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責苦
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せめく
ふりがな文庫
“
責苦
(
せめく
)” の例文
そいつらを皆病気に
罹
(
かか
)
らせて自分のように朝晩地獄の
責苦
(
せめく
)
にかけてやったならば、いずれも皆尻尾を出して逃出す連中に相違ない。
病牀苦語
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
「嫌になるなア、あつしの行つたのは千駄木ですよ。尤もそれから谷中三崎町で引留められて、三日三晩の
責苦
(
せめく
)
に逢ひましたがね」
銭形平次捕物控:314 美少年国
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
これはここへ落ちて来るほどの人間は、もうさまざまな地獄の
責苦
(
せめく
)
に疲れはてて、泣声を出す力さえなくなっているのでございましょう。
蜘蛛の糸
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
清盛は大笑いして勝ち
誇
(
ほこ
)
ったようにふすまをあけて出ていった。その時の父には無念の表情よりもむしろ
責苦
(
せめく
)
をのがれた
安堵
(
あんど
)
の色が見えた。
俊寛
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
私はイッタイ人間世界に居るのであろうか……それとも私はツイ今しがたから
幽瞑
(
あのよ
)
の世界に来て、何かの
責苦
(
せめく
)
を受けているのではあるまいか。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
▼ もっと見る
ところでわれわれ近代の人間にとっては極楽の
蓮華
(
れんげ
)
の上の昼寝よりは
目
(
ま
)
のあたりに見る処の地獄の
責苦
(
せめく
)
の方により多くの興味を覚えるのである。
油絵新技法
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
彼女は叶わぬ恋人を、あらん限りの愛撫で、よろこばせてやるかわりに、この世からなる地獄の
責苦
(
せめく
)
を浴びせかけてやる外はない破目になった。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
御
救
(
すく
)
ひ出し申上候處其事私しへ
疑
(
うたが
)
ひ
掛
(
かゝ
)
り夫は/\誠に
恐
(
おそろ
)
しき
責苦
(
せめく
)
を受候御事詞にも筆にも
盡
(
つくし
)
がたく
斯樣
(
かやう
)
の儀を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
……こうした
責苦
(
せめく
)
は、ほうっておいてもおそらく長くは続かなかったろうが……そこへ降ってわいた出来事が、まるで
落雷
(
らくらい
)
のように一挙にすべてに
落着
(
らくちゃく
)
をつけ
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
「うぬ、後悔するな。地獄の
責苦
(
せめく
)
をみせてやるぞ。死ぬよりもおそろしいめに、あわせてやるぞ……。」
透明怪人
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「将軍。察するところ、過日、衆人の中であの
責苦
(
せめく
)
をうけられたのは、何か
苦肉
(
くにく
)
の計ではないのですか」
三国志:07 赤壁の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
殿の屋形に
著
(
つ
)
いてからの姫は日夜
拷問
(
ごうもん
)
の
責苦
(
せめく
)
に
遇
(
あ
)
い、その
果
(
はて
)
はとうとう屋形のうしろの断崖から突き落されてこと切れた。
無慚
(
むざん
)
な伝説であるが、伝説はまだ終らない。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
お前もものの命をとったことは、五百や千では
利
(
き
)
くまいに、早うざんげさっしゃれ。でないと山ねこさまにえらい
責苦
(
せめく
)
にあわされますぞい。おお
恐
(
おそ
)
ろしや。なまねこ。なまねこ。
蜘蛛となめくじと狸
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
さ候へば
私事
(
わたくしこと
)
如何
(
いか
)
に自ら作りし罪の
報
(
むくい
)
とは申ながら、かくまで散々の
責苦
(
せめく
)
を受け、かくまで十分に
懺悔致
(
ざんげいた
)
し、此上は唯死ぬるばかりの身の
可哀
(
あはれ
)
を、つゆほども御前様には通じ候はで
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
如何に悪の報いとは申しながら、繼立の仁助おかくの両人は丹治のために殺され、丹治は又小平のために殺されるという、悪人同士互に修羅の
責苦
(
せめく
)
に
遭
(
あ
)
うとは実に恐るべき事でございます。
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
それどころか、この愛とそれから来る
責苦
(
せめく
)
とに、身を任せているのである。
ある幸福
(新字新仮名)
/
パウル・トーマス・マン
(著)
わたしがこの世に生きていた
間
(
あいだ
)
の生活の半分はラヴェンデルの草の優しい
匂
(
におい
)
のように、この部屋の空気に籠っている。人の母の生涯というものは、
悲
(
かなしみ
)
が三
分
(
ぶ
)
一で、
後
(
あと
)
の二
分
(
ぶ
)
は心配と
責苦
(
せめく
)
とであろう。
痴人と死と
(新字新仮名)
/
フーゴー・フォン・ホーフマンスタール
(著)
じょあん
孫七
(
まごしち
)
、じょあんなおすみ、まりやおぎんの三人は、土の
牢
(
ろう
)
に投げこまれた上、
天主
(
てんしゅ
)
のおん教を捨てるように、いろいろの
責苦
(
せめく
)
に
遇
(
あ
)
わされた。
おぎん
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
……これは子供に
唾
(
つば
)
を吐いた
罰
(
ばち
)
だ。子供に禁じた事を、親が犯した報いだ。だからコンナ
責苦
(
せめく
)
に
遭
(
あ
)
うのだ……。
木魂
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
取直
(
とりなほ
)
し我が身ながらも
未練
(
みれん
)
の
繰言
(
くりごと
)
兎
(
と
)
ても
角
(
かく
)
ても助かり難き我が一命此上は又々
嚴敷
(
きびしき
)
責苦
(
せめく
)
を
忍
(
こらへ
)
んよりは
寧
(
いつ
)
そのこと平兵衞を殺せしと
僞
(
いつは
)
り白状して此世の
責苦
(
せめく
)
を
遁
(
のが
)
れん者と
爰
(
こゝ
)
に心を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
わたしの本当の
責苦
(
せめく
)
は、その
瞬間
(
しゅんかん
)
から始まった。
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
地獄の
責苦
(
せめく
)
が始まったのではなかろうか。
吸血鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
この
責苦
(
せめく
)
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
それから右にじょあんなおすみ、中央にじょあん孫七、左にまりやおぎんと云う順に、刑場のまん中へ押し立てられた。おすみは連日の
責苦
(
せめく
)
のため、急に年をとったように見える。
おぎん
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
あのさつきまで地獄の
責苦
(
せめく
)
に悩んでゐたやうな良秀は、今は云ひやうのない輝きを、さながら恍惚とした法悦の輝きを、皺だらけな満面に浮べながら、大殿様の御前も忘れたのか
地獄変
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
役人は互に
頷
(
うなず
)
き合いながら、孫七夫婦に
縄
(
なわ
)
をかけた。おぎんも同時に
括
(
くく
)
り上げられた。しかし彼等は三人とも、全然悪びれる
気色
(
けしき
)
はなかった。
霊魂
(
アニマ
)
の助かりのためならば、いかなる
責苦
(
せめく
)
も覚悟である。
おぎん
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
あらゆる
責苦
(
せめく
)
に遇はされたのです。
杜子春
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
あらゆる
責苦
(
せめく
)
に
遇
(
あ
)
わされたのです。
杜子春
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
責
常用漢字
小5
部首:⾙
11画
苦
常用漢字
小3
部首:⾋
8画
“責”で始まる語句
責
責任
責任者
責問
責付
責務
責折檻
責殺
責手
責塞