あた)” の例文
新字:
逆手さかてに取直し胸のあたりへ押當てつかとほれと刺貫さしつらぬき止めの一刀引拔ば爰に命は消果きえはてに世に不運の者も有者哉夫十兵衞は兄長庵の爲に命を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
かれ其時そのとき服裝なりにも、動作どうさにも、思想しさうにも、こと/″\當世たうせいらしい才人さいじん面影おもかげみなぎらして、たかくび世間せけんもたげつゝ、かうとおもあたりを濶歩くわつぽした。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
製作場の向側にはギリシヤあたりの古い美術品かと思はれる彫刻を施した圓い石や角な石が轉がつて居るのであつた。馬車の用意が出來た頃弟子がもう一人歸つて來た。
巴里の旅窓より (旧字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
店の間一杯に縫ひかけの五布蒲團いつのぶとんを擴げて、一心に綿を入れてゐた茶店の若い女房にようばうは、二人の入つて來たのを見ると、雪のやうにひざあたりへ附いた綿屑わたくづを拂ひてながら
東光院 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
長椅子ながいすうへよこになつたり、さうしてくひしばつてゐるのであるが、れが段々だん/\度重たびかさなればかさなほどたまらなく、つひには咽喉のどあたりまでがむづ/\してるやうなかんじがしてた。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
それをあたりから、追々おひ/\珍談ちんだんはじまるのだが……
廓そだち (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
斯して置は殺生なりさりとて生返いきかへらせなば又々旅人へ惡さをなす者共なればとゞめをさして呉んと鐵の棒のさきのどあたりへ押當おしあて一寸々々ちよい/\よしで物を突く如く手輕てがるに止めを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
手間取てまどり大森おほもりの邊りに來りし頃ははやこくなれば御所刑場おしおきばあたりは往來わうらいの者も有まじとおも徐々そろ/\來懸きかゝりしに更と云殊に右の方は安房あは上總かづさ浦々うら/\まで渺々べう/\たる海原うなばらにして岸邊を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)