絶叫ぜっきょう)” の例文
絶叫ぜっきょう、物音、すべて一瞬のまである。閣外の官兵もザワザワと混み入って来て、たちまち花栄の体を高手小手の縄目としてしまった。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
友人はこれを聞き、カッとしてわが胸中にきいずる同情の海に比ぶれば二千、三千の金はその一てきにだもあたいせずと絶叫ぜっきょうしたと聞いた。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
わたしが軽騎兵への返事に、非常な憤慨ふんがい一瞥いちべつをくれたので、ジナイーダは手をたたくし、ルーシンは「でかした!」と絶叫ぜっきょうするさわぎだった。
はつ恋 (新字新仮名) / イワン・ツルゲーネフ(著)
これすなわち勝氏が特に外交の危機きき云々うんぬん絶叫ぜっきょうして、その声を大にし以て人の視聴しちょう聳動しょうどうせんとつとめたる所以ゆえんに非ざるか、ひそか測量そくりょうするところなれども
ほかに似ようたって容易に似られる訳のものじゃないと言って聞かせると、そりゃ植物に似ちゃ大変ですと絶叫ぜっきょうして以来、とうとう鼬ときまってしまったのである。
思い出す事など (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
私は広く四方八方の世人せじんに向こうて、まあうそと思って一度味わってみてください、と絶叫ぜっきょうしたい。私はけっして嘘言きょげんかない。どうかまずその肉の一臠いちれんめてみてください。
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
大穴だと絶叫ぜっきょうしながら、ジャンパーの肩に抱きついて、ポロポロ涙を流していた。
競馬 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
敵のやいばの下で、真赤まっかに血を浴びた子路が、最期さいごの力をしぼって絶叫ぜっきょうする。
弟子 (新字新仮名) / 中島敦(著)
と、こんどは帆村が絶叫ぜっきょうした。素早く安楽椅子のかげに身をかわした彼だったが、途端とたんに一弾飛びきたって左肩にきりを突きこんだ疼痛とうつうを感じた。彼は床の上に自分の身体が崩れてゆくのを意識した。
蠅男 (新字新仮名) / 海野十三(著)
(やあ、人参にんじん干瓢かんぴょうばかりだ。)と粗忽そそッかしく絶叫ぜっきょうした。
高野聖 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
絶叫ぜっきょうして泣いたけれど命数めいすうがあればにも死なれないで
(新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
トーマスがふるえあがって絶叫ぜっきょうした。
ゆえに我々は一家を捨てることをも重いことに思わない。ゆえに事あれば国のためとはいうけれど、一家のためとは絶叫ぜっきょうしない。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
かれは、おもわず絶叫ぜっきょうした。だがその口も、たちまち綿わたのようなものをつめられてしまったので、声も立てられない。ただ身をもがいて、しまろんだ。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
彼は湖面を指さしながら、絶叫ぜっきょうした。
恐竜島 (新字新仮名) / 海野十三(著)
その武者の絶叫ぜっきょうは、返り血とともに、善助の面を打ったが、敵が勢いよく仆れるのと一緒に、官兵衛の体も善助の背を離れて、諸倒ともだおれに大地へ転んでいた。
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その底にすむ金色こんじきひとみ、かしらの逆羽さかばね、見るからに猛々たけだけしい真黒な大鷲おおわしが、足のくさりを、ガチャリガチャリ鳴らしながら、扇山せんざん石柱いしばしらの上にたって、ものすごい絶叫ぜっきょうをあげていた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
よろりと身をそるところへ、黒装束の腰からさッとほとばしった氷のやいば! 男の肩からけさがけにりさげた。——ワッという絶叫ぜっきょうとともにやみにたちまよった血けむりの血なまぐささ。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
おもてもふらず、佐久間勢の槍隊のうちへ、これも多くは槍をふるッて突入した。からみ合う長槍の響きは、怒罵どば絶叫ぜっきょう、馬のいななきと入り交じって、それらことごとくが、血の音、血の声と聞かれた。
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
馬蹄のあとには、無数の死骸が捨てられ、悍馬かんば絶叫ぜっきょう、血は河をなした。
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
男女を合わせて、侍童から厩中間うまやちゅうげんの端まで加えれば、信長の扈従こじゅう百余名はいたはずであるが、本能寺全伽藍ぜんがらん、ただ見るぐわうぐわう燃える一炬いっきょとなったときは、一箇の人影も、一声の絶叫ぜっきょうもなかった。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「ううむ、残念!」一八郎の絶叫ぜっきょうが聞こえた。
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、絶叫ぜっきょうを浴びせた。
大岡越前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
絶望ぜつぼう絶叫ぜっきょう
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)