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顛倒
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てんだう
ふりがな文庫
“
顛倒
(
てんだう
)” の例文
お利榮は四十二三の
愚痴
(
ぐち
)
つぽい女で、夫の急死と娘の
失踪
(
しつそう
)
に
顛倒
(
てんだう
)
し、何を訊いてもしどろもどろですが、主人の前身に就ては
銭形平次捕物控:165 桐の極印
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
其
(
そ
)
の
事
(
こと
)
は、
私
(
わたし
)
が
今
(
いま
)
まで
居
(
ゐ
)
た
所
(
ところ
)
へ、
當人
(
たうにん
)
から
懸
(
か
)
けた、
符牒
(
ふてふ
)
ばかりの
電話
(
でんわ
)
で
知
(
し
)
れて、
實際
(
じつさい
)
、
氣
(
き
)
も
顛倒
(
てんだう
)
して
急
(
いそ
)
ぐんです。
行
(
い
)
かないで
何
(
ど
)
うしますか、
行
(
い
)
つては
惡
(
わる
)
いんですか。
三人の盲の話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
此
(
この
)
種
(
しゆ
)
の
海鳥
(
かいてう
)
は、
元來
(
ぐわんらい
)
左迄
(
さまで
)
に
性質
(
せいしつ
)
の
猛惡
(
まうあく
)
なもので
無
(
な
)
いから、
此方
(
こなた
)
さへ
落付
(
おちつ
)
いて
居
(
を
)
れば、
或
(
あるひ
)
は
無難
(
ぶなん
)
に
免
(
まぬが
)
れる
事
(
こと
)
が
出來
(
でき
)
たかも
知
(
し
)
れぬが、
不意
(
ふい
)
の
事
(
こと
)
とて、
心
(
しん
)
から
顛倒
(
てんだう
)
して
居
(
を
)
つたので
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
ぐつと襟元を
掴
(
つか
)
んで引寄せられるやうな強い魅力を感じると共に、
果
(
はて
)
は我れを忘れて
其中
(
そのなか
)
へ突き
入
(
い
)
つて共に
顛倒
(
てんだう
)
し共に混迷したいやうな気持になるのは
何
(
ど
)
う云ふ
訣
(
わけ
)
であらう。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
殺され心
顛倒
(
てんだう
)
して
只
(
たゞ
)
其處
(
そこ
)
よ
此所
(
ここ
)
と
胡亂
(
うろ
)
つき居けるゆゑ町役人は
叱
(
しか
)
り
付
(
つけ
)
自身番
(
じしんばん
)
へと
急
(
いそ
)
ぎけり
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
▼ もっと見る
やがて娘の母
皈
(
かへ
)
り来りおはたやに娘のをらぬを見ていぶかり、しきりにその名をよびければ、かの木小屋にきゝつけて
遽驚
(
あはておどろ
)
き男は
逃去
(
にげさ
)
り、娘は
心
(
こころ
)
顛倒
(
てんだう
)
して
身
(
み
)
を
穢
(
けがし
)
たるも
打忘
(
うちわす
)
れおはたやにかけ入り
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
「武家の娘だ、が——すつかり
顛倒
(
てんだう
)
して居るらしいぜ。八親分、こりや飛んだ大きな仕事かも知れないよ」
銭形平次捕物控:022 名馬罪あり
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
と
震聲
(
ふるへごゑ
)
で、
慌
(
あわ
)
てて、むつちりした
乳
(
ちゝ
)
の
下
(
した
)
へ、
扱帶
(
しごき
)
を
取
(
と
)
つて
卷
(
ま
)
きつけながら、
身體
(
からだ
)
ごとくる/\と
顛倒
(
てんだう
)
して
𢌞
(
まは
)
る
處
(
ところ
)
へ、づかと
出
(
で
)
た
母親
(
はゝおや
)
は
驚
(
おどろ
)
いて、
白晝
(
まつぴるま
)
の
茜木綿
(
あかねもめん
)
、それも
膝
(
ひざ
)
から
上
(
うへ
)
ばかり。
一席話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
でも藤兵衞が自害したので、すつかり
顛倒
(
てんだう
)
して居たよ、——俺はあの時氣がつく筈だつたが——藤兵衞を疑つたばかりにお杉には氣がつかなかつたのは不覺さ。
銭形平次捕物控:062 城の絵図面
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
矢玉
(
やだま
)
の
音
(
おと
)
に
顛倒
(
てんだう
)
して、
御臺
(
みだい
)
御流産
(
ごりうざん
)
の
體
(
てい
)
とも
見
(
み
)
える。
銭湯
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
お靜はあまりの事に
顛倒
(
てんだう
)
して、平次の膝に
縋
(
すが
)
り附くと、赤ん坊のやうにイヤイヤをしながら泣きました。
銭形平次捕物控:024 平次女難
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
二人はあまりの事に
顛倒
(
てんだう
)
して、其處までは打ち合せて置かなかつたのです。それと氣がついて、お銀さんは蒼くなつてしまひました。錢形の親分はきつと氣が付くに相違ないと
銭形平次捕物控:310 闇に飛ぶ箭
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
養ひ娘のお冬は、すつかり
顛倒
(
てんだう
)
して、お勝手へ、店へと、急を告げに飛んだのです。
銭形平次捕物控:223 三つの菓子
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
、平次に掴ませようとしたのは、あまりの事に
顛倒
(
てんだう
)
して、取り敢へず岡つ引の觸りを
銭形平次捕物控:004 呪ひの銀簪
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
柏木では主人藤兵衞が死んで、三日目の此の騷ぎに、眞に上を下への
顛倒
(
てんだう
)
ぶりです。
銭形平次捕物控:062 城の絵図面
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
併
(
しか
)
しこれだけ
顛倒
(
てんだう
)
すると、急にお勝手へ飛んで行つて、行燈や手燭を持つて來るほどの氣の廻る人間もなく、お勝手に居る
飯炊
(
めした
)
きと近所の女房達は、奧の騷ぎにすつかり
怯
(
おび
)
えてしまつて
銭形平次捕物控:002 振袖源太
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
平次は多勢の眼に迎へられて、明るい店に入りながら、一應八方へ氣を配つて見ましたが、唯もうこの事件に
顛倒
(
てんだう
)
してしまつた人達の、
硬張
(
こはば
)
つた顏からは、何んにも讀み取りやうはありません。
銭形平次捕物控:287 血塗られた祝言
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
顛倒
(
てんだう
)
した小娘が、死骸の手に氣のつかなかつたのも無理はありません。
銭形平次捕物控:304 嫁の死
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
小峰右内は、武家の御用人らしくもなく、少し
顛倒
(
てんだう
)
して居りました。
銭形平次捕物控:109 二人浜路
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「左樣、何分の騷ぎに
顛倒
(
てんだう
)
して、雨戸を閉めるのを忘れてゐたのだ」
銭形平次捕物控:195 若党の恋
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
お國は氣も
顛倒
(
てんだう
)
して
銭形平次捕物控:006 復讐鬼の姿
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
顛
漢検準1級
部首:⾴
19画
倒
常用漢字
中学
部首:⼈
10画
“顛倒”で始まる語句
顛倒上下
顛倒夢想
顛倒淋漓
顛倒狼狽
顛倒衆生