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いもの
ふりがな文庫
“
鋳物
(
いもの
)” の例文
旧字:
鑄物
けれど、すずめは、ついに
明
(
あ
)
くる
日
(
ひ
)
の
朝
(
あさ
)
まで
身動
(
みうご
)
きもできず、
目
(
め
)
を
開
(
あ
)
けることもかなわず、
鋳物
(
いもの
)
のように
木
(
き
)
の
枝
(
えだ
)
に
止
(
と
)
まっていました。
春になる前夜
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
写生文の三つであった事は前回に
陳
(
の
)
べた通りであったが、その他居士は
香取秀真
(
かとりほずま
)
君の
鋳物
(
いもの
)
を見てから盛にその方面の研究を試み始めたり
子規居士と余
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
「それ見い。やって見れば、お
主
(
ぬし
)
にはこれだけの腕はあるんじゃ。だからわしが
鋳物
(
いもの
)
をやれとあんなにすすめたんじゃに。——」
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死――
(新字新仮名)
/
長与善郎
(著)
食品屋へ頼むと横浜から取り寄せてくれるが
鋳物
(
いもの
)
だから
価
(
ね
)
は少し高いけれどもこれさえ一つあると、普通の火鉢で軽便に出来る。
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
更にそれを
鋳物
(
いもの
)
のときにつかう釘抜のような
鉗子
(
かんし
)
の先へ固定し、大原の咽喉笛をはさみ切って殺そうと計画したのである。
謎の咬傷
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
▼ もっと見る
それは人間にも鉄の
鋳物
(
いもの
)
のようなのと、鋼鉄のようなのとあるということです。美と粗雑さとの相異が何というあることだろうということです。
獄中への手紙:05 一九三八年(昭和十三年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
二三日前からコークスを
焚
(
た
)
き続けた
大坩堝
(
おおるつぼ
)
が、
鋳物
(
いもの
)
工場の薄暗がりの中で、夕日のように熟し切っている時刻である。
怪夢
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
あの瓦の形を近頃
秀真
(
ほずま
)
と云う美術学校の人が
鋳物
(
いもの
)
にして
茶托
(
ちゃたく
)
にこしらえた。そいつが出来損なったのを僕が貰うてあるから見せようとて見せてくれた。
根岸庵を訪う記
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
水から這い上がったばかりの、船頭文次の手の上には、
金鱗燦
(
きんりんさん
)
とした一尺ばかりの
鋳物
(
いもの
)
の鯉が載っているのです。
銭形平次捕物控:069 金の鯉
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
それは
牛込
(
うしごめ
)
神楽坂
(
かぐらざか
)
の手前に
軽子坂
(
かるこざか
)
という坂があるが、その坂上に
鋳物
(
いもの
)
師で大島高次郎という人があって、明治十四年の博覧会に出品する作品に着手していた。
幕末維新懐古談:37 鋳物の仕事をしたはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
それから
天井
(
てんじょう
)
の真中から
蒼黒
(
あおぐろ
)
い色をした
鋳物
(
いもの
)
の
電灯笠
(
でんとうがさ
)
が下がっていた。今までついぞここに足を踏み込んだ
例
(
ためし
)
のない彼はわざとそこを通り越して横手へ廻った。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
亭主は、河向うの
鋳物
(
いもの
)
工場へ勤めているので、大抵毎日その細君は一人で留守居をしている。
三つの挿話
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
細くなって消え失せると、あたりが死んだように静かになる。二人は
枯草
(
かれくさ
)
の中に立って仰向いて鴉を見ると、鴉は
切立
(
きった
)
ての樹の枝に頭を縮めて鉄の
鋳物
(
いもの
)
のように立っている。
薬
(新字新仮名)
/
魯迅
(著)
「あああの空気孔か」と、総一郎は白い天井の隅に、一升
桝
(
ます
)
ぐらいの四角な穴が明いている空気抜きを見上げた。そこには天井の方から、重い
鋳物
(
いもの
)
の
格子蓋
(
こうしぶた
)
が
嵌
(
は
)
めてあった。
蠅男
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
東京近くの県で比較的様々な郷土品を
有
(
も
)
つのは埼玉県であります。秩父の仕事は既に織物の個所で語りました。東京の北を流れる荒川の向岸に
川口
(
かわぐち
)
の町があります。
鋳物
(
いもの
)
の技が盛であります。
手仕事の日本
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
鋳物
(
いもの
)
の香炉の
悪古
(
わるふる
)
びに
玄
(
くす
)
ませたると、
羽二重
(
はぶたへ
)
細工の
花筐
(
はなかたみ
)
とを床に飾りて、
雨中
(
うちゆう
)
の富士をば
引攪旋
(
ひきかきまは
)
したるやうに落墨して、金泥精描の
騰竜
(
のぼりりゆう
)
は
目貫
(
めぬき
)
を打つたるかとばかり
雲間
(
くもま
)
に
耀
(
かがや
)
ける
横物
(
よこもの
)
の一幅。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
股野の首を
捲
(
ま
)
いた腕が
鋳物
(
いもの
)
のように、無感覚になっていた。
月と手袋
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
母のないあと
鋳物
(
いもの
)
職人の父さんと、幼い弟妹たちの母がわり
原爆詩集
(新字新仮名)
/
峠三吉
(著)
「おやじは小さな
鋳物
(
いもの
)
工場をやってんだ」
いやな感じ
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
巨
(
おお
)
きな
鋳物
(
いもの
)
の
砲筒
(
ほうづつ
)
も
曳
(
ひ
)
っ張って行った。
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その
仕事場
(
しごとば
)
の
台
(
だい
)
の
前
(
まえ
)
に、一
羽
(
わ
)
の
翼
(
つばさ
)
の
長
(
なが
)
い
鳥
(
とり
)
がじっとして
立
(
た
)
っています。ちょうど、それは
鋳物
(
いもの
)
で
造
(
つく
)
られた
鳥
(
とり
)
か、また、
剥製
(
はくせい
)
のように
見
(
み
)
られたのでありました。
あほう鳥の鳴く日
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
彼の父が始めて南蛮
鋳物
(
いもの
)
の術を習いに幕府からヨーロッパへ派遣させられた時のみやげである小さい浮き彫りの鋳物をふところに入れると包みを
抱
(
かか
)
えてふらりと表へ出た。
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死――
(新字新仮名)
/
長与善郎
(著)
この静かな
判然
(
はっきり
)
しない灯火の力で、宗助は自分を去る四五尺の正面に、宜道のいわゆる老師なるものを認めた。彼の顔は例によって
鋳物
(
いもの
)
のように動かなかった。色は
銅
(
あかがね
)
であった。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
どう考えても、
鋳物
(
いもの
)
の仏像が瞬きをする理屈はないのだ。
吸血鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「それにしても、
鋳物
(
いもの
)
のように
動
(
うご
)
かないのはおかしいな。まさか、かかしではあるまい……。」
死と話した人
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
「君、
鋳物
(
いもの
)
をやる気はないんかね。お
父
(
とっ
)
さんの伝でやって行きゃ、たちまち日本一だが。」
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死――
(新字新仮名)
/
長与善郎
(著)
“鋳物”の解説
鋳物(いもの)とは、加熱して溶かした金属を型に流し込み、冷えて固まった後、型から取り出して作った(鋳造)金属製品。
(出典:Wikipedia)
鋳
常用漢字
中学
部首:⾦
15画
物
常用漢字
小3
部首:⽜
8画
“鋳物”で始まる語句
鋳物師
鋳物土
鋳物槌
鋳物綴
鋳物商人
鋳物工場
鋳物師谷