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羞
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はづか
ふりがな文庫
“
羞
(
はづか
)” の例文
やつと小学校へはひつた僕はすぐに「十郎が兄さんですよ」といひ、
反
(
かへ
)
つてみんなに笑はれたのを
羞
(
はづか
)
しがらずにはゐられなかつた。
素描三題
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
なんとも
羞
(
はづか
)
しく、玄関に立つて可笑しさを
怺
(
こら
)
へてゐた奥さんの顔は、自動車が田圃の中の道路を走つてゐる間中、眼に浮かぶのであつた。
亡弟
(新字旧仮名)
/
中原中也
(著)
豊ちやんは、
羞
(
はづか
)
しさうな顔をしてやめてしまつたので、栄蔵はほつとした。そして大人の松さんを頼もしく思つた。
良寛物語 手毬と鉢の子
(新字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
爲
(
せ
)
しこと小西屋の
嫁
(
よめ
)
と爲といふとも
羞
(
はづか
)
しからぬ女なりと長三郎は
殊更
(
ことさら
)
に
戀慕
(
こひしたふ
)
心の
増
(
まさ
)
りゆき夫婦は夫とも
意附
(
こゝろづか
)
で
醫師
(
いしや
)
の言たる言葉を信とし
縁談
(
えんだん
)
斷
(
ことわ
)
り此
騷動
(
さうどう
)
に及びたるを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
流石
(
さすが
)
娘心の感じ易さ、暗く
煤
(
すゝ
)
けた土壁の
内部
(
なか
)
の
光景
(
ありさま
)
をも物
羞
(
はづか
)
しく思ふといふ風で、『ぼや』を
折焚
(
おりく
)
べて炉の火を盛んにしたり、着物の前を掻合せたりして語り聞かせる。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
▼ もっと見る
既に
火宅
(
くわたく
)
の門を出でゝ法苑の内に入らしめ終んぬ、聊か聞くところありしかば、眼前の
迍邅
(
ちゆんてん
)
を縁として身後の安楽を願はせんと、たゞ一度会ひて
言
(
ものい
)
ひしに、親
羞
(
はづか
)
しき利根のものにて
二日物語
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
羞
(
はづか
)
しいことだが、今でも、こんなあさましい身と成り果てた今でも、己は、己の詩集が長安風流人士の机の上に置かれてゐる
樣
(
さま
)
を、夢に見ることがあるのだ。岩窟の中に横たはつて見る夢にだよ。
山月記
(旧字旧仮名)
/
中島敦
(著)
室生も
亦
(
また
)
僕のあとから「どうした? どうした?」と言つて追ひかけて来た。僕はちよつと
羞
(
はづか
)
しかつたから、
何
(
なん
)
とか言つて
護摩化
(
ごまか
)
してしまつた。
凶
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「ほら、見てごらん、もう泣くよ。ほら涙が出て来たよ。見られると
羞
(
はづか
)
しいからうつむいてんだよ。」
良寛物語 手毬と鉢の子
(新字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
斯ういふ楽しい問は、とは言へ、長く
継
(
つゞ
)
かなかつた。何時の間にか文平が入つて来て、用事ありげにお志保を
促
(
うなが
)
した。
終
(
しまひ
)
には
羞
(
はづか
)
しがるお志保の手を
執
(
と
)
つて、無理やりに引立てゝ行かうとする。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
嫌
(
きら
)
ふにあらねど未だ
未邊女氣
(
おぼこぎ
)
のうら
羞
(
はづか
)
しく
發揮
(
はき
)
と
問答
(
へんじ
)
を爲さざるなる可し就ては
氣永
(
きなが
)
く
口説
(
くどく
)
時は竟に意に從ふならんと思ふにも
似
(
に
)
ず其娘は今度本町の小西屋へ
縁談
(
えんだん
)
究
(
きま
)
り箇樣々々と
糊賣
(
のりうり
)
お金が話したるを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
沢山
(
たくさん
)
のしなければならぬ仕事があると思つて、この道を二十年前歩いたのだが、自分は果して、どれだけのことをなしたか。さう思ふと良寛さんは、
羞
(
はづか
)
しいのである。
良寛物語 手毬と鉢の子
(新字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
彼女はあの
健気
(
けなげ
)
な決心も、全く忘れてしまつたのか、そつとほほ笑んだ眼を伏せて、真鍮の十字架を手まさぐりながら、この怪しい外国人の側へ、
羞
(
はづか
)
しさうに歩み寄つた。
南京の基督
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
如夜叉
(
によやしや
)
と思ひ込し
最
(
いと
)
物堅
(
ものがた
)
き長三郎も
流石
(
さすが
)
木竹
(
きだけ
)
に非れば此時
初
(
はじめ
)
て
戀風
(
こひかぜ
)
の
襟元
(
えりもと
)
よりして
慄
(
ぞつ
)
と
染
(
し
)
み娘も見たる其人は本町
業平俳優息子
(
なりひらやくしやむすこ
)
と
綽名
(
あだな
)
の有は知らざれど
比
(
たぐ
)
ひ
稀
(
まれ
)
なる美男なれば是さへ茲に
戀染
(
こひそ
)
めて斯いふ男が又有らうか
斯
(
かう
)
いふ女が又有らうかと
互
(
たがひ
)
に
恍惚
(
みとれ
)
茫然
(
ばうぜん
)
と
霎時
(
しばし
)
言葉もあらざりしが
稍々
(
やう/\
)
にして
兩個
(
ふたり
)
が
心附
(
こゝろづい
)
ては
羞
(
はづか
)
は
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
広次は妙に
羞
(
はづか
)
しさうに、奥部屋の古畳へ投げ出された桜の枝ばかり気にしてゐた。……
一塊の土
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
すると
如何
(
いか
)
にも
羞
(
はづか
)
しさうに長い
尻
(
し
)
つ
尾
(
ぽ
)
を垂らしたなり、
何処
(
どこ
)
かへ行つてしまつたとさ。
虎の話
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
秀林院様は右のおん手にお髪をきりきりと巻き上げられ、御覚悟の
体
(
てい
)
に見上げ候へども、若き衆の姿を御覧遊ばされ、
羞
(
はづか
)
しと思召され候や、
忽
(
たちま
)
ちおん顔を耳の根迄赤あかとお染め遊ばされ候。
糸女覚え書
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
マツグは多少
羞
(
はづか
)
しさうにかう小声でつけ加へました。
河童
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
それから——もう一度
羞
(
はづか
)
しさうに笑つた。
あばばばば
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
羞
常用漢字
中学
部首:⽺
11画
“羞”を含む語句
羞恥
含羞
羞耻
嬌羞
羞明
含羞草
可羞
羞含
羞恥心
面羞
心羞
気羞
珍羞
羞痒
多羞
羞耻心
花羞
羞渋
羞恥家
羞顔
...