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轣轆
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れきろく
ふりがな文庫
“
轣轆
(
れきろく
)” の例文
音といふものは、それが遠くなり
杳
(
はる
)
かになると共に、カスタネツトの音も車の
轣轆
(
れきろく
)
も、人の話聲も、なにもかもが音色を同じくしてゆく。
闇への書
(旧字旧仮名)
/
梶井基次郎
(著)
此時
忽
(
たちま
)
ち
轣轆
(
れきろく
)
たる車声、
万籟
(
ばんらい
)
死せる深夜の
寂寞
(
せきばく
)
を驚かして、山木の門前に
停
(
とど
)
まれり、剛一は足をとどめてキツとなれり
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
しかし十九世紀のシヨウペンハウエルは
馭者
(
ぎよしや
)
の
鞭
(
むち
)
の音を気にしてゐる。更に又大昔のホメエロスなどは
轣轆
(
れきろく
)
たる戦車の音か何かを気にしてゐたのに違ひない。
解嘲
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
今日は、
轣轆
(
れきろく
)
と近づいて来る馬車が、もう遠くのほうから、色のついた燈光に迎えられた。
ルイスヒェン
(新字新仮名)
/
パウル・トーマス・マン
(著)
今は
最
(
も
)
う、さっきから荷車が
唯
(
ただ
)
辷
(
すべ
)
ってあるいて、少しも
轣轆
(
れきろく
)
の音の聞えなかったことも念頭に置かないで、早くこの
懊悩
(
おうのう
)
を洗い流そうと、一直線に、夜明に間もないと考えたから
星あかり
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
金モールを載せて
轣轆
(
れきろく
)
と帝都を
駛
(
はし
)
る貴顕大官の馬車や、開港場の黄金時代に乗って、
大廈高楼
(
たいかこうろう
)
に豪杯を挙げている無数の成り上がり者をながめて——一体、こういう人間を作るために
旗岡巡査
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
跡
(
あと
)
になして
乘
(
の
)
り
出
(
いだ
)
す
車
(
くるま
)
の
掛聲
(
かけごゑ
)
に
走
(
はし
)
り
退
(
の
)
く
一人
(
ひとり
)
の
男
(
をとこ
)
あれは
何方
(
いづく
)
の
藥取
(
くすりとり
)
憐
(
あは
)
れの
姿
(
すがた
)
やと
見返
(
みかへ
)
れば
彼方
(
かなた
)
よりも
見返
(
みかへ
)
る
顏
(
かほ
)
オヽ
芳
(
よし
)
さま
詞
(
ことば
)
の
未
(
いま
)
だ
轉
(
まろ
)
び
出
(
い
)
でぬ
間
(
ま
)
に
車
(
くるま
)
は
轣轆
(
れきろく
)
として
轍
(
わだち
)
のあと
遠
(
とほ
)
く
地
(
ち
)
に
印
(
しる
)
されぬ。
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
夜の新宿は暗く、朝の宿場は府中、八王子辺から来る馬力が
轣轆
(
れきろく
)
として続いたに違いない。その時分の流行歌に、——一時二時までひやかす奴は、御所の馬丁か宿無しか——というのがあった位だ。
四谷、赤坂
(新字新仮名)
/
宮島資夫
(著)
数万の烟筒は煙を吐いてために天日を暗からしめ、雲のごとき高楼、林のごとき
檣竿
(
しょうかん
)
、
錐鑿
(
すいさく
)
・
槓杆
(
こうかん
)
・
槌鍛
(
ついたん
)
の音は蒸気筒の響き、車馬
轣轆
(
れきろく
)
の声とともに相和して、晴天白日雷鳴を聞くがごとくならん。
将来の日本:04 将来の日本
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
川岸
(
かし
)
は
荷車
(
にぐるま
)
の
轣轆
(
れきろく
)
に
震
(
ふる
)
ひ
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
今
(
いま
)
は
最
(
も
)
う、さつきから
荷車
(
にぐるま
)
が
唯
(
たゞ
)
辷
(
すべ
)
つてあるいて、
少
(
すこ
)
しも
轣轆
(
れきろく
)
の
音
(
おと
)
の
聞
(
きこ
)
えなかつたことも
念頭
(
ねんとう
)
に
置
(
お
)
かないで、
早
(
はや
)
く
此
(
こ
)
の
懊惱
(
あうなう
)
を
洗
(
あら
)
ひ
流
(
なが
)
さうと、
一直線
(
いつちよくせん
)
に、
夜明
(
よあけ
)
に
間
(
ま
)
もないと
考
(
かんが
)
へたから
星あかり
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
轔々
(
りんりん
)
、
轟々
(
ごうごう
)
、
轣轆
(
れきろく
)
として次第に
駈行
(
かけゆ
)
き、走去る、
殿
(
しんがり
)
に腕車一輛、
黒鴨仕立
(
くろがもじたて
)
華やかに
光琳
(
こうりん
)
の紋附けたるは、上流唯一の
艶色
(
えんしょく
)
にて、交際社会の明星と呼ばるる、あのそれ深川綾子なり。
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
蒼
(
あお
)
と赤と
二色
(
ふたいろ
)
の鉄道馬車の
灯
(
ともしび
)
は、流るる
蛍
(
ほたる
)
かとばかり、暗夜を貫いて東西より、
衝
(
つ
)
と寄っては
颯
(
さっ
)
と分れ、且つ消え、且つ
顕
(
あらわ
)
れ、
轣轆
(
れきろく
)
として
近
(
ちかづ
)
き来り、
殷々
(
いんいん
)
として遠ざかる、
響
(
ひびき
)
の中に車夫の懸声
三枚続
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
勢
(
いきおい
)
よく引返すと、早や門の外を
轣轆
(
れきろく
)
として車が行く。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
轣
部首:⾞
23画
轆
漢検1級
部首:⾞
18画
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轣音