現象げんしょう)” の例文
もっともやま一つせば、ゆきらないのに、こちらは、ゆきが四しゃくも五しゃくもあるのだから、まったく自然しぜん現象げんしょうばかりは奇妙きみょうなものだ。
風雨の晩の小僧さん (新字新仮名) / 小川未明(著)
最初さいしょ彼女かのじょおこった現象げんしょうしゅとして霊視れいしで、それはほとんど申分もうしぶんなきまでに的確てきかく明瞭めいりょう、よく顕幽けんゆう突破とっぱし、また遠近えんきん突破とっぱしました。
しかしいかに病的とはいえ、みずから明瞭めいりょうに自覚しておるにかかわらず、夢に見たことが、さめたるのちまでも、その現象げんしょうの消え去らず、連続しておった。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
このなかには人間にんげん知識ちしき高尚こうしょう現象げんしょうほかには、ひとつとして意味いみのある、興味きょうみのあるものはいのです。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
あの見えない猫と同じようなふしぎな現象げんしょうが、今自分のからだの上にあらわれて来たのだ。
透明猫 (新字新仮名) / 海野十三(著)
それはむかし、キョルンの町にあらわれたふしぎな空中現象げんしょうをかいた一枚の木版刷もくはんずりでした。
それらはすべて大鷲出現おおわししゅつげんのせつなにおける、ほんの、ばたきする現象げんしょうでしかない。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
こんな神秘的しんぴてき現象げんしょうをこの海岸かいがん人々ひとびとは、いままでいくたびもたり、いたりしたということであります。
初夏の空で笑う女 (新字新仮名) / 小川未明(著)
こんなすばらしい空中現象げんしょうを、これまでたれもみたものはありません。そこで、いよいよ、お姫さまの結婚なさるお相手は、トルコの神さまにまちがいなしということにきまりました。
昔の経済社会とは違って近代は一国内における経済現象げんしょうさえなかなか複雑ふくざつになって来ているに、いわんや国家的経済現象に至ってはなかなか個人の力で如何いかんともできぬことがままある。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
えて昭和しょうわねんはるいたり、彼女かのじょひとつの動機どうきから霊視れいしほかさら霊言れいげん現象げんしょうおこすことになり、本人ほんにんとはちがった人格じんかくがその口頭機関こうとうきかん占領せんりょうして自由自在じゆうじざい言語げんごはっするようになりました。
キド現象げんしょう
キド効果 (新字新仮名) / 海野十三(著)
また、なつ野原のはらた、しろ大男おおおとこというのも、おそらくどう一の現象げんしょうで、くものようなものではなかろうかといって、なんでもなく、それを解決かいけつしていました。
白い影 (新字新仮名) / 小川未明(著)
あるいは犯罪が増すというごとき道徳的行為も昔の簡単なる組織時代と同筆法どうひっぽうで解決が出来ぬから、我々は新時代の経済界の現象げんしょうに対する道徳的態度も新たにすることはまぬかれないと思う。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
そのは、からっとよくれていました。ただおりおりかぜが、すなぼこりをあげて、おそいかかるので、気持きもちがおちつかなかったけれど、毎年まいとしなつのはじめには、よくある現象げんしょうでした。
道の上で見た話 (新字新仮名) / 小川未明(著)