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野火
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のび
ふりがな文庫
“
野火
(
のび
)” の例文
枯草
(
かれくさ
)
をやく
百姓
(
ひゃくしょう
)
の
野火
(
のび
)
か、あるいは、きこりのたいた
焚火
(
たきび
)
であろうか、とある原のなかほどに、チラチラと赤くもえている
焔
(
ほのお
)
があった。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
生物
(
せいぶつ
)
のやうにうごめき、きらめき、なめつくす
野火
(
のび
)
に燒かれるヒースの山が、リード夫人を呪ひ
脅迫
(
けふはく
)
した私の心の状態に、ぴつたり適合するに違ひない。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
行所に
遙
(
はる
)
か向ふに火の光りの見えければ不思議に思ひ此原は未だ
人里
(
ひとさと
)
までは程あるを
彼處
(
かしこ
)
に火の光り見ゆるは如何にも
心得
(
こゝろえ
)
ずと思ひ
段々
(
だん/\
)
近
(
ちか
)
づきて樣子を見れば
野火
(
のび
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
自分
(
じぶん
)
は
命
(
みこと
)
のお
指図
(
さしず
)
で、
二人
(
ふたり
)
ばかりの
従者
(
とも
)
にまもられて、とある
丘
(
おか
)
の
頂辺
(
いただき
)
に
避
(
さ
)
けて、
命
(
みこと
)
の
御身
(
おんみ
)
の
上
(
うえ
)
を
案
(
あん
)
じわびて
居
(
お
)
りましたが、その
中
(
うち
)
四
方
(
ほう
)
から
急
(
きゅう
)
にめらめらと
燃
(
も
)
え
拡
(
ひろ
)
がる
野火
(
のび
)
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
重い冷たい
潮霧
(
ガス
)
が
野火
(
のび
)
の煙のように
濛々
(
もうもう
)
と南に走って、それが秋らしい
狭霧
(
さぎり
)
となって、船体を包むかと思うと、たちまちからっと晴れた青空を船に残して消えて行ったりした。
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
▼ もっと見る
あるときは、百
姓
(
しょう
)
らが
焚
(
た
)
いている
野火
(
のび
)
が、
真紅
(
まっか
)
な
花
(
はな
)
の
風
(
かぜ
)
になびいている
姿
(
すがた
)
となって
見
(
み
)
えたりして、その
中
(
なか
)
に
飛
(
と
)
び
込
(
こ
)
んで、
長
(
なが
)
い
旅
(
たび
)
をつづけた
末
(
すえ
)
に、むなしく
死
(
し
)
んでしまった
仲間
(
なかま
)
もあります。
北海の波にさらわれた蛾
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
元來
(
がんらい
)
この
帶
(
たい
)
の
樹木
(
じゆもく
)
はすべて
常緑濶葉樹
(
じようりよくかつようじゆ
)
で、こなら、くぬぎ
等
(
など
)
の
落葉濶葉樹
(
らくようかつようじゆ
)
がその
間
(
あひだ
)
に
點々
(
てん/\
)
と
混
(
まじ
)
つてゐる
筈
(
はず
)
なのですが、
常緑濶葉樹
(
じようりよくかつようじゆ
)
は
昔
(
むかし
)
からたび/\
伐
(
き
)
られたり、
又
(
また
)
は
野火
(
のび
)
の
害
(
がい
)
に
會
(
あ
)
つたため、
數
(
かず
)
が
減
(
へ
)
り
森林と樹木と動物
(旧字旧仮名)
/
本多静六
(著)
そんな話が、口から口へと、
野火
(
のび
)
のように拡がって行きます。
銭形平次捕物控:028 歎きの菩薩
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
野火
(
のび
)
の
三次
(
さんじ
)
は舌打をして
居竦
(
いすく
)
まった。
暗がりの乙松
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
ああ、園は
野火
(
のび
)
に焼かれて
第二邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
なづさふ
野火
(
のび
)
の
煙
(
けむり
)
のみ
花守
(旧字旧仮名)
/
横瀬夜雨
(著)
鉄砲の火が枯れ葉に燃えついたのか、蹴ちらされた営内の火の気が
野火
(
のび
)
となったものか、川中島一帯の空は、墨を流したような煙である。
上杉謙信
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ことに親佐が仙台支部長として働き出したキリスト教婦人同盟の運動は、その当時
野火
(
のび
)
のような勢いで全国に広がり始めた赤十字社の勢力にもおさおさ劣らない程の盛況を呈した。
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
人穴
(
ひとあな
)
から燃えひろがった
野火
(
のび
)
は、
止
(
とど
)
まるところを知らず、
方
(
ほう
)
三
里
(
り
)
にわたって、
濛々
(
もうもう
)
と煙をたてているので、
下界
(
げかい
)
のようすはさらに見えない。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
このあたり、
野火
(
のび
)
の煙がないので、竹童が鷲の背から小手をかざしてみると、法師野の山村、手にとるごとしだ。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そして小次郎の、過去ともつかず、今ともつかぬ、幻覚と妄想を、
野火
(
のび
)
のような情炎で焼きつくした。
平の将門
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
煙のなかに去りゆくものは、祖先のまぼろしと
豪奢
(
ごうしゃ
)
な一時代の夢だった。
戦
(
いくさ
)
は、文化の
野火
(
のび
)
である。焼地から
萌
(
も
)
えだす草は、やがてすべて若々しくて生命が新しい。
松のや露八
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“野火”の意味
《名詞》
(やか、のび)野原などの枯れ草を焼く火。
(やか)鬼火。
(出典:Wiktionary)
野
常用漢字
小2
部首:⾥
11画
火
常用漢字
小1
部首:⽕
4画
“野火”で始まる語句
野火止