真夏まなつ)” の例文
旧字:眞夏
けれど、たまたま真夏まなつになって、あめらないことがありました。そんなときは、むらの百しょうは、どんなにこまったでありましょう。
娘と大きな鐘 (新字新仮名) / 小川未明(著)
勘太郎の村から十丁ばかりはなれた所に光明寺こうみょうじという寺があった。山を少し登りかけた深い杉森すぎもりの中にあって、真夏まなつの日中でもそこは薄寒うすさむいほど暗くしんとしていた。
鬼退治 (新字新仮名) / 下村千秋(著)
つい今しがたまで雨を恋しがって居た乾き切った真夏まなつあえぎは何処へ往ったか。唯十分か十五分の中に、大地は恐ろしい雨雲の下に閉じこめられて、冷たいくら冥府よみになった。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
山道をゆけばなつかし真夏まなつさへつめたき谷の道はなつかし
つゆじも (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
全身ぜんしん落つる日をびて真夏まなつの海をうちにらむ。
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
緑葉の真夏まなつのしらべ
小曲二十篇 (新字旧仮名) / 漢那浪笛(著)
真夏まなつひる片日向かたひなた
夏の日 (新字旧仮名) / 末吉安持(著)
それに、真夏まなつのことであって、いつうしみちうえたおれまいものでもないとおもったから、よけいに心配しんぱいもしたのでした。
ある男と牛の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
真夏まなつそのの花のいろ/\
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
真白ましろなる真夏まなつ真昼まひる
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
くゆりとぶ真夏まなつひる
文月のひと日 (新字旧仮名) / 末吉安持(著)
それは真夏まなつ時分じぶんちがって、幾分いくぶんよわく、またあつさもひどくかんじなかったけれど、ふか谷河たにがわへだててあちらのいわをも日光にっこうらしていたのであります。
大根とダイヤモンドの話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
真夏まなつなり
新頌 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
真夏まなつ午後ごごひかり田舎道いなかみちうえあつらしていました。あまりとおっている人影ひとかげえなかったのであります。
どこで笛吹く (新字新仮名) / 小川未明(著)
サーカスの一は、あるときは西にしに、あるときはひがしに、ところさだめず、興行こうぎょうをつづけてあるきました。真夏まなつそらに、たかいテントをって、あぶない芸当げいとうえんじたのです。
サーカスの少年 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ふゆのない南方なんぽうは、まだ真夏まなつであります。みずうみみずは、ぎんのごとく、ひかり反射はんしゃしていました。
南方物語 (新字新仮名) / 小川未明(著)