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鉄柵
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てつさく
ふりがな文庫
“
鉄柵
(
てつさく
)” の例文
旧字:
鐵柵
小みちは
要冬青
(
かなめもち
)
の生け垣や
赤鏽
(
あかさび
)
のふいた
鉄柵
(
てつさく
)
の中に大小の墓を並べていた。が、いくら先へ行っても、先生のお墓は見当らなかった。
年末の一日
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
途中に
分捕
(
ぶんどり
)
の大砲が並べてある。その前の所が少しばかり
鉄柵
(
てつさく
)
に
囲
(
かこ
)
い込んで、鎖の一部に札が
下
(
さ
)
がっている。見ると
仕置場
(
しおきば
)
の跡とある。
倫敦塔
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
僕
(
ぼく
)
たちの
学校
(
がっこう
)
の
門
(
もん
)
や
鉄柵
(
てつさく
)
も、もうとっくに
献納
(
けんのう
)
したのだから、
尼寺
(
あまでら
)
のごんごろ
鐘
(
がね
)
だって、お
国
(
くに
)
のために
献納
(
けんのう
)
したっていいのだと
思
(
おも
)
っていた。
ごんごろ鐘
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
重たげに有史以前の思想で目方のついている
犁牛
(
ヤーク
)
を見に行ってやりたまえ。
麒麟
(
きりん
)
は
鉄柵
(
てつさく
)
の横木の上から、
槍
(
やり
)
の先につけたような頭を
覗
(
のぞ
)
かせている。
博物誌
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
のみならず、水門には、
頑丈
(
がんじょう
)
な
鉄柵
(
てつさく
)
が二重になっているうえ、
足場
(
あしば
)
のわるい
狭隘
(
きょうあい
)
な
谿谷
(
けいこく
)
である。おまけに、全身水しぶきをあびての苦戦は
一通
(
ひととお
)
りでない。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
亡き父の
豪奢
(
ごうしゃ
)
は、周囲を巡っている
鉄柵
(
てつさく
)
にも、
四辺
(
あたり
)
の墓石を圧しているような、一丈に近い墓石にも
偲
(
しの
)
ばれた。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
彼らは
鉄柵
(
てつさく
)
から鉄柵へ銃を打ち合った。ひとりの傍観者、ひとりの夢想家、すなわち本書の著者は、その火山を間近く見物に行き、この通路の中で銃火にはさまれた。
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
大きな門柱から
鉄柵
(
てつさく
)
が
蜿蜒
(
えんえん
)
と
列
(
つら
)
なって、その柵の間から見えるゆるやかな
斜面
(
スロープ
)
の庭には
遥
(
はる
)
かの
麓
(
ふもと
)
まで一面の緑の芝生の処々に、血のように
真赤
(
まっか
)
な
躑躅
(
つつじ
)
や
五月
(
さつき
)
が、今を盛りと咲き誇っています。
墓が呼んでいる
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
そのくせ、露台へ椅子を持ち出して、
密
(
ひそ
)
かにそれに腰掛けている折もあるらしいのだけれども、今度露台の
鉄柵
(
てつさく
)
の内側へ、ちょうど椅子に掛けた人の頭の高さぐらいに、板囲いをしてしまった。
細雪:02 中巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
歩いて行く
中
(
うち
)
いつか
浅草
(
あさくさ
)
公園の裏手へ出た。細い通りの片側には深い
溝
(
どぶ
)
があって、それを越した
鉄柵
(
てつさく
)
の向うには、
処々
(
ところどころ
)
の冬枯れして立つ
大木
(
たいぼく
)
の下に、
五区
(
ごく
)
の
揚弓店
(
ようきゅうてん
)
の
汚
(
きたな
)
らしい裏手がつづいて見える。
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
彼は官邸の広場をめぐらしてる無役な
鉄柵
(
てつさく
)
を飛び越した。
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
尤
(
もつと
)
も昔は
樹木
(
じゆもく
)
も茂り、一口に墓地と云ふよりも
卵塔場
(
らんたふば
)
と云ふ気のしたものだつた。が、今は
墓石
(
ぼせき
)
は
勿論
(
もちろん
)
、墓を
繞
(
めぐ
)
つた
鉄柵
(
てつさく
)
にも凄まじい火の
痕
(
あと
)
は残つてゐる。
本所両国
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
と
兵太
(
ひょうた
)
は
縄尻
(
なわじり
)
をとって、まッくらな
間道
(
かんどう
)
を引っ立てていった。そして地獄の口のような岩穴のなかへポーンとほうりこむと、
鉄柵
(
てつさく
)
の
錠
(
じょう
)
をガッキリおろしてたちさった。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
見よ! あの
瀟洒
(
しょうしゃ
)
な家が全部燃え落ちてしまって! ただ二本の門柱と
鉄柵
(
てつさく
)
のみが、
悄然
(
しょんぼり
)
と立っているばかり……そして焼け跡には、
混凝土
(
コンクリート
)
の土台だけが残っているばかり! 眼に入る限り
墓が呼んでいる
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
歩いて
行
(
ゆ
)
く
中
(
うち
)
いつか浅草公園の
裏手
(
うらて
)
へ出た。細い
通
(
とほ
)
りの
片側
(
かたがは
)
には深い
溝
(
どぶ
)
があつて、それを越した
鉄柵
(
てつさく
)
の
向
(
むか
)
うには、
処々
(
ところ/″\
)
の
冬枯
(
ふゆが
)
れして立つ
大木
(
たいぼく
)
の
下
(
した
)
に、
五区
(
ごく
)
の
揚弓店
(
やうきゆうてん
)
の
汚
(
きたな
)
らしい
裏手
(
うらて
)
がつゞいて見える。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
鉄
常用漢字
小3
部首:⾦
13画
柵
常用漢字
中学
部首:⽊
9画
“鉄”で始まる語句
鉄
鉄瓶
鉄漿
鉄槌
鉄砲
鉄棒
鉄扉
鉄格子
鉄鎚
鉄拳