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きょうこ
ふりがな文庫
“
鞏固
(
きょうこ
)” の例文
かような荒療治をともかく強行し得るということ自体がすでにスターリン政権とソヴェートの統一との
鞏固
(
きょうこ
)
さを示しているといい得る。
政治の論理と人間の論理
(新字新仮名)
/
三木清
(著)
その生活様式の中で、一番必然であり
鞏固
(
きょうこ
)
でありかつ深いものは協団である。再び宗教にこれを例えるのが、一番明瞭であろう。
民芸四十年
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
或る社会では組織の
鞏固
(
きょうこ
)
のみに重きを置かれる時代があります。既成の組織を以て絶対のものとなし、個性の自由発展は著しく束縛される。
流れ行く歴史の動力
(新字新仮名)
/
津田左右吉
(著)
物は最も広大にして
鞏固
(
きょうこ
)
なる容器の中に収めて置くことが最も安全です。一斗の水を一升
桝
(
ます
)
に入れようとすれば必ず
溢
(
あふ
)
れます。
三面一体の生活へ
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
味方は
鞏固
(
きょうこ
)
なる内線作戦に満を持し、敵は大東亜共栄圏中断と日本本土空襲を目ざして、めくら滅法の前進をつづけていた。
偉大なる夢
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
▼ もっと見る
持統天皇の在位は皇孫珂瑠の保育にあったが、太政大臣に高市皇子を任じ、補佐するに葛野王あり、家族政府として極めて
鞏固
(
きょうこ
)
な団結であった。
道鏡
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
敵国側の団結は予想以上に
鞏固
(
きょうこ
)
で一七五七年のため約四十万の兵力を使用し得るに対し、大王はその半数をもってこれに対応することとなった。
戦争史大観
(新字新仮名)
/
石原莞爾
(著)
エクレシアにおける霊のつながりはできるだけ
鞏固
(
きょうこ
)
であり、制度的つながりはできるだけ
緩
(
ゆる
)
いことが、エクレシヤの本質に適うものと思います。
キリスト教入門
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
この方の名をテンジン・チョェ・ギャル(
教持法王
(
きょうじほうおう
)
)と言う。なかなか温順な方で、また侵し難い程意思が
鞏固
(
きょうこ
)
なのです。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
名主職の権利が尋常の百姓職に比べて得分多くかつ
鞏固
(
きょうこ
)
であったのは、まったくかくのごとき由緒あるがためである。
地名の研究
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
法治国においてはかくのごとき方法によりて自己の意志の
鞏固
(
きょうこ
)
なることを示すを必要とする場合ははなはだ少ない。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
その団体も
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(
きょうこ
)
なのはすくなく、仕事ぶりも不良少年のそれのように露骨でないから、なかなか当りが付きにくい。
東京人の堕落時代
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
私の友人に荒谷実乗という人がいます。たいへん豪胆な、意志の
鞏固
(
きょうこ
)
な男ですが、彼がかつて軍隊にいた時、何かのはずみで、
脚部
(
あし
)
を負傷したのです。
般若心経講義
(新字新仮名)
/
高神覚昇
(著)
思うに誰でも国を富まし、兵を強うし、以て国家
万年
(
まんねん
)
の基礎を
鞏固
(
きょうこ
)
にするという事を願わぬものはありますまい。
国民教育の複本位
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
たとい将来においてキリスト教の勢力を進歩したりとてこれがために一国の一致を
鞏固
(
きょうこ
)
ならしむることはあるももって散漫ならしむることはあるべからず。
将来の日本:04 将来の日本
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
生をぬすまんがために、表面追従するだけで、生の拡大と
鞏固
(
きょうこ
)
とを
欣求
(
ごんぐ
)
するような英雄は一人も来やしない。
大菩薩峠:39 京の夢おう坂の夢の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
世に狡獪
姦佞
(
かんねい
)
の輩あり、国家権威の
鞏固
(
きょうこ
)
を唱道するを
誣
(
し
)
いて専権圧制の論となす、大識見を備うる者にあらざるよりは、それよく惑わすところとならざらんや。
近時政論考
(新字新仮名)
/
陸羯南
(著)
と、夫人は、いつに似げなく
鞏固
(
きょうこ
)
に、忠興の
不機嫌
(
ふきげん
)
が納まるまで、手をつかえたきり哀願をやめなかった。
日本名婦伝:細川ガラシヤ夫人
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
これを思いわずらって暫くは途方に暮れましたが、しかし彼女の
鞏固
(
きょうこ
)
な意力は遂にこの
試煉
(
しれん
)
にも耐えて、その大きな悲しみをも見事に克服してしまったのでした。
キュリー夫人
(新字新仮名)
/
石原純
(著)
意志が
鞏固
(
きょうこ
)
で、周囲に支配されるようなことがなく、どこまでも自分を立て通すだけの力をもっていた。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
日本皇帝陛下の宣戦の
詔勅
(
しょうちょく
)
によれば、東洋の平和を維持し、かつ韓国の独立を
鞏固
(
きょうこ
)
ならしむるという御趣旨であったから、その当時韓国人は非常に感激いたしまして
安重根:――十四の場面――
(新字新仮名)
/
谷譲次
、
林不忘
(著)
一見すこぶる
鞏固
(
きょうこ
)
であるかに見える彼の意志も、その用いられ方が甚だ保守的であって、全然未知な精神的分野の開拓に向って、それが用いられることは決して無い。
斗南先生
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
煉瓦
(
れんが
)
石材を用いるやや永続的な様式は移動できないようにしたであろう、
奈良朝
(
ならちょう
)
以後シナの
鞏固
(
きょうこ
)
な重々しい木造建築を採用するに及んで実際移動不可能になったように。
茶の本:04 茶の本
(新字新仮名)
/
岡倉天心
、
岡倉覚三
(著)
もちろん、朝鮮征伐をしたことなどについては、世間には色々と意見もあるようですが、結局は私が日本の独立を
鞏固
(
きょうこ
)
ならしめんために計ったにほかならないのであります。
空中征服
(新字新仮名)
/
賀川豊彦
(著)
「ふうん」と云って高柳君は首を
低
(
た
)
れた。文学は自己の本領である。自己の本領について、他人が答弁さえ出来ぬほどの説を
吐
(
は
)
くならばその本領はあまり
鞏固
(
きょうこ
)
なものではない。
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
女の美しいこと賢いことは初めから
希
(
のぞ
)
まなかった。ただ一点愛において二人は確実に結合していると信じた。しかしながら本能的な愛は私の期待したごとくけっして
鞏固
(
きょうこ
)
ではなかった。
愛と認識との出発
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
支那工人の団結心は、一個の死体のために、ますます
鞏固
(
きょうこ
)
に塊まり出したのだ。
上海
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
(大学生諸君、意志を
鞏固
(
きょうこ
)
にもち
給
(
たま
)
え。いいかな。)たべ物の中から、
一寸
(
ちょっと
)
細長い白いもので、さきにみじかい毛を植えた、ごく
率直
(
そっちょく
)
に云うならば、ラクダ印の
歯磨楊子
(
はみがきようじ
)
、それを見たのだ。
フランドン農学校の豚
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
余の考へにては能楽は宮内省の保護を仰ぐかもしくは華族の
鞏固
(
きょうこ
)
なる団体を作つてこれを保護するか、どちらかの道によらなければ今日これを維持して行くのは、非常の困難であらうと思ふ。
病牀六尺
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
一面には
是
(
かく
)
の如くに将士に宣言し、又一面には書を帝に
上
(
たてまつ
)
りて曰く、皇考太祖高皇帝、百戦して天下を定め、帝業を成し、之を万世に伝えんとして、諸子を封建したまい、宗社を
鞏固
(
きょうこ
)
にして
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
一揆
(
いっき
)
が事を起す前に七人の同志と江戸に潜行し将軍御膝元で事を挙げるつもりでしたが、島原の乱も案外早く平定し、徳川の
礎
(
いしずえ
)
はいよいよ
鞏固
(
きょうこ
)
で、
痩
(
やせ
)
浪人の策動ではどうにもならないと解ると
銭形平次捕物控:008 鈴を慕う女
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
公債の価格は、利子率を判定すべき
鞏固
(
きょうこ
)
な標準ではない。
経済学及び課税の諸原理
(新字新仮名)
/
デイヴィッド・リカード
(著)
国民に対する天皇の権力を強くし政治上における国民のはたらきをできるだけ抑制することが、皇室の地位を
鞏固
(
きょうこ
)
にする道であると考えた。
建国の事情と万世一系の思想
(新字新仮名)
/
津田左右吉
(著)
即ち人間が家族的
乃至
(
ないし
)
民族的というような関係に由って小さく結合する事は、それが内に向って
鞏固
(
きょうこ
)
であるほど、それだけ排他的精神が強く働き
激動の中を行く
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
また
那翁
(
ナポレオン
)
戦争に依り欧州協調が出来て、ウェストファリヤ条約に依りて作られたる列国組織を一層
鞏固
(
きょうこ
)
にすることとなったのも、要するに大戦争の結果である。
大戦乱後の国際平和
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
生をぬすまんがために表面追従するだけで、生の拡大と
鞏固
(
きょうこ
)
とを
欣求
(
ごんぐ
)
するような英雄は一人も来やしない。
大菩薩峠:38 農奴の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
要するに彼女の味方のエンゴ射撃が
鞏固
(
きょうこ
)
な時には自宅に戻ってノンビリできるのが当然なのである。
左近の怒り
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
殊に団体内の制裁には、前にも申します通り、その違反者に同情なき異国人を使って容赦なく実行させるようにしておりますから、団結の
鞏固
(
きょうこ
)
な事は非常であります。
暗黒公使
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
チベット政府の意思は実に
鞏固
(
きょうこ
)
になって誰とでも戦いをやるという勢いを持つようになった。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
サモアに於ては古来地方自治の制、極めて
鞏固
(
きょうこ
)
にして、名目は王国なれども、王は殆ど政治上の実権を有せず。実際の政治は
悉
(
ことごと
)
く、各地方のフォノ(会議)によって決定せられたり。
光と風と夢
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
最後に地方の大地主の、一見地味であって、その実自分等よりはずっと
鞏固
(
きょうこ
)
の基礎を有している事を述べた。そうして、この比較を論拠として、新たに今度の結婚を成立させようと
力
(
つと
)
めた。
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
もう彼を死から救う事は出来ないであろうか。彼の存在の価値を是認し保護しようとする人はないであろうか。彼はまだ若いのだ。肉体は完全に健康であり、精神は依然として
鞏固
(
きょうこ
)
ではないか。
民芸四十年
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
「かえって、これは敵の陣営にある良人の意志を
鞏固
(
きょうこ
)
にする
惧
(
おそ
)
れがある」
日本名婦伝:細川ガラシヤ夫人
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
当時の厳粛な気持は今日もなお私の脳裏に
鞏固
(
きょうこ
)
に焼き付いている。
戦争史大観
(新字新仮名)
/
石原莞爾
(著)
時にそれを妨げんとするものが生ずると、それに対抗しそれを排除することによって、この信念がますます
鞏固
(
きょうこ
)
になる。そうしてその信念が次第に一般化し国民化する。
日本精神について
(新字新仮名)
/
津田左右吉
(著)
こうして
夥
(
おびただ
)
しい銭勘定をさせられてみたところで、急に赤い方へ転向の
謀叛気
(
むほんぎ
)
をそそのかされたと見る理由もなく、また事実上、この男は、性質は単純であるけれども、意志は
鞏固
(
きょうこ
)
ですから
大菩薩峠:36 新月の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
そうしてこの健康の美より、どこに自然な安定な
鞏固
(
きょうこ
)
な美があろうか。
工芸の道
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
家名をまもる彼女等の意志は、男の家長の場合よりも
鞏固
(
きょうこ
)
であった。
道鏡
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
何者よりも
鞏固
(
きょうこ
)
でなければならない御着の城が——その小寺政職が——
脆
(
もろ
)
くも信念をくずして、荒木村重の
謀反
(
むほん
)
とともに突然、離反を唱えて毛利家へ通じ、世をあざむく寝返りを打ったということは
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
国体も仏教の擁護によりて
鞏固
(
きょうこ
)
なりき、忠孝の思想は仏教の涵養によりて堅実となれり、仏教は文学を生み、美術を生み、その他の学術の進歩に
与
(
あず
)
かりて甚だ力ありきとは
仏教史家に一言す
(新字旧仮名)
/
津田左右吉
、
小竹主
(著)
鞏
漢検1級
部首:⾰
15画
固
常用漢字
小4
部首:⼞
8画
“鞏”で始まる語句
鞏膜
鞏
鞏保
鞏健
鞏徳
鞏志
鞏昌
鞏珍
鞏県
鞏靱