篝火かゞりび)” の例文
固めたる人數の篝火かゞりびなるべし此人數は凡そ千人餘ならんとまた一方を見渡し深川新地の端より品川沖まで燈火ともしびの見るは何舟なりやと問ふ大膳あれこそ白魚しらうを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
たゞことわつてくが、そのゆる篝火かゞりびごとき、大紅玉だいこうぎよくいだいたのをんなは、四時しじともに殺生禁斷せつしやうきんだんのはずである。
木菟俗見 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
かくて當日このひは、二十ちかすゝんでれたので、よる鐵車てつしやをばいち大樹だいじゆ下蔭したかげとゞめて、終夜しうや篝火かゞりびき、二人ふたりづゝ交代こうたいねむつもりであつたが、いかさけ猛獸まうじうこゑさまたげられて
つてからは、城の内外の持口々々もちくち/″\篝火かゞりびつらねて、炎焔えん/\てんこがすのであつた。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
ルネッサンス風の煉瓦づくり母家おもやを黒々と包む奥深い庭のそこかしこに、樹立をすかして、赤々と燃え盛る篝火かゞりびが先づ眼を惹き、大がかりなバンドの、乙にすましたミニュエットかなにかが
双面神 (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
うしほを照らす篝火かゞりび
藤村詩抄:島崎藤村自選 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
手鍋てなべぐる意氣いきげきして、所帶しよたい稽古けいこ白魚しらうをめざしつくなりしかすがいぢらしとて、ぬきとむるはなるをよ。いといろも、こぼれかゝる袖口そでくちも、篝火かゞりびたるかな。
婦人十一題 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
それから用意ようゐ篝火かゞりびをどん/″\もやして、えず小銃せうじう發射はつしやし、また時々とき/″\爆裂彈ばくれつだんのこれるを投飛なげとばしなどして、やうや一夜いちやあかしたが、けたとて仕方しかたがない、朝日あさひはうら/\とのぼつて
篝火かゞりびくか、とえて、眞紅しんくこずゑが、ちら/\とゆふべあかねをほとばしらす。
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)