“一臠”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
いちれん60.0%
ひときれ40.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
何十年来シベリヤの空をにらんで悶々もんもん鬱勃うつぼつした磊塊らいかいを小説に托して洩らそうとはしないで、家常茶飯的の平凡な人情の紛糾に人生の一臠いちれんを探して描き出そうとしている。
二葉亭追録 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
私は広く四方八方の世人せじんに向こうて、まあうそと思って一度味わってみてください、と絶叫ぜっきょうしたい。私はけっして嘘言きょげんかない。どうかまずその肉の一臠いちれんめてみてください。
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
しかもその日、晩飯を食わせられる時、道具屋が、めじの刺身を一臠ひときれはしで挟んで、鼻のさきへぶらさげて、東京じゃ、これが一皿、じゃあない、一臠、若干金いくらにつく。
木の子説法 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ラサという所はラマだの糸瓜へちまだのといいながら、夜叉やしゃ郎苦叉鬼ラクシャキのように肉を山のように積んで、俺達に一臠ひときれもくれんで自分ばかり喰って居る。こんな所は極楽も糸瓜へちまもあったもんじゃない。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)