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鉋屑
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かんなくず
ふりがな文庫
“
鉋屑
(
かんなくず
)” の例文
そして近所の普請場から
鉋屑
(
かんなくず
)
や木屑をを拾い集めて来て、お島の家の裏手から火をかけようとさえするところを、見つけられたりした。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
容器も始めは碗や皿であったのが、コバ飴といって
鉋屑
(
かんなくず
)
に包み、または笹の葉や竹の皮に挟んで運ぶのを珍重するようになった。
食料名彙
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
自分はその辺りに転っている
鉋屑
(
かんなくず
)
を見、そして自分があまり注意もせずに煙草の吸殻を捨てるのに気がつき、危いぞと思った。
泥濘
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
この地階に終日木を削っている大工さんが一人一年じゅう仕事をしているらしく、夥しい木材と
鉋屑
(
かんなくず
)
の中に仕事をしていた。
われはうたえども やぶれかぶれ
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
錫はさういふ風にして、けづり取られて、うすい
鉋屑
(
かんなくず
)
になつて落ちました。それは縮んだ紙のやうに巻いてゐるものです。
科学の不思議
(新字旧仮名)
/
ジャン・アンリ・ファーブル
(著)
▼ もっと見る
そのうえ、いつも地面やごみの中に寝るものだから土や泥によごれて、木の葉や木っぱや、
鉋屑
(
かんなくず
)
などがくっついていた。
カラマゾフの兄弟:01 上
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
夜中過ぎになって、妙にキナ臭いと思って、起きてみると、
庇
(
ひさし
)
の下に積んである、木っ葉や
鉋屑
(
かんなくず
)
に火がついて燃え上がりかけてるじゃありませんか。
銭形平次捕物控:044 お民の死
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
お
吉
(
きち
)
様と呼ばせらるゝ秘蔵の嬢様にやさしげな
濡
(
ぬれ
)
を仕掛け、
鉋屑
(
かんなくず
)
に墨さし
思
(
おもい
)
を
云
(
い
)
わせでもしたるか、とう/\そゝのかしてとんでもなき穴掘り仕事
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
朽葉の
古法衣
(
ふるごろも
)
に、そこらで付けた
鉋屑
(
かんなくず
)
をそのまま、いよいよこの東国の土と人間とを、その姿のうちに
渾然
(
こんぜん
)
と一つのものにして無造作に歩いてきた。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
三「ところが
左様
(
そう
)
じゃございません、
鉋屑
(
かんなくず
)
の中へ寝転んで煙草を呑んでいました、火の用心の悪い男ですねえ」
名人長二
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
何か
鉋
(
かんな
)
をかけていましたが、あのときもひどくあわてて、その
鉋屑
(
かんなくず
)
や木片を押入れへ投げこんだように、今も、この泰軒の言葉に大いに
狼狽
(
ろうばい
)
した作爺さんは
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
まだ一方には
鉋屑
(
かんなくず
)
の
臭気
(
におい
)
などがしていた。湯場は新開の畠に続いて、
硝子
(
ガラス
)
窓の外に
葡萄棚
(
ぶどうだな
)
の釣ったのが見えた。青黒く透明な鉱泉からは薄い湯気が立っていた。
岩石の間
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
小型とは云え、十数巻のフイルムが、映写したまま、
鉋屑
(
かんなくず
)
の山の様に放り出してあった。それが瞬く内に燃え尽す光景は、形容も出来ないすさまじさであった。
魔術師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「はい、はい」と、伊之助は
鉋屑
(
かんなくず
)
をかき分けながら出て来た。彼はきのうも松吉に嚇されているので、きょうはその親分が
直々
(
じきじき
)
の出張にいよいよおびえているらしかった。
半七捕物帳:52 妖狐伝
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
漁夫たちは、我国の漁夫がブリキの笛を吹くように、貝殻の笛を吹き、燈火が無いので彼等は
鉋屑
(
かんなくず
)
を燃したが、それは海面のあちらこちらで、気まぐれに輝くのであった。
日本その日その日:03 日本その日その日
(新字新仮名)
/
エドワード・シルヴェスター・モース
(著)
大きな
海狸
(
うみだぬき
)
の巣に似たタン皮の束が立ってる牧場の所を通り、木片や
鋸屑
(
のこぎりくず
)
や
鉋屑
(
かんなくず
)
などが山となってその上には大きな犬がほえており、また木材がいっぱい並べてある庭の所を通り
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
シャツ一枚の森新之助が、
鉋屑
(
かんなくず
)
の中に突っ立って、にこにこと、こちらを見ている。右手に小槌、左手に
鑿
(
のみ
)
を持っているのは、それまで、しゃがんで、なにかを彫っていたらしい。
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
如何
(
いか
)
にも力なく風に吹かれて、
鉋屑
(
かんなくず
)
などのように
転
(
ころが
)
ってる侘しい落葉を表象させる。
郷愁の詩人 与謝蕪村
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
舟は西河岸の方に
倚
(
よ
)
って
上
(
のぼ
)
って行くので、
廐橋手前
(
うまやばしでまえ
)
までは、お
蔵
(
くら
)
の水門の外を通る
度
(
たび
)
に、さして来る潮に
淀
(
よど
)
む水の
面
(
おもて
)
に、
藁
(
わら
)
やら、
鉋屑
(
かんなくず
)
やら、
傘
(
かさ
)
の骨やら、お丸のこわれたのやらが浮いていて
百物語
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
地勢から見て、私の借家は其の頃
鉋屑
(
かんなくず
)
の如く他愛無く燃え落ちた時分なのでありましょう。子供の顔が眼先にちらついたのは憶えて居りますが、それから後の事は全く追想する事が出来ません。
陳情書
(新字新仮名)
/
西尾正
(著)
わたしが家を建てたとき、それらの一匹は家の下に巣をもっていて、わたしが二度目の床を張り
鉋屑
(
かんなくず
)
を
掃
(
は
)
らいだす前には、昼飯どきにはきまって這いだしてきてわたしの足もとのパン屑をひろった。
森の生活――ウォールデン――:02 森の生活――ウォールデン――
(新字新仮名)
/
ヘンリー・デイビッド・ソロー
(著)
そういって、自分のすぐそばで
鉋屑
(
かんなくず
)
の中からえりだした木片を持って遊んでいる小さい高子を
小突
(
こづ
)
いた。思いがけなかったので高子は別に
怪我
(
けが
)
をしたわけでもないのにありったけのような声で泣いた。
暦
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
モトの通りに
鉋屑
(
かんなくず
)
を詰めて置きましたものと思われまする……ところが悪いことは出来ませぬもので、翌る朝、暗いうちに風呂番の若い衆が鉋屑に火を付けますと、どうしても燃えが通りませんので
狂歌師赤猪口兵衛:博多名物非人探偵
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
ところどころに削り残された
鉋屑
(
かんなくず
)
が残っているのであります。
大菩薩峠:11 駒井能登守の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
畑はすっかり土をならされて、沢山な石と材木が入っていた、大工は、墨を引き
手斧
(
ちょうな
)
をふるっている。
鉋板
(
かんないた
)
から走る
鉋屑
(
かんなくず
)
が、いっぱいに其処らを埋めていた。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
切り
拓
(
ひら
)
いた地面に二
棟
(
むね
)
四軒の
小体
(
こてい
)
な家が、ようやく壁が乾きかかったばかりで、裏には
鉋屑
(
かんなくず
)
などが、雨に
濡
(
ぬ
)
れて石炭殻を敷いた
湿々
(
じめじめ
)
する地面に
粘
(
へば
)
り着いていた。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
商売用の
羅宇
(
らう
)
のなおし道具は、隅に押しこめられて、狭い部屋いっぱいに、
鉋屑
(
かんなくず
)
が散らばっているんです。
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
六三がけは大工の
鉋屑
(
かんなくず
)
になぞらえて作られた一種の頭掛けであるが、その鉋屑のような物が時節柄なんとなく涼しげに見えるせいかも知れない、東京の若い女のあたまの上には
明治劇談 ランプの下にて
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
えゝと
何
(
なん
)
だナ……
鳥渡申上々
(
とりなべちゅうじょう/″\
)
……はてな鳥なべになりそうな種はなかったが、えゝと……
昨日
(
さくひ
)
はよき折……さア困った、もしお使い、実はね
鉋屑
(
かんなくず
)
の中にあったからお土産だと思ってね
名人長二
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
人形の顔がくずれ、
鉋屑
(
かんなくず
)
と土の
塊
(
かたまり
)
がパッと散った。
一寸法師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
山吹
(
やまぶき
)
や
井手
(
いで
)
を流るる
鉋屑
(
かんなくず
)
郷愁の詩人 与謝蕪村
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
香りの高い
檜
(
ひのき
)
の板を、削り台にそろえて、十人ばかりの大工が、絹よりうすい
鉋屑
(
かんなくず
)
を舞わせながら
無宿人国記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
真冬の暗い風がふき抜けるので、床下は、身が
硬
(
こわ
)
ばるほど寒かった。古い
鉋屑
(
かんなくず
)
が水気をふくんで
溜
(
たま
)
っていた。天城四郎は、
蟇
(
がま
)
のように四つ這いになって、奥へ奥へと這いすすんで行きながら
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それは
密
(
ひそ
)
かなものだったが、戸の
開
(
あ
)
け
閉
(
た
)
てに入って来るかすかな風は、
暖簾
(
のれん
)
をかけてある板の間を通って、ここの風車の糸へすぐひびき、
鉋屑
(
かんなくず
)
で出来ている五色の造花が、途端に蝶の感覚のように
宮本武蔵:04 火の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ひら、ひら、と白い結び文は、
鉋屑
(
かんなくず
)
といっしょに舞っていた。
無宿人国記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
鉋
漢検1級
部首:⾦
13画
屑
漢検準1級
部首:⼫
10画
“鉋”で始まる語句
鉋
鉋太郎
鉋丁
鉋台
鉋板
鉋目
鉋迄
鉋音
鉋飴