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躍起
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やっき
ふりがな文庫
“
躍起
(
やっき
)” の例文
ことに、山城守は、おのが部下の
随
(
ずい
)
一を斬って逃げて、その後も、自分を
愚弄
(
ぐろう
)
するがごとき神尾喬之助の態度に、
躍起
(
やっき
)
となっている。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
昨夕
(
ゆうべ
)
の事を打ち明けてこれこれであったと話してしまえばそれまでである。母は無論
躍起
(
やっき
)
になって、こっちに同情するに違ない。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
米友が再び唸って、額に
皺
(
しわ
)
を寄せて、深い沈黙に落ちようとする時に、女は
躍起
(
やっき
)
となって、
真向
(
まとも
)
に
燈火
(
あかり
)
へ
面
(
おもて
)
を向けて、さも心地よさそうに
大菩薩峠:19 小名路の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
と言いながら
四辺
(
あたり
)
を見ますると人一ぱい。國藏、森松、亥太郎始め、皆々手に/\獲物を
携
(
たずさ
)
え、中にも亥太郎は
躍起
(
やっき
)
となって
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
また、藪八に
従
(
つ
)
いて、見え隠れに供していた「蔭の者」二人も、一しょになって、風鈴や虫売りなどの灯の巷を、
躍起
(
やっき
)
となって探しまわった。
大岡越前
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
……それで、森川の旦那さまも
躍起
(
やっき
)
となっていらっしゃるんですが、いまいったようなわけでどうにもしょうがない。
顎十郎捕物帳:12 咸臨丸受取
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
それはそんな教会が信者を作るのに
躍起
(
やっき
)
になっていて、毎朝そんな女が市場とか病院とか人のたくさん寄って行く場所の近くの道で網を張っていて
のんきな患者
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
ロシア人という奴は
兎角
(
とかく
)
そうで、自分より一級でも位の上の人間には、
躍起
(
やっき
)
になって接近したがり、伯爵や公爵にちょっと会釈でもして貰える方が
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
「いかん/\、今時の若けい者ァ念仏一つ知んねえからな。昔は男は男、女は女、月に三日宛寄っちゃ念仏の稽古したもンだ」辰爺さん
躍起
(
やっき
)
となった。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
憤怒と
嫉妬
(
しっと
)
とに興奮しきった葉子は
躍起
(
やっき
)
となってそのあとを追おうとしたが、足はしびれたように動かなかった。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
ところが、それはオランプにとってありがたくない贈物である、というのは、その雑誌の懸賞競技に加わろうと
躍起
(
やっき
)
になるオランプが実に惨めだからである。
ぶどう畑のぶどう作り
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
赤羽主任は
躍起
(
やっき
)
となって、番台横の
三和土
(
たたき
)
を覗いてみたが、その下駄も片方すら見当らないではないか?
電気風呂の怪死事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
江戸ッ児の拍手
喝采
(
かっさい
)
を聞くごとに
躍起
(
やっき
)
となりましたが、「千里の虎」の超人的な腕と脚と、目と耳と、それにもましてよく働く智恵には、どうすることも出来ません。
銭形平次捕物控:042 庚申横町
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
こうした状態の自分に、いったい何ができるだろう? 彼が
躍起
(
やっき
)
となって鞭撻を加えれば加えるほど、私の心持はただただ萎縮を感じるのだ。彼は
業
(
ごう
)
を煮やし始めた。
遁走
(新字新仮名)
/
葛西善蔵
(著)
藤井さんは
躍起
(
やっき
)
となって「これからネパールに行くとはもっての外の事だ。それは自分の身を考えないというものだ。どういう事情があるか知らないがそれは
止
(
よ
)
すがよい」
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
何か議論を始めて、ひどく相手の者が
躍起
(
やっき
)
となって来れば、
此方
(
こちら
)
はスラリと流して
仕舞
(
しま
)
う。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
傾けて
支那
(
しな
)
の社会を攻撃した文章を書いた事がありましたけれども、それも、実は、やっぱりつまらないものでした。支那の社会は、私がそんなに
躍起
(
やっき
)
となって攻撃している事を
芸術ぎらい
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
此奴が
生粋
(
きっすい
)
の大阪美人だから、僕が始終然う言って褒めると、家内は
躍起
(
やっき
)
になって、美人には美人だけれど出っ歯だと難癖をつける。女はわきの女の綺麗なのには余り同情しないね
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
お国はいよいよ
躍起
(
やっき
)
となって、どうしても男と手を切らなければ与次郎殺しの一件を訴人するから覚悟しろという、おそろしい手詰めの談判になって来たので善昌もいよいよ困った。
半七捕物帳:21 蝶合戦
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
ところが、ドイツの旗色が悪くて、留学生はいずれも英仏へ
奪
(
と
)
られそうである。こうなるとドイツの誇るいわゆる
文化
(
クルツウル
)
の
威信
(
いしん
)
にもかかわる問題だ。政府はいつしか
躍起
(
やっき
)
になっている。
戦雲を駆る女怪
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
彼は角井の悪意に満ちた言葉に
些
(
いささ
)
かも疑いを挟まなかった。いよいよ自分の直観の鋭さを示す時が来たと
躍起
(
やっき
)
になって、彼は今度は朝鮮民族を検分するかのような物腰で自分から先に口を切った。
天馬
(新字新仮名)
/
金史良
(著)
「イヤ笑いごとじゃアないよ」と上村は少し
躍起
(
やっき
)
になって
牛肉と馬鈴薯
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
と、彼女は
躍起
(
やっき
)
になつて呼んだ。
猫と庄造と二人のをんな
(新字旧仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
そこで吾輩が
躍起
(
やっき
)
となって
爆弾太平記
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
次郎は少し
躍起
(
やっき
)
となった。
次郎物語:01 第一部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
学生は
躍起
(
やっき
)
となりて
取舵
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
十番首を自邸で上げられて以来、源助町は
躍起
(
やっき
)
にならざるを得なかった。剣士達は毎日毎夜、隊を組んで喬之助を
捜
(
さが
)
し歩いている。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
外の
暴風雨
(
あらし
)
よりも船頭の言い分が、お角にとっては決して穏かに聞えませんでしたから、
躍起
(
やっき
)
となって抗弁しました。
大菩薩峠:18 安房の国の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
ことに千代子は
躍起
(
やっき
)
になった。彼女は僕を
捉
(
つら
)
まえて変人だと云った。母を一人残してすぐ帰る法はないと云った。帰ると云っても帰さないと云った。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
鎌倉勢は、その
詮議
(
せんぎ
)
に、手をやいた。
翻弄
(
ほんろう
)
されているようだった。
躍起
(
やっき
)
になって、探しぬいたが、
手懸
(
てがか
)
りもない。
日本名婦伝:静御前
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
かえって自分に注意の薄らいで来た吉田の顔色に
躍起
(
やっき
)
になりながらその話を続けるので、自動車はとうとう往来で立往生をしなければならなくなってしまった。
のんきな患者
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
お吉は
躍起
(
やっき
)
と抗弁しました。お菊より二つ年上ですが、体が悪いせいか小柄で、お浅お菊姉妹には比べられないにしても、お楽が化物娘というほど
醜
(
みにく
)
くはありません。
銭形平次捕物控:066 玉の輿の呪い
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「野球のマスクと違いますよ、お父さん」弦三は
躍起
(
やっき
)
になって
抗弁
(
こうべん
)
したのだった。「いまに日本が外国と戦争するようになるとこの
瓦斯
(
ガス
)
マスクが、是非必要になるんです。 ...
空襲葬送曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
そこで、雄鶏は、日の暮れるまで
躍起
(
やっき
)
となる。彼の雌鶏は一羽一羽帰って行く。
ぶどう畑のぶどう作り
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
流石
(
さすが
)
の与力も文治と聞いて
怖気付
(
おじけつ
)
き、
一先
(
ひとま
)
ず文治と友之助の両人を江戸橋の番屋へ締込みましたが、弥次馬連は黒山のようでございます。表に居りました亥太郎、森松、國藏は
躍起
(
やっき
)
となって
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
と、彼女は
躍起
(
やっき
)
になつて呼んだ。
猫と庄造と二人のをんな
(新字旧仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
かなり落着き込んでいるほうの小野寺十内からして、じっとしていられぬ様子で、毎日頭巾
目深
(
まぶか
)
にして出て歩いているらしい。若い者などは
躍起
(
やっき
)
だった。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
この間から
敬太郎
(
けいたろう
)
が
躍起
(
やっき
)
になって口を
探
(
さが
)
している事や、探しあぐんで
須永
(
すなが
)
に紹介を頼んだ事や、須永がそれを引き受けて内幸町の叔父に会えるように周旋した事は
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
若いのには、どうして、親方がこうも
躍起
(
やっき
)
になるのだか、さいぜんからめんくらっているらしい。
大菩薩峠:26 めいろの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
帆村は
躍起
(
やっき
)
となって、この月足らずの割り算に注意を向けた。第三段目に□9□□という四位の数字が殖えたが、これによって、謎の
枠
(
わく
)
の中の数字をまた新しく類推できるにちがいないと思った。
暗号数字
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
山城守は、いても
起
(
た
)
ってもいられなかった。
躍起
(
やっき
)
になっていた。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
八五郎は
躍起
(
やっき
)
となって抗議を申込むのです。
銭形平次捕物控:242 腰抜け彌八
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「む。かく川止めの泊りをかさね、彼を見過ごすかと、いうのだろう。——今日の
午
(
ひる
)
、新田が川を渡ったと聞くや、家来どもも
躍起
(
やっき
)
となってみな言いおったが」
私本太平記:01 あしかが帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
お君は
躍起
(
やっき
)
になって米友の槍先を
遮
(
さえぎ
)
りながら、その相手になっている若い侍の面を見てまた驚き
大菩薩峠:07 東海道の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「ほかにもだんだん口が有るんですから、無理に貰っていただかないだって困りゃしません」「それじゃ寒月の事なんか聞かんでも好いでしょう」と主人も
躍起
(
やっき
)
となる。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
千種十次郎は少し
躍起
(
やっき
)
となりました。
笑う悪魔
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
幕将たちの観察と、
司馬懿
(
しばい
)
の見方とは、だいぶ相違があった。幕将たちは
躍起
(
やっき
)
となって再び彼に迫った。
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
入道甚だ安からず思ってまた一石、戦いを
挑
(
いど
)
む。こんな
閑
(
ひま
)
つぶしをやっていたが雨はやまないのに、入道は負ければ負けるほど
躍起
(
やっき
)
になって、兵馬に畳みかけて戦いを挑む。
大菩薩峠:09 女子と小人の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
ここで人に来られては大変だと思って、いよいよ
躍起
(
やっき
)
となって台所をかけ廻る。足音はだんだん近付いてくる。ああ残念だが天祐が少し足りない。とうとう小供に見付けられた。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
八五郎は
躍起
(
やっき
)
となるのです。
銭形平次捕物控:282 密室
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
“躍起”の意味
《名詞》
躍起(やっき)
(多く「躍起となる」「躍起になる」の形で)焦ってむきになること。またむきになって非常に熱中すること。熱心にやること。
(context、dated)おどりたつこと。
(出典:Wiktionary)
躍
常用漢字
中学
部首:⾜
21画
起
常用漢字
小3
部首:⾛
10画
“躍起”で始まる語句
躍起組