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はなかわど
ふりがな文庫
“
花川戸
(
はなかわど
)” の例文
店の前まで来たときに、
花川戸
(
はなかわど
)
の
鼻緒問屋
(
はなおどんや
)
の主人
下田長造
(
しもだちょうぞう
)
は
遽
(
あわ
)
てて駈けだす三男の素六を認めたので、イキナリ声をかけたのだった。
空襲葬送曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
このお爺さんこそ
安政
(
あんせい
)
の末から
万延
(
まんえん
)
、
文久
(
ぶんきゅう
)
、
元治
(
がんじ
)
、慶応へかけて江戸
花川戸
(
はなかわど
)
で早耳の三次と謳われた捕物の名人であることがわかった。
早耳三次捕物聞書:01 霙橋辻斬夜話
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
昨日の晩
花川戸
(
はなかわど
)
の
寄席
(
よせ
)
で
娘浄瑠璃
(
むすめじょうるり
)
が
縛
(
あげ
)
られる。それから今朝になって
広小路
(
ひろこうじ
)
の
芸者屋
(
げいしゃや
)
で女
髪結
(
かみゆい
)
が三人まで御用になりました。
散柳窓夕栄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
岸へ上った辺は
花川戸
(
はなかわど
)
といいました。少し行くと浅草
聖天町
(
しょうでんちょう
)
です。
待乳山
(
まっちやま
)
の曲りくねった坂を登った上に聖天様の社があって、桜の木の下に碑があります。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
「白柄組の一人と知って喧嘩を売るからは、さてはおのれ等は
花川戸
(
はなかわど
)
の幡随長兵衛が手下のものか」
番町皿屋敷
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
▼ もっと見る
さて、木は買いましたが、これを東京へ運ぶのが大仕事……どういうことにするかというと、今は三月ですから、五月までには浅草の
花川戸
(
はなかわど
)
の
河岸
(
かし
)
まで着けるという。
幕末維新懐古談:73 栃の木で老猿を彫ったはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
『どうです、親方。
花川戸
(
はなかわど
)
の辰親分の内で、いい
賭場
(
とば
)
が開いていますぜ』と云うじゃありませんか。
ある恋の話
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
よくもこう目が届いたものです、
花川戸
(
はなかわど
)
の方から入って来た娘、町一杯に見通す位置に身を潜めて、路地の口から、こっちを眺めているのを平次は指さしているのです。
銭形平次捕物控:023 血潮と糠
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
欄干に
倚
(
よ
)
って下を見ると
満潮
(
まんちょう
)
か
干潮
(
かんちょう
)
か分りませんが、黒い水がかたまってただ動いているように見えます。
花川戸
(
はなかわど
)
の方から人力車が一台
馳
(
か
)
けて来て橋の上を通りました。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
そして自分は
花川戸
(
はなかわど
)
に寄るところがあるからと、おたかは急ぎ足に別れていった。
柳橋物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
それに
町奴
(
まちやっこ
)
とか云いまして
幡隨院長兵衞
(
ばんずいいんちょうべえ
)
、又は
花川戸
(
はなかわど
)
の
戸澤助六
(
とざわすけろく
)
、
夢
(
ゆめ
)
の
市郎兵衞
(
いちろべえ
)
、
唐犬權兵衞
(
とうけんごんべえ
)
などと云う者がありまして、其の町内々々を持って居て、
喧嘩
(
けんか
)
があれば
直
(
すぐ
)
に出て裁判を致し
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
山西はふと
小女
(
こむすめ
)
を
己
(
じぶん
)
の知っている
花川戸
(
はなかわど
)
の
安宿
(
やすやど
)
へ
伴
(
つ
)
れ込もうと思いだした。
水魔
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
花川戸
(
はなかわど
)
の
助六
(
すけろく
)
も
鼠小僧
(
ねずみこぞう
)
の
次郎吉
(
じろきち
)
も、或いはそうだったのかも知れませんね。
十五年間
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
助六
(
すけろく
)
に作り雷門前地内にて往来に
蓆
(
むしろ
)
を敷きほんの手すさびに「これは雷門の定見世
花川戸
(
はなかわど
)
の助六飛んだりはねたり」と団十郎の
声色
(
こわいろ
)
を真似て売りをりし由にて、傘の飛ぶのが面白く評判となり
江戸の玩具
(新字旧仮名)
/
淡島寒月
(著)
そのころ浅草
花川戸
(
はなかわど
)
の神谷バーはまだ居酒屋式、ガラス戸のはまった粗末な構え、店前にはいつも多数の人力車が地方の停車場以上に集まって大した繁昌、函館屋とは全く客種の違った平民バー
明治世相百話
(新字新仮名)
/
山本笑月
(著)
知らせによって駈けつけた、
花川戸
(
はなかわど
)
交番の巡査の指図で、発着所の若い者が、モジャモジャした死骸の頭の毛を掴んで引上げようとすると、その頭髪が頭の地肌から、ズルズルとはがれて来たのだ。
陰獣
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
と源十郎が前方の栄三郎をみつめているうち、
花川戸
(
はなかわど
)
のほうへ下らずに、栄三郎はまっすぐに仁王門から
観音
(
かんのん
)
の境内へはいりこむ。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
更に、驚くべきことは、この一団のうちに、
花川戸
(
はなかわど
)
の
鼻緒問屋
(
はなおどんや
)
下田長造
(
しもだちょうぞう
)
の妹娘の紅子と、
末子
(
すえっこ
)
の中学生、素六とが、
一隅
(
いちぐう
)
に慄えていることだった。
空襲葬送曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
世の噂をきくに、隅田川の沿岸は向島のみならず
浅草
(
あさくさ
)
花川戸
(
はなかわど
)
の岸もやがて公園になされるとかいう事である。
向嶋
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
家業を変えて
肴屋
(
さかなや
)
を始め、
神田
(
かんだ
)
、
大門
(
だいもん
)
通りのあたりを得意に如才なく働いたこともありますが、江戸の大火に
逢
(
あ
)
って着のみ着のままになり、流れて
浅草
(
あさくさ
)
の
花川戸
(
はなかわど
)
へ行き
幕末維新懐古談:01 私の父祖のはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
でなければ渡しを渡って
花川戸
(
はなかわど
)
へ出て、
待乳山
(
まっちやま
)
を越して、横手から観音様へ
這入
(
はい
)
ります。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
と
戸外
(
おもて
)
へ出たが、
掌
(
て
)
の内の玉を取られたような心持で腕組を
為
(
し
)
ながら、気抜の為たように仲の
町
(
ちょう
)
をぶら/\参り、大門を出て土手へ掛り、山の
宿
(
しゅく
)
から
花川戸
(
はなかわど
)
へ参り、今
吾妻橋
(
あづまばし
)
を渡りに掛ると
文七元結
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
花川戸
(
はなかわど
)
の
助六
(
すけろく
)
も
鼠小僧次郎吉
(
ねずみこぞうじろきち
)
も、或いはそうだったのかも知れませんね。
パンドラの匣
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
「そうであります」曹長の声は、すこし
慄
(
ふる
)
えを帯びていた。「
雷門
(
かみなりもん
)
附近の、
花川戸
(
はなかわど
)
というところであります」
空襲葬送曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
枕橋
(
まくらばし
)
の二ツ並んでいるあたりからも、
花川戸
(
はなかわど
)
の岸へ渡る船があったが、震災後
河岸通
(
かしどおり
)
の人家が一帯に取払われて今見るような公園になってから
言問橋
(
ことといばし
)
が
架
(
か
)
けられて
水のながれ
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
生酔いのように
道路
(
みち
)
の真中を一文字に、見れども見えず聞けども聞かざるごとく、思案にわれを忘れて
花川戸
(
はなかわど
)
の自宅に帰り着いた早耳三次は、呆れる女房を叱りとばして昼の内から酒にして
早耳三次捕物聞書:01 霙橋辻斬夜話
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
吾妻橋
(
あずまばし
)
の手前
東橋亭
(
とうきょうてい
)
とよぶ
寄席
(
よせ
)
の
角
(
かど
)
から
花川戸
(
はなかわど
)
の路地に
這入
(
はい
)
れば、ここは芸人や
芝居者
(
しばいもの
)
また遊芸の師匠なぞの多い処から何となく
猿若町
(
さるわかまち
)
の
新道
(
しんみち
)
の昔もかくやと推量せられる。
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
“花川戸”の解説
花川戸(はなかわど)は、東京都台東区にある町名。現行行政地名は花川戸一丁目および花川戸二丁目。郵便番号は111-0033。
(出典:Wikipedia)
花
常用漢字
小1
部首:⾋
7画
川
常用漢字
小1
部首:⼮
3画
戸
常用漢字
小2
部首:⼾
4画
“花川戸”で始まる語句
花川戸助六