目をつけて顔を見るよ。」
黒百合 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「気を付けないと不可いかんよ。少し低気圧が来ているから」と注意した。代助は立ち掛けながら
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
『お前大分やつれたぢやないか。医者に見てもらはなくちや不可いかん。』
若芽 (新字旧仮名) / 島田清次郎(著)
「女気が無いと寂しくて不可いかん
天草四郎の妖術 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
わたくしは酒は不可いかんのです」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
どうしても東京に置いちゃ不可いかん……満洲の方にでも追って遣らにゃ不可……今度行ったら、俺がギュウという目に逢わせてくれる
家:02 (下) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
植民地的な、活気のある気風の多少残ツてゐる処もあるかも知れないが、此函館の如きは、まあ全然まるで駄目だね。内地に一番近い丈それ丈不可いかん
漂泊 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
「気をけないと不可いかんよ。少し低気圧がてゐるから」と注意した。代助はち掛けながら
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
し、婿さんは癪に障ったろう。癪に障ったろうが、また夫人その人の身になって、その時には限らぬが、すべて神月の性質と、おこないを見た時の夫人の失望を察せんけりゃ不可いかん
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
之を制止する声かへつて難船者の救助を求むる叫喚の如くぞ響く「最早もう立錐りつすゐの地が無いのだ」「コラ、垣を越えては不可いかん」「すな/\」「提灯ちやうちんぶれるワ」「痛い/\」「ヤア/\」
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
正直の理想にも叶って居らん……と思うものの、また一方では、同じく「正直しょうじき」から出立して、親のすねを噛っているのは不可いかん、独立独行、たれの恩をもては不可いかん、となる。すると勢い金が欲しくなる。
予が半生の懺悔 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
『はゝゝゝゝ、君は直に左様さうおこるから不可いかん。なにも君だと言つた訳では無いよ。真箇ほんたうに、君のやうな人には戯語じようだんも言へない。』
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
浪人といふと、チヨン髷頭やブツサキ羽織を連想して不可いかんが、放浪の民だね、世界の平民だね、——名は幾何いくらでもつく、地上の遊星といふ事も出来る。
漂泊 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
そのにくむべき感謝状を、かういつた上でも、裂いて棄てんか。やつぱりましいことはないが、些少ちょっとも良心がとがめないか、それが聞きたい。ぬらくらの返事をしちやあ不可いかんぞ。
海城発電 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
何故内務大臣は之を禁じない——ナニ——だから貴様等は不可いかんと言ふのだ、法律などに拘泥かうでいして大事が出来るか、俺など皆な国禁を犯して維新の大業を成したものだ、早速電話で言うて
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
「そ、そ、それだから不可いかん、そう君は内気だから不可」
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
不可いかん? そりやこまる。何故なぜ不可いかんです」
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
「それです。塩瀬の店のものもそう言います——何処か不安なところが有ると見える——こりゃ大にかえりみなけりゃ不可いかんぞ」
家:02 (下) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
ほんを讀んでも何が書いてあるやら解らず。これや不可いかんと思つて、聲を立てて讀むと何時しか御經の眞似をしたくなつたり、薩摩琵琶の聲色になつたりする。
散文詩 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
「あ、いずれもそのままそのまま。」と避けんとする者を手もて制し、き処に座を占めて、「これが勝手じゃ構わずと大事ない。わしが来たからとてそう改まっては不可いかんじゃ。 ...
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ここは私も一つ蹈張ふんばらんけりゃ不可いかん、と思って、大御新造の前では強いことを言っていますが……時々私は夢を見ます。
家:02 (下) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
『それや不可いかん。止せ、後藤君。自殺は弱い奴等のするこツた。……死ぬまでれ。いや、殺されるまでだ。……』
漂泊 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
そのにくむべき感謝状を、こういった上でも、裂いて棄てんか。やっぱりましいことはないが、ちょっとも良心がとがめないか、それが聞きたい。ぬらくらの返事をしちゃあ不可いかんぞ。
海城発電 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「もう一つ断って置くが、節ちゃんの方に心残りがあっても不可いかんからナ、貴様から餞別せんべつを贈ることは見合せて貰いたい」
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
『それや不可いかん。止せ、後藤君。自殺は弱い奴等のするこつた。……死ぬまでれ。いや、殺されるまでだ。……』
漂泊 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
「何だ、そうかも知れません? これ、無責任の言語を吐いちゃあ不可いかんぞ。」
海城発電 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「いいかね。僕の言ったことを君は守らんければ不可いかんよ。尺八を買わないうちに食って了っては不可いかんよ。」
朝飯 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
浪人といふと、チョン髷頭やブッサキ羽織を連想して不可いかんが、放浪の民だね。世界の平民だね。——名は幾何いくらでもつく、地上の遊星といふ事も出來る。道なき道を歩む人とも云へる。
漂泊 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
「何だ、左様かも知れません? これ、無責任の言語を吐いちやあ不可いかんぞ。」
海城発電 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
お前のように独りで考え込んでしまって、下手なことをしちゃ不可いかんぜ——そんなら、今日はこれで帰る
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
建設の大業は後に來る天才に讓つて、我々は先づ根柢まで破壞の斧を下さなくては不可いかん。然しこの戰ひは決して容易な戰ひではない。容易でないから一倍元氣がる。元氣を落すな。
雲は天才である (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
不可いかんのう、早くしや早くしや、小児こどもたかって煩悩うるさいからの。」
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「高瀬は、君、あんまり澄してるからね、ちっと引張ひっぱり出さんけりゃ不可いかんよ」と言って、相川は原の方を見て、「君も引越して来たら、是非吾儕われわれの会の為に尽力してくれ給え」
並木 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
建設の大業は後にる天才に譲つて、我々は先づ根柢まで破壊の斧を下さなくては不可いかん。然しこの戦ひは決して容易な戦ひではない。容易でないから一倍元気が要る。元気を落すな。
雲は天才である (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
豚肉とんにく不可いかんぞ。」
黒百合 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
『それは不可いかん。上げるものは上げる、頂くものは頂くサ。え——君は斯の方はらないのかと思つたが、なか/\いけますねえ。君の御手並を拝見するのは今夜始めてだ。』
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
……これでも不可いかんといふなら、僕は自分で上つて行つて、尋ねる人に逢ふ迄サ。
雲は天才である (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
『では、貧民とか労働者とか言ふやうなものに同情を寄せるのは不可いかんと言ふのかね。』
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
……これでも不可いかんといふなら、僕は自分で上つて行つて、尋ぬる人に逢ふ迄サ。
雲は天才である (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
お前さまは算盤そろばんの方も好くやらんと不可いかんぞなし……お前さまの責任は重いぞなし……
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
先刻からのお話は、結局あの歌を生徒に歌はせては不可いかん、といふ極く明瞭な一事に帰着するんですね。色々な順序の枝だの細目の葉だのを切つて了つて、肝胆を披瀝ひれきした所が、さうでせう。
雲は天才である (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
『男振の好い人の中に入ると、私の顏が一層惡く見えて不可いかんけれども。』
菊池君 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
「寅どんが? そいつは不可いかんナ」と真勢さんも言った。
桜の実の熟する時 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
『男振の好い人の中に入ると、私の顔が一層悪く見えて不可いかんけれども。』
菊池君 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
「笑わせるから不可いかんよ」
桜の実の熟する時 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)