聰明そうめい)” の例文
明智の聰明そうめいらしい容貌や、話しっぷりや、身のこなしなどに、すっかり引きつけられて了って、それから屡々しばしば彼を訪ねる様になり
屋根裏の散歩者 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
ただ聰明そうめいをかいたがため、階級かいきゅうたいしては、組織そしきある闘争とうそうでなければならぬのを、一をもって、にくいとおも対象たいしょうにぶつかりました。
風はささやく (新字新仮名) / 小川未明(著)
仙人せんにん張三丰ちょうさんぼうもとめんとすというをそのとすといえども、山谷さんこくに仙をもとめしむるが如き、永楽帝の聰明そうめい勇決にしてあに真にそのことあらんや。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
ほこらちかところ少年せうねんそうあり。かね聰明そうめいをもつてきこゆ。含春がんしゆん姿すがたて、愛戀あいれんじやうへず、柳氏りうしせい呪願じゆぐわんして、ひそか帝祠ていしたてまつる。ことばいは
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
聰明そうめいではあるが普通の女の常識の限界を一歩ものりこえない、ただすなおで、親切で、物わかりのいい道江の性質が次郎にもよくわかっていて、自然
次郎物語:04 第四部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
これらの型の差異は、必ずしも道徳的な善悪の差ではなく、多くは手腕や才能の差であり、マキアヴェリの狡智こうち、策略、知恵、聰明そうめいの問題であることが多いのである。
政治学入門 (新字新仮名) / 矢部貞治(著)
彼が頭脳あたまのよかった証拠には、イギリスの使節らが彼の聰明そうめいさに驚いたというくらいだ。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
〔譯〕博聞強記はくぶんきやうきは、聰明そうめいよこなり。精義せいぎ神に入るは、聰明そうめいたてなり。
聰明そうめいな顔に皮肉な笑みを浮かべた穏やかな男である。
五階の窓:04 合作の四 (新字新仮名) / 甲賀三郎(著)
寶暦はうれきころ當城たうじやうあるじ眞田伊豆守幸豐公さなだいづのかみゆきとよぎみよはひわづかに十五ながら、さいびんに、とくたかく、聰明そうめい敏達びんたつきこたかかりける。
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
愛の支えは、いかほど独立不になろうとする生命にとっても必要なのである。愛は、愛を拒もうとするものにこそ、最も聰明そうめいに与えられなければならないのだ。
次郎物語:03 第三部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
これには幕府の諸有司の中にも反対するものが多かったというが、聰明そうめいで物に執着することの少ない一橋慶喜と、その相談相手なる松平春嶽とが、惜しげもなくこの英断に出た。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
強さのことを彼は「ヴィルチュ」というが、これは権力意思、野心、勇気、精力などを含めた強さのことであり、ずるさというのは、術策や、機略や、知恵や、聰明そうめいさをふくめている。
政治学入門 (新字新仮名) / 矢部貞治(著)
ほとんど盲目的だとも思われるほどの芳醇ほうじゅんな愛や、彼の父俊亮の、聰明そうめいで、しかも素朴そぼくさを失わない奥深い愛が、いつも彼の背後から彼を支えていてくれなかったならば、そして、また
次郎物語:03 第三部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
老職らうしよくやからふもさらなり、諸役人等しよやくにんらも、いよ/\でて、いよ/\不平ふへいなれども、聰明そうめいなる幼君えうくんをはじめ、御一門ごいちもん歴々方れき/\がたのこらず御同意ごどういひ、こと此席このせきおいなにといふべきことばでず、わたくしども
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
前にいった狡智こうち、機略、聰明そうめいの資質に含めてよかろう。
政治学入門 (新字新仮名) / 矢部貞治(著)