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蒼味
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あをみ
ふりがな文庫
“
蒼味
(
あをみ
)” の例文
むきたての玉子のやうな、
蒼味
(
あをみ
)
がかつたすべすべした肌で、うつぶせになつて眠つてゐる。唇は開いたまゝ時々、
樋
(
とひ
)
に水の溜るやうないびきをあげてゐる。
浮雲
(新字旧仮名)
/
林芙美子
(著)
其時
(
そのとき
)
坐
(
すは
)
つて
居
(
ゐ
)
た
蒲団
(
ふとん
)
が、
蒼味
(
あをみ
)
の
甲斐絹
(
かひき
)
で、
成程
(
なるほど
)
濃
(
こ
)
い
紫
(
むらさき
)
の
縞
(
しま
)
があつたので、
恰
(
あだか
)
も
既
(
すで
)
に
盤石
(
ばんじやく
)
の
其
(
そ
)
の
双六
(
すごろく
)
に
対向
(
さしむか
)
ひに
成
(
な
)
つた
気
(
き
)
がして、
夫婦
(
ふうふ
)
は
顔
(
かほ
)
を
見合
(
みあ
)
はせて、
思
(
おも
)
はず
微笑
(
ほゝえ
)
んだ。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
其三角の
縁
(
ふち
)
に当る赤錬瓦と
黒
(
くろ
)
い屋根の
接目
(
つぎめ
)
の所が
細
(
ほそ
)
い石の直線で出来てゐる。さうして其石の色が少し
蒼味
(
あをみ
)
を帯びて、すぐ
下
(
した
)
にくる派出な赤錬瓦に一種の趣を添へてゐる。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
西八條の花見の宴に時頼も
連
(
つらな
)
りけり。其夜
更闌
(
かうた
)
けて家に歸り、其の翌朝は常に似ず朝日影
窓
(
まど
)
に差込む頃やうやく
臥床
(
ふしど
)
を出でしが、顏の色少しく
蒼味
(
あをみ
)
を帶びたり、
終夜
(
よもすがら
)
眠らでありしにや。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
私
(
わし
)
は
其
(
その
)
まゝ
目
(
め
)
を
外
(
そ
)
らしたが、
其
(
そ
)
の一
段
(
だん
)
の
婦人
(
をんな
)
の
姿
(
すがた
)
が
月
(
つき
)
を
浴
(
あ
)
びて、
薄
(
うす
)
い
煙
(
けぶり
)
に
包
(
つゝ
)
まれながら
向
(
むか
)
ふ
岸
(
ぎし
)
の
潵
(
しぶき
)
に
濡
(
ぬ
)
れて
黒
(
くろ
)
い、
滑
(
なめら
)
かな、
大
(
おほき
)
な
石
(
いし
)
へ
蒼味
(
あをみ
)
を
帯
(
お
)
びて
透通
(
すきとほ
)
つて
映
(
うつ
)
るやうに
見
(
み
)
えた。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
▼ もっと見る
年紀
(
とし
)
が
少
(
わか
)
い、十三四か、それとも五六、七八か、
眦
(
めじり
)
に
紅
(
べに
)
を
入
(
い
)
れたらしいまで
極彩色
(
ごくさいしき
)
に
化粧
(
けしやう
)
したが、
烈
(
はげ
)
しく
疲
(
つか
)
れたと
見
(
み
)
えて、
恍惚
(
うつとり
)
として
頬
(
ほゝ
)
に
蒼味
(
あをみ
)
がさして、
透通
(
すきとほ
)
るほど
色
(
いろ
)
が
白
(
しろ
)
い。
魔法罎
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
沼
(
ぬま
)
の
色
(
いろ
)
は、やゝ
蒼味
(
あをみ
)
を
帶
(
お
)
びた。
人魚の祠
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
胸
(
むね
)
のあたりに
蒼味
(
あをみ
)
が
射
(
さ
)
す。
霰ふる
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
蒼
漢検準1級
部首:⾋
13画
味
常用漢字
小3
部首:⼝
8画
“蒼”で始まる語句
蒼
蒼白
蒼空
蒼蠅
蒼黒
蒼褪
蒼然
蒼々
蒼穹
蒼茫