“目睫:もくしょう” の例文
“目睫:もくしょう”を含む作品の著者(上位)作品数
吉川英治9
林不忘2
中里介山2
徳田秋声1
本庄陸男1
“目睫:もくしょう”を含む作品のジャンル比率
芸術・美術 > スポーツ・体育 > 戸外レクリエーション1.5%
文学 > 日本文学 > 小説 物語0.4%
歴史 > 伝記 > 個人伝記0.4%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
打ちあわすべきことは山ほどあって、着手の日は目睫もくしょうにせまっているのですから、対馬守はそれどころではない。
丹下左膳:03 日光の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
青年の四肢が、ピクリ/\と痙攣けいれんし始めた。もう、死期の目睫もくしょうの間に迫っていることがわかった。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
あれ程な男も、今は、目睫もくしょうにせまった当惑と、足もとの情涙じょうるいに、意気地もなくうろたえて、手を合して、拝まないばかりに。
鳴門秘帖:06 鳴門の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
新しく計画した生活上のプロットが既に目睫もくしょうに迫っている折からだったので、この行程は最もすみやかに処置して来なければならなかった。
ゼーロン (新字新仮名) / 牧野信一(著)
ともあれ、若君わかぎみのご一めいや忍剣や龍太郎りゅうたろうを、いかにせばすくいうるか、それが目睫もくしょうの大問題であると思う。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
じつに、武田一とう致命的ちめいてき危難きなんは、目睫もくしょうにせまっているのだ。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
彼の弟等も、老臣の経明も、また主なる郎党にしても、すべてが、それを目睫もくしょうの急として、
平の将門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「それそれ、遠からずその世が来るのじゃ、夜が明けますぞ、北条、足利の時代が終って、万民の待ち望む中興の時代が来るのは、ホンの目睫もくしょうかんである」
大菩薩峠:30 畜生谷の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
来るものがあったらこばむまいと思いながら年を送るうち、いつか四十を過ぎ、五十の坂を越して忽ち六十も目睫もくしょうかんに迫ってくるようになった。
西瓜 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
午後一時に総員広場に集れの布令ふれが廻って、時はいよいよ目睫もくしょうに迫った。山田は蒼白くなっては度々水で口を濡しながら「サア往こう」と昂然として言う。
監獄部屋 (新字新仮名) / 羽志主水(著)
金吾はこの不可解な旅人を前にして、ちょっと目睫もくしょうのことを忘れながら、
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
目睫もくしょうの大決戦期に、敵前これを実施するのは無謀とも大胆ともいえる。
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「いや……ご好意は、よく分っている。……だが年暮くれではあるし、貴公にも話した如く、宮本武蔵というものとの大事な試合も、目睫もくしょうのまに近づいている場合ゆえ」
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
が、右舷のはるかに、黒々と防波堤が見え、星のようにきらめくタラント軍港の燈火——いまや、戦艦「レオナルド・ダ・ヴィンチ」は目睫もくしょうかんに迫ったのである。
潜航艇「鷹の城」 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
「いよいよ、目睫もくしょうの間に迫ってまいりました」
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
これは彼として、一見、奇異な行動のようであるが、主人信雄と秀吉との開戦が目睫もくしょうに迫ったと知るとたんに、彼が、はたと当惑したのは、羽柴家へ人質として取られてあるひとりの老母の身であった。
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
二階へ上がると部屋もざっと掃除がすんでおり、均平は縁側のぼろ椅子いすに腰かけて、目睫もくしょうの間に迫る雨後の山の翠微すいびを眺めていた。寝しなに胸を圧していたあの感傷もあとなく消えた。
縮図 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
辻斬の危険。目睫もくしょうに迫っている生命の危険。いや、生命と職業と全体全部の一大危険。少しもそれらを気がついていないばかりか、夜半の嵐を大きく胎んでいる我が世の春を大浮かれに彼らは浮かれていた。
寄席 (新字新仮名) / 正岡容(著)
「かんじんのこけ猿は、いまだに行方不明。日光御着手の日は、目睫もくしょうかんにせまっておる。申し訳にこの大之進、腹を切らねばならぬところだ。一人で切腹するよりは、この化け物に一太刀でもあびせて……」
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
「たしなめとは、何をうろたえて。今は、平常ではありませぬぞ。陣中だ。しかも、前後に敵をひかえ、避け得ぬ大決戦を目睫もくしょうにひかえておる。お家のため、信ずることを申すのに、何の、はばかりがあろうッ」
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それは学年末の試験の最中であったか、しくは試験のはじまる直前であったか、私ははっきり覚えていないのだが、ともかくそういう落第という運命が目睫もくしょうに迫っている時期に、私はまたもや家出を決行した。
遁走 (新字新仮名) / 小山清(著)
この峠に立ったなら、白峰は指呼しこの間に見えよう、信州徳本とくごう峠から穂高山を見るように、目睫もくしょうの間にその鮮かな姿に接することが出来ないまでも、日野春ひのはるから駒ヶ岳に対するほどの眺めはあろう。
白峰の麓 (新字新仮名) / 大下藤次郎(著)
そこで、こちらの船頭の警告というものは、むしろ我の危険のためにあらずして、彼の危険のための忠告の好意ある叫喚に過ぎないのだが、その好意を好意と受取らないのが、先方の舟の行き方であって、そういう危険状態が目睫もくしょうに迫っているにかかわらず
その大事を目睫もくしょうにひかえて、先にもいったとおり、殿には無稽むけいな伝説などにとらわれて、心神衰耗しんしんすいもうの御容態、また折も折に、俵一八郎の死と築城中の出丸やぐらの崩壊とが暗合したので、いよいよ気を病んでいられる。
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
前野と敵地大崎領とは目睫もくしょうの間であるから、或は一揆方いっきがたの剛の者を手引して氏郷の油断に乗じて殺させ、そして政宗方の者が起って其者共を其場で切殺して口を滅してしまおう、という企をしたというのならば、其の企もいささかは有り得もす可きことになる。
蒲生氏郷 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
曙覧、徳川時代の最後に出でて、始めて濶眼かつがんを開き、なるべく多くの新材料、新題目を取りて歌に入れたる達見は、趣味を千年の昔に求めてこれを目睫もくしょうに失したる真淵、景樹を驚かすべく、進取の気ありて進み得ず趦趄逡巡ししょしゅんじゅんとして姑息こそくに陥りたる諸平もろひら文雄ふみおを圧するに足る。
曙覧の歌 (新字新仮名) / 正岡子規(著)