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譜
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ふ
ふりがな文庫
“
譜
(
ふ
)” の例文
彼は、冷たい
床
(
ゆか
)
の上へ、仰向けに倒れて、
輾転
(
てんてん
)
ともがき廻った。——保土ヶ谷の
宿
(
しゅく
)
で聞えた尺八の
鈴慕
(
れいぼ
)
の
譜
(
ふ
)
が耳のなかに
甦
(
よみがえ
)
ってくる。
牢獄の花嫁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「南無阿弥陀ァ仏——南無阿弥陀ァ仏」
単調
(
たんちょう
)
な村の
哀
(
かなしみ
)
の
譜
(
ふ
)
は、村の静寂の中に油の様に流れて、眠れよ休めよと云う様に棺を墓地へと導く。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
「ああこの
譜
(
ふ
)
だよ。」狸の子はせなかからまた一枚の譜をとり出しました。ゴーシュは手にとってわらい出しました。
セロ弾きのゴーシュ
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
玻瓈の果して
眞
(
まこと
)
を告ぐるや否やを見んとて身を轉らし、此と彼と相合ふこと歌のその
譜
(
ふ
)
におけるに似たるを見る 七—
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
「さて、おまえはことばを読むことは覚えたが、どうだね、今度は
譜
(
ふ
)
を読むことを覚えては」と親方が言った。
家なき子:01 (上)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
▼ もっと見る
母が十七八の時に手写したと云う琴唄の
稽古本
(
けいこぼん
)
を見たことがあるが、それは半紙を四つ折りにしたものへ横に唄の詞を
列
(
つら
)
ね、
行間
(
ぎょうかん
)
に琴の
譜
(
ふ
)
を
朱
(
しゅ
)
で
丹念
(
たんねん
)
に書き入れてある
吉野葛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
そしたら進撃の
譜
(
ふ
)
は吹かないで、
réveil
(
レウエイユ
)
の譜を吹いた。イタリア人は生死の境に立っていても、遊びの心持がある。兎に角木村のためには何をするのも遊びである。
あそび
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
高麗縁
(
かうらいべり
)
の青疊の中、
脇息
(
けふそく
)
に
凭
(
もた
)
れて、眼をやると、鳥の子に百草の
譜
(
ふ
)
を書いた唐紙、唐木に百蟲の譜を
透
(
すか
)
し
彫
(
ぼり
)
にした
欄間
(
らんま
)
、玉を刻んだ引手や
釘隱
(
くぎかく
)
しまで、此部屋には何となく
銭形平次捕物控:001 金色の処女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
笑うに堪えた感傷心から詩や
譜
(
ふ
)
に作って弔したが、いうまでもなく出鱈目なのであった。
沙漠の美姫
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
代助は
黙
(
だま
)
つて
嫂
(
あによめ
)
と入れ
替
(
かは
)
つた。
譜
(
ふ
)
を見ながら、両方の
指
(
ゆび
)
をしばらく奇麗に
働
(
はたら
)
かした
後
(
あと
)
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
近所の寄席では、楽隊が上調子な
譜
(
ふ
)
をやっている。……私達はそこの角までくると、なんと思ったか、荻原は往来の角に突っ立って、黙って町の賑やかさを眺めている。私は横から
北国の人
(新字新仮名)
/
水野葉舟
(著)
私は、父の風琴の
譜
(
ふ
)
で、オルガンを上手に
弾
(
ひ
)
いた。
風琴と魚の町
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
鹹
(
しほ
)
からき
執
(
しふ
)
の
譜
(
ふ
)
よ………み空には星ぞうまるる。
邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
濃紫
(
こむらさき
)
ゆかりの
譜
(
ふ
)
をば
春鳥集
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
髑髏
(
どくろ
)
の
譜
(
ふ
)
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
本来は、粛然たる趣のある雅楽のはずだが、酒興の乱痴気を沸かせるだけの目的であるから、
呂
(
りょ
)
も
律
(
りつ
)
も
譜
(
ふ
)
もあったものではない。
宛
(
えん
)
として、神楽調である。
平の将門
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
だまってその
譜
(
ふ
)
を聞いていると、そこらにいちめん黄いろやうすい緑の明るい野原か敷物かがひろがり、またまっ白な
蝋
(
ろう
)
のような
露
(
つゆ
)
が太陽の面を
擦
(
かす
)
めて行くように思われました。
銀河鉄道の夜
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
薄暮
(
くれがた
)
のタンホイゼルの
譜
(
ふ
)
のしるし
邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
それは悲壮な行進の
譜
(
ふ
)
であり、かれの余裕と
鬱勃
(
うつぼつ
)
の勇を示すものだ、
易水
(
えきすい
)
をわたる
侠士
(
きょうし
)
の歌だ。
鳴門秘帖:03 木曾の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
だまってその
譜
(
ふ
)
を聞いていると、そこらにいちめん黄いろや、うすい
緑
(
みどり
)
の明るい
野原
(
のはら
)
か
敷物
(
しきもの
)
かがひろがり、またまっ白な
蝋
(
ろう
)
のような
露
(
つゆ
)
が
太陽
(
たいよう
)
の
面
(
めん
)
をかすめて行くように思われました。
銀河鉄道の夜
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
雲
(
くも
)
を
彩
(
いろ
)
どり
譜
(
ふ
)
をそめて
全都覚醒賦
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
その上を、黒い紅葉が、ひょうひょうと舞い
降
(
ふ
)
っていた。風も落葉も、すべて、音をなす物は、哀しい悲歌の
譜
(
ふ
)
となって、もののふの
腸
(
はらわた
)
を、かきみださずにおかなかった。
私本太平記:12 湊川帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
進歌
(
しんか
)
の
律呂
(
りつりよ
)
譜
(
ふ
)
と
納
(
をさ
)
め
全都覚醒賦
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
その千変万化の音階を、
譜
(
ふ
)
の名で申し上げるよりも、あなたもご存じでございましょう、白楽天の『
琵琶行
(
びわこう
)
』という詩のうちに、琵琶の音いろがよく形容されてありました。——それは
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
だが、その音にも、きょうはなんとなく活気があり、歓喜の
譜
(
ふ
)
があった。
三国志:02 桃園の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
流々
(
るる
)
の身をかこつ調べとも聞かれれば、また、仇を求める一念の送りとも聞こえ、あるいは、作左衛門の魂魄やはかなき変を聞いた新九郎の為に、兄と恋人とが手向ける
譜
(
ふ
)
とも聞かれるのである。
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
譜
常用漢字
中学
部首:⾔
19画
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北越雪譜
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