一臠ひときれ)” の例文
しかもその日、晩飯を食わせられる時、道具屋が、めじの刺身を一臠ひときれはしで挟んで、鼻のさきへぶらさげて、東京じゃ、これが一皿、じゃあない、一臠、若干金いくらにつく。
木の子説法 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ラサという所はラマだの糸瓜へちまだのといいながら、夜叉やしゃ郎苦叉鬼ラクシャキのように肉を山のように積んで、俺達に一臠ひときれもくれんで自分ばかり喰って居る。こんな所は極楽も糸瓜へちまもあったもんじゃない。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)