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ほうちゃく
ふりがな文庫
“
逢着
(
ほうちゃく
)” の例文
噛んでも噛んでも、三で十を割るごとく
尽未来際方
(
じんみらいざいかた
)
のつく
期
(
ご
)
はあるまいと思われた。この
煩悶
(
はんもん
)
の際吾輩は覚えず第二の真理に
逢着
(
ほうちゃく
)
した。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
全人類界の大悪夢……『物を考える脳髄』に関する迷信、妄執を
喚
(
よ
)
び醒ますべく『絶対無上の大真理』に
逢着
(
ほうちゃく
)
する事が出来たのだ。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
それが、十日ばかり後に大難関に
逢着
(
ほうちゃく
)
し、あれよあれよという間に折竹参加という、大
報道価値
(
ニュースヴァリュ
)
がかき消えてしまうとは……
人外魔境:10 地軸二万哩
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
またその名称においても、一脈の連鎖によって互いにつながっているらしく見える現象に
逢着
(
ほうちゃく
)
して、奇異の感に打たれる事もしばしばあった。
比較言語学における統計的研究法の可能性について
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
これは僕自身が
逢着
(
ほうちゃく
)
した一種奇怪の出来事であるから、そのつもりで聴いてくれたまえ。僕の友だちの赤座という男の話だ。
青蛙堂鬼談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
▼ もっと見る
わたしは何か彼の足跡にでも
逢着
(
ほうちゃく
)
することもあるまいかと、水夫の一隊を伴って、終夜前方の氷山を歩きまわったが、それは徒労に終わった。
世界怪談名作集:09 北極星号の船長 医学生ジョン・マリスターレーの奇異なる日記よりの抜萃
(新字新仮名)
/
アーサー・コナン・ドイル
(著)
あと八銭しかない、一週間は金のはいる見込もない、という時に、八銭でソバを食うべきか、タバコを買うべきか、と深刻なる難関に
逢着
(
ほうちゃく
)
する。
青い絨毯
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
既に恐ろしい山崩れの個所に
逢着
(
ほうちゃく
)
し、乗客十五人が、おのおの
尻端折
(
しりはしょ
)
りして、歩いて峠を越そうと覚悟をきめて三々五々、峠をのぼりはじめたが
服装に就いて
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
現形し来たるこの大問題に
逢着
(
ほうちゃく
)
するは数の明らかなるところであるから、吾人日本国民は早くこれを研究し解決しおき
婦人問題解決の急務
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
民間説話の採集は、今から十数年前、
些
(
すこ
)
しく
緒
(
ちょ
)
についたかと思った際に、ちょうど我々の国では最悪の
障碍
(
しょうがい
)
に
逢着
(
ほうちゃく
)
した。
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
解けないものが次々に彼の心を
虐
(
さいな
)
む。一つ解くとまた一つの迷いに
逢着
(
ほうちゃく
)
する。そしてまったく、剣も心も、
空虚
(
うつろ
)
になる。
宮本武蔵:08 円明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
こういうふうにして、何事もその時
逢着
(
ほうちゃく
)
した事実をもととして写生句を作ると、
容易
(
たやす
)
く句作ができると思います。
俳句の作りよう
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
ただ猿を仕止めた
後
(
のち
)
、蟹を始め同志のものはどう云う運命に
逢着
(
ほうちゃく
)
したか、それを話すことは必要である。なぜと云えばお
伽噺
(
とぎばなし
)
は全然このことは話していない。
猿蟹合戦
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
僕はその頃、建築材料のことで或る難問に
逢着
(
ほうちゃく
)
してゐたので、いさゝか神経衰弱ぎみだつたのかも知れない。
夜の鳥
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
巻十七の歌をずうっと読んで来て、はじめて目ぼしい歌に
逢着
(
ほうちゃく
)
したとおもって作者を見ると赤人の作である。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
突如私の目前に取り出されたものは
馬頭観世音
(
ばとうかんぜおん
)
の一躰でした。それを眺めた時、私の呼吸はしばし奪われました。私は再び上人の異数な表現に
逢着
(
ほうちゃく
)
したのです。
民芸四十年
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
事実に
逢着
(
ほうちゃく
)
すると、着弾の距離と自動車の速力と大差のない事になる。自動車の方が便利である。
ピストルの使い方:――(前題――楊弓)
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
お糸の方が吉原へ奴にやられ、こちらは勘当で捨ておかれるのは、チト
偏頗
(
へんぱ
)
な御処置だと思っていたが、こういう次第に
逢着
(
ほうちゃく
)
するなら、いっそ至当の成行といっていいのである。
鈴木主水
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
しかし如何に臣民が協調に努力するも必ず妥協の困難な場面に
逢着
(
ほうちゃく
)
するものである。
戦争史大観
(新字新仮名)
/
石原莞爾
(著)
この王子の
逢着
(
ほうちゃく
)
する人生の疑問がいかにも簡素に表してある。最後に出た門の外で道者に逢った。そこで王子は心を決して、このLifeを解かんが為に、あらゆるものを破り捨てて行った。
千曲川のスケッチ
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
すなわち我邦の竹の
如
(
ごと
)
きその普通に花を出す者は実に僅々の種類にして、その他は容易にこれを出さず、それこれを出すやこれ稀有の現象にして、吾人がその花に
逢着
(
ほうちゃく
)
するは実に偶然の事に属す。
植物記
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
涵養
(
かんよう
)
を受けるので、また異趣味のものに
逢着
(
ほうちゃく
)
するために啓発されるので、また高い趣味に引きつけられるがために、向上化するのであります。
創作家の態度
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
生命とか精神とかいうものを除いたいわゆる物質を取扱って何事かしようという時にはすぐに物理学的の問題に
逢着
(
ほうちゃく
)
する。
物理学の応用について
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
ああと、思わず出る嘆息のなかには、その困難に
逢着
(
ほうちゃく
)
している苦しさが多分にあった。君臣という絶対なものを
措
(
お
)
いて、彼をして正直にいわせるならば
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
一歩を進めていえば、雪とか、地震とかいうものに
逢着
(
ほうちゃく
)
せねば思い出せなかった年玉の意味を幸いにこの両者に逢着したことによって思い出し得たのであります。
俳句の作りよう
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
他の皇子の御歌と
較
(
くら
)
べるから左程に思わぬが、そのあたりの歌を読んで来ると、やはり選は此歌に
逢着
(
ほうちゃく
)
するのである。此歌は一首に三つも地名が
詠込
(
よみこ
)
まれている。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
そうして、この門の上へ持って来て、犬のように棄てられてしまうばかりである。選ばないとすれば——下人の考えは、何度も同じ道を
低徊
(
ていかい
)
した
揚句
(
あげく
)
に、やっとこの局所へ
逢着
(
ほうちゃく
)
した。
羅生門
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
諸君は南欧の小部落バスクを認識せらるるであろうか? もしも諸君が
仏蘭西
(
フランス
)
、
西班牙
(
スペイン
)
両国の国境をなすピレネエ山脈をさまようならば、諸君は山中に散在する小部落バスクに
逢着
(
ほうちゃく
)
するのである。
風博士
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
時にふと右側を見ると、また酒めしと云う看板に
逢着
(
ほうちゃく
)
した。すると自分の心のうちにこれが最後だなと云う感じが起った。
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
毎朝起きて顔を洗いに湯殿の洗面所へ行く、そうしてこの平凡な日々行事の第一箇条を遂行している間に私はいろいろの物理学の問題に
逢着
(
ほうちゃく
)
する。
日常身辺の物理的諸問題
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
まさに小牧の難攻に
逢着
(
ほうちゃく
)
して、いったん大坂にひきあげて後、また軍を
催
(
もよお
)
しては、
美濃
(
みの
)
、
尾張
(
おわり
)
へ出動する一方、ひそかに丹羽長秀に旨をふくめて、徳川方へそれとなく、和睦の肚があるかないか
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
こんなような句に
逢着
(
ほうちゃく
)
したのであります。そうしてこれらは「釣瓶取られて」の句や「我ものと」の句などとくらべて大変趣の違うことをその時分の幼い心にも了解することができたのであります。
俳句とはどんなものか
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
影を追えば本体に
逢着
(
ほうちゃく
)
する時がないとも限らぬ。多くの影は大抵本体を離れぬものだ。この意味で主人が鏡をひねくっているなら
大分
(
だいぶ
)
話せる男だ。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
こんな空想にふけりながら自分は古来の日本画家の点呼をしているうちに、ひょっくり
鳥羽僧正
(
とばそうじょう
)
に
逢着
(
ほうちゃく
)
した。
映画時代
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
その時でありました、私がふとある大きな事実に
逢着
(
ほうちゃく
)
しましたのは。
俳句の作りよう
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
曹操、袁紹らの挙兵も、今やそこへ
逢着
(
ほうちゃく
)
して来たのであった。
三国志:03 群星の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
手と目より偉大なる自然の制裁を親切に感受して、石火の
一拶
(
いっさつ
)
に本来の面目に
逢着
(
ほうちゃく
)
せしむるの微意にほかならぬ。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
暗室にさし入る日光の中に舞踊する
微塵
(
みじん
)
の混乱状態を例示して物質元子(1)の無秩序運動を説明したという記事に
逢着
(
ほうちゃく
)
して驚嘆の念に打たれたことがあった。
ルクレチウスと科学
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
吾人がこの問題に
逢着
(
ほうちゃく
)
したとき——吾人は必ずこの問題に逢着するに相違ない。意識及その連続を事実と認める裏にはすでにこの問題が含まれております。
文芸の哲学的基礎
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
また科学者がこのような新しい事実に
逢着
(
ほうちゃく
)
した場合に、その事実の実用的価値には全然
無頓着
(
むとんちゃく
)
に、その事実の奥底に徹底するまでこれを突き止めようとすると同様に
科学者と芸術家
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
しかし今の科学のねらいどころをどこまでも徹底させて生物界の現象にまでも物理学の領土を拡張しようとする場合には、だれでも当然に
逢着
(
ほうちゃく
)
すべき一つの観念である。
ルクレチウスと科学
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
彼は子供に対する母親の愛情が父親のそれに比べてどの位強いかの疑問にさえ
逢着
(
ほうちゃく
)
した。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
私はここに物理学なるものの認識論的の意義についてきわめて重要な問題に
逢着
(
ほうちゃく
)
する。約言すれば物理学その他物理的科学の系統はユニークであるや否やということである。
ルクレチウスと科学
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
いやなかなか
機鋒
(
きほう
)
の
鋭
(
する
)
どい女で——わしの所へ修業に来ていた
泰安
(
たいあん
)
と云う
若僧
(
にゃくそう
)
も、あの女のために、ふとした事から
大事
(
だいじ
)
を
窮明
(
きゅうめい
)
せんならん
因縁
(
いんねん
)
に
逢着
(
ほうちゃく
)
して——今によい
智識
(
ちしき
)
になるようじゃ
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
結局ニュートン自身が彼自身の方則を理解していなかったというパラドックスに
逢着
(
ほうちゃく
)
する。
相対性原理側面観
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
この危機一髪という間際に、彼はまた思いがけない現象に
逢着
(
ほうちゃく
)
した。それは小林の並べた十円紙幣が青年芸術家に及ぼした影響であった。紙幣の上に落された彼の眼から出る異様の光であった。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
しかしそのような場合にでも、その仕事の中に自分の天与の
嗜好
(
しこう
)
に
逢着
(
ほうちゃく
)
して、いつのまにかそれが仕事であるという事を忘れ、無我の境に入りうる機会も少なくないようである。
科学者と芸術家
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
けれどもそれに
逢着
(
ほうちゃく
)
するのは難中の難事である。我輩の先生の処が一間あいておれば置てもらうのだけれども、それは間がないのだからできない相談だ。こう云う時になると西洋の新聞は便利だ。
倫敦消息
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ただ自分で連句の制作に当面している場合にこれらの定座に
逢着
(
ほうちゃく
)
するごとに経験するいろいろな体験の内省からこれら定座の意義に関するいくらかの分析を試みることはできるので
連句雑俎
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
そしてそこに再び第二のコロンバスの卵に
逢着
(
ほうちゃく
)
するだろう。
相対性原理側面観
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
“逢着”の意味
《名詞》
出会うこと。出くわすこと。
(出典:Wiktionary)
逢
漢検準1級
部首:⾡
11画
着
常用漢字
小3
部首:⽬
12画
“逢”で始まる語句
逢
逢瀬
逢曳
逢引
逢魔
逢坂
逢坂山
逢紀
逢度
逢著