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趨
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おもむ
ふりがな文庫
“
趨
(
おもむ
)” の例文
... 有志の士は
悉
(
ことごと
)
く弊藩まで駈付け申すべく候」と説き、また「徳川既に衰運に
趨
(
おもむ
)
き候折柄の義に候えば、大坂陣と同日の論には御座無く候」
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
だから、高野は勿論、叡山其他寺々の童子は、昔から信仰に束縛のなかつた慣例から、浄土・一向・融通・時衆などに
趨
(
おもむ
)
いた。
国文学の発生(第四稿):唱導的方面を中心として
(新字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
こう岸本は考えて、自分の小さな
智慧
(
ちえ
)
や力でどうすることも出来ないような「
生命
(
いのち
)
」の
趨
(
おもむ
)
くままに一切を
委
(
ゆだ
)
ねようとした。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
やむを得ずんば、
観世
(
かんぜ
)
なり、
宝生
(
ほうしょう
)
なり、竹本なり、
歌沢
(
うたざわ
)
なり、しばらく現今衆心の
趨
(
おもむ
)
くところにしたがい、やや取捨を加え、音節を改めば可ならん。
国楽を振興すべきの説
(新字新仮名)
/
神田孝平
(著)
そこで政宗は小田原へ
趨
(
おもむ
)
くべく出発した。時が既に機を失したから兵を率いてでは無く、云わば帰服を表示して不参の罪を謝するためという形である。
蒲生氏郷
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
▼ もっと見る
軍
(
いくさ
)
に
趨
(
おもむ
)
けば必ず大勝利を
獲
(
う
)
というたものだが、肝心緊要の場合に間に合わさず、売ってしまったはさっぱり分らぬとジュロールの『
巴里
(
パリ
)
記奇』に
出
(
い
)
づ。
十二支考:08 鶏に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
大勢の
趨
(
おもむ
)
くところはおのずから定まるにしても、時には順行し、時には逆行し、時には停滞して、人みな
何
(
いず
)
れに向って進むべきかを知らざるようになる。
歴史の矛盾性
(新字新仮名)
/
津田左右吉
(著)
そうしてまた、反対の方向に
趨
(
おもむ
)
こうとしながらも現代の大きな力に支配されて、いつの間にかまた反抗し切れず、現代の力の下に融合されるようになるものと思う。
俳句への道
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
阿部侯が宴を設けて群臣を召しても、独り蘭軒は
趨
(
おもむ
)
くことを要せなかつた。わたくしはこれを読んでビスマルクの事を憶ひ起す。
渠
(
かれ
)
は一切の燕席に列せざることを得た。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
世界が
趨
(
おもむ
)
こうとしている方向は、決して幻想郷ではない。人類の意向は、酔狂ではないのだ。
断想
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
彼は眞面目なる努力の跡を世に殘して、新思潮の
趨
(
おもむ
)
くべき道に悲しむべき先驅者となつたのである。彼は天成の詩人であつた。彼は一日として歌はずには
居
(
を
)
られぬ詩人である。
新しき声
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
其癖批評家の言う所で流行の
趨
(
おもむ
)
く所を察して、勉めて其に後れぬようにと心掛けていた……いや、心掛けていたのではない、
其様
(
そん
)
な不見識な事は私の尤も
擯斥
(
ひんせき
)
する所だったが
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
然
(
しか
)
るに一般には勿論、学者の間にも日本アルプスの名を飛騨山脈に限ることに不同意の説が唱えられて、大勢の
趨
(
おもむ
)
くところ赤石山系や木曾山脈をも日本アルプスの中に含ましむるに至ったのであるが
南北アルプス通説
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
平素庭に
趨
(
おもむ
)
くも
訓誨
(
くんかい
)
に
違
(
たが
)
う、この行
独
(
ひと
)
り識る
厳君
(
げんくん
)
を慰むるを。耳に存す文政十年の詔、口に熟す秋州一首の文。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
王
殂
(
そ
)
して後、諸兄これを遠ざけ外遊せしめたが、ガウルに
趨
(
おもむ
)
き回教徒の兵を仮り来て兵を起し、諸兄を殺し(一二七九年頃)、マンクの尊号を得、世襲子孫に伝えたと。
十二支考:08 鶏に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
五月、燕兵
泗州
(
ししゅう
)
に至る。守将
周景初
(
しゅうけいしょ
)
降
(
くだ
)
る。燕の師進んで
淮
(
わい
)
に至る。
盛庸
(
せいよう
)
防ぐ
能
(
あた
)
わず、戦艦皆燕の
獲
(
う
)
るところとなり、
盱眙
(
くい
)
陥
(
おとしい
)
れらる。燕王諸将の策を排して、
直
(
ただち
)
に
揚州
(
ようしゅう
)
に
趨
(
おもむ
)
く。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
この考えが
閃
(
ひらめ
)
くように岸本の
頭脳
(
あたま
)
へ来た。彼は誰を相手に言葉の上の争いをしようでは無かった。唯自分を投出そうとしていた。そして一切を
生命
(
いのち
)
の
趨
(
おもむ
)
くままに
委
(
ゆだ
)
ねようとしていた。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
剣を
按
(
あん
)
じて右に
趨
(
おもむ
)
きて曰く、諸君
乞
(
こ
)
うらくは
勉
(
つと
)
めよ、昔
漢高
(
かんこう
)
は十たび戦って九たび敗れぬれど
終
(
つい
)
に天下を有したり、今事を挙げてより
連
(
しきり
)
に
勝
(
かち
)
を得たるに、
小挫
(
しょうざ
)
して
輙
(
すなわ
)
ち帰らば
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
いかに
孟賁烏獲
(
もうほんうかく
)
の腕力に富むもその勢いを制するを得んや。ローマ社会の文弱に
趨
(
おもむ
)
くや、いかに老カトーがこれを
怒罵
(
どば
)
し、これを
叱咤
(
しった
)
し、その
鉄鞭
(
てつべん
)
を飛ばすもこれをいかんせんや。
将来の日本:04 将来の日本
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
王宮に
趨
(
おもむ
)
く途中、結び目を六つまで解く、宮に入って王の前で、七つ目の結びを解く、時に王水をその
創
(
きず
)
に
灌
(
そそ
)
ぎ、また両手に懸け、一梵士来りて祈りくれると、平治して村へ還ると。
十二支考:04 蛇に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
それが父の牢獄にも等しい部屋の方へ
趨
(
おもむ
)
く最初の時であった。日頃柔順な子として聞えた民助兄も余儀なく父の前に立って、御辞儀一つして、それから村の人達と一緒に父を後手に縛りあげた。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
この猴甚だ
牡蠣
(
かき
)
を好み、引き潮に磯に
趨
(
おもむ
)
き、牡蠣が炎天に
爆
(
さら
)
されて殻を開いた口へ小石を打ち込み肉を取り食う。たまたま小石が
滑
(
すべ
)
り
外
(
そ
)
れて猴手を
介
(
かい
)
に
挟
(
はさ
)
まれ
大躁
(
おおさわ
)
ぎのところを黒人に捕え食わる。
十二支考:07 猴に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
然
(
しか
)
るに
此
(
これ
)
も
亦
(
また
)
天か
命
(
めい
)
か、
其
(
その
)
翌日燕軍
霊壁
(
れいへき
)
の営を攻むるに当って、燕兵偶然三たび砲を放ったり。南軍誤って
此
(
これ
)
を
我
(
わが
)
砲となし、争って急に門に
趨
(
おもむ
)
きしが、元より我が号砲ならざれば、門は
塞
(
ふさ
)
がりたり。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
趨
漢検準1級
部首:⾛
17画
“趨”を含む語句
趨向
趨勢
帰趨
拝趨
小趨
歩趨
拜趨
視天下之岐趨異説
趨勢上
趨異
趨舍
趨舎
趨避