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猴
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さる
ふりがな文庫
“
猴
(
さる
)” の例文
その様子が怪しいので、ひそかに主人らの挙動をうかがっていると、父子は一幅の
猴
(
さる
)
の絵像を取り出して、うやうやしく
祷
(
いの
)
っていた。
中国怪奇小説集:11 異聞総録・其他(宋)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
下女
詮方
(
せんかた
)
なさにその火を羊の脊に置くと羊熱くなりて狂い廻り、村に火を付け人多く殺し山へ延焼して山中の
猴
(
さる
)
五百疋ことごとく死んだ。
十二支考:06 羊に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
二十八
宿
(
しゅく
)
の名をことごとくそらんじていながら
実物
(
ほんもの
)
を見分けることのできぬ俺と比べて、なんという相異だろう! 目に
一丁字
(
いっていじ
)
のないこの
猴
(
さる
)
の前にいるときほど
悟浄歎異:―沙門悟浄の手記―
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
支那の
万暦
(
まんれき
)
年中、
毘陵
(
びりょう
)
に
猿曳
(
さるひき
)
の
乞児
(
こじき
)
があって、日々一
疋
(
ぴき
)
の
猴
(
さる
)
を
伴
(
つ
)
れて、
街坊
(
まち
)
に往き、それに技をさして銭を貰っていたが、数年の後にその金が集まって五六両になった。
義猴記
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
それは
此
(
この
)
深山
(
しんざん
)
に
棲
(
す
)
んで
居
(
を
)
る
白頭猿
(
はくとうえん
)
と
呼
(
よ
)
ばるゝ、
極
(
きわ
)
めて
狡猾
(
こうくわつ
)
な
猴
(
さる
)
の
一種
(
いつしゆ
)
で、
一群
(
いちぐん
)
凡
(
およ
)
そ三十
疋
(
ぴき
)
ばかりが、
數頭
(
すうとう
)
の
巨大
(
きよだい
)
な
象
(
ぞう
)
の
背
(
せ
)
に
跨
(
またが
)
つて、
丁度
(
ちやうど
)
アラビヤの
大沙漠
(
だいさばく
)
を
旅行
(
りよかう
)
する
隊商
(
たいしやう
)
のやうに
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
▼ もっと見る
前にもちょっと述べた通りハムステルてふ鼠は頬に大きな嚢ありて食物を
猴
(
さる
)
の頬のように詰め込み得、常の鼠と異なり尾短し。
十二支考:11 鼠に関する民俗と信念
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
招かれて、その室へ行ってみると、柱に一匹の小さい
猴
(
さる
)
がつながれていて、見るから小ざかしげに立ち廻っていた。
中国怪奇小説集:13 輟耕録(明)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
しかも彼はその教訓を、いつ、どんな苦い経験によって得たのかは、すっかり忘れ果てている。無意識のうちに体験を完全に吸収する不思議な力をこの
猴
(
さる
)
は
有
(
も
)
っているのだ。
悟浄歎異:―沙門悟浄の手記―
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
猛惡
(
まうあく
)
なる
猴
(
さる
)
の
本性
(
ほんしやう
)
として、
容易
(
ようゐ
)
に
手
(
て
)
を
出
(
だ
)
さない、
恰
(
あだか
)
も
嘲
(
あざけ
)
る
如
(
ごと
)
く、
怒
(
いか
)
るが
如
(
ごと
)
く、
其
(
その
)
黄色
(
きいろ
)
い
齒
(
は
)
を
現
(
あら
)
はして、
一聲
(
いつせい
)
高
(
たか
)
く
唸
(
うな
)
つた
時
(
とき
)
は、
覺悟
(
かくご
)
の
前
(
まへ
)
とはいひ
乍
(
なが
)
ら、
私
(
わたくし
)
は
頭
(
あたま
)
から
冷水
(
ひやみづ
)
を
浴
(
あ
)
びた
樣
(
やう
)
に
戰慄
(
せんりつ
)
した
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
たとえば羊は今まで日本に多からぬもの故和製の羊譚はほとんど聞かず。
猴
(
さる
)
の話は東洋に少なからねど、欧州に産せぬから彼方の古伝が乏しい。
十二支考:05 馬に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
顔は人のごとく、体は
猴
(
さる
)
の如くで、一本足である。その怪物は王に訴えた。
中国怪奇小説集:04 捜神後記(六朝)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
猿
(
さる
)
は
人真似
(
ひとまね
)
をするというのに、これはまた、なんと人真似をしない
猴
(
さる
)
だろう! 真似どころか、他人から押付けられた考えは、たといそれが何千年の昔から万人に認められている考え方であっても
悟浄歎異:―沙門悟浄の手記―
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
未の歳も傾いて
申
(
さる
)
の年が迫るにつき、
猴
(
さる
)
の話を書けと博文館からも読者からも勧めらるるまま今度は怠業の起らぬよう手短く
読切
(
よみきり
)
として差し上ぐる。
十二支考:07 猴に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
李遇
(
りぐう
)
が
宣武
(
せんぶ
)
の節度使となっている時、その軍政は大将の
朱従本
(
しゅじゅうほん
)
にまかせて置きました。朱の家には
猴
(
さる
)
を飼ってありましたが、
厩
(
うまや
)
の者が夜なかに起きて馬に
秣
(
まぐさ
)
をやりに行くと、そこに異物を見ました。
中国怪奇小説集:09 稽神録(宋)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
バッチの『
埃及諸神譜
(
ゴッズ・オヴ・ゼ・エジプチアンス
)
』に古エジプト人
狗頭猴
(
チノケフアルス
)
を暁の精とし日が地平より昇りおわればこの
猴
(
さる
)
に化すと信じた。
十二支考:01 虎に関する史話と伝説民俗
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
行くこと数十歩ならず、たちまち数十の
猴
(
さる
)
の群れが悲鳴をあげながら逃げて来て、大樹をえらんで
攀
(
よ
)
じのぼったので、茅もほかの樹にのぼって遠くうかがっていると、一匹の蛇が林の中から出て来た。
中国怪奇小説集:16 子不語(清)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
して見ると禀賦と訓練で他の怖ろしがる物を怖れぬ馬もあるのだ。『
虎鈐経
(
こけんけい
)
』巻十に、
猴
(
さる
)
を馬坊内に養えば患を
辟
(
さ
)
け
疥
(
かい
)
を去るとありて、和漢インド皆厩に猴を置く。
十二支考:05 馬に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
『
筑紫琴
(
つくしごと
)
の
唄
(
うた
)
』にもある通り、
庚申
(
かのえさる
)
が
叶
(
かな
)
え
猴
(
さる
)
に通うより庚申の夜祈れば何事も叶うとしたらしい。
十二支考:07 猴に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
ランドの『安南民俗迷信記』にコンチャニエンとて人に似て美しく年
歴
(
と
)
ると虎に化ける
猴
(
さる
)
ありと。
十二支考:01 虎に関する史話と伝説民俗
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
故ロメーンスは人間殊に小児や未開人また
猴
(
さる
)
や猫に残忍な事をして悦楽する性ある由述べた。
十二支考:02 兎に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
ゴリラはわが国でヒヒというと斉しく大なる
猴
(
さる
)
で、ややもすれば婦女を犯す由、古来アフリカ旅行記にしばしば見える。それからこの書に人間のゴリラと題号を附けたのだ。
十二支考:10 猪に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
既にいったごとく、猨は手の長い
猴
(
さる
)
で、狖は
神楽鼻
(
かぐらばな
)
で鼻穴が上に向いた尾長猴じゃ。
十二支考:07 猴に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
猴
(
さる
)
を呼び出し、汝は姿のみ人に似て実は人にあらず、馬鹿で小児めいた物たるべく、汝の背は曲り、
毎
(
つね
)
に小児に嘲弄され痴人の笑い草たるべく、寿命は六十歳と宣うを聞いて猴弱り入り
十二支考:09 犬に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
蝶蜂は形を問わず、
己
(
おの
)
が好む花の色したよい加減な作り物に付き纏う事あり。南米産の
猴
(
さる
)
に蠅の絵を示すと巧拙構わず
抓
(
つま
)
みに来るを親しく見た。画が巧みなるにあらず、猴の察しがよいのだ。
十二支考:10 猪に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
それからプリマテス(第一の義で
猴
(
さる
)
と人)、以上十一類あり。
十二支考:05 馬に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
また大分新らしいのは
猴
(
さる
)
が人の子を養うというやつだ。
十二支考:01 虎に関する史話と伝説民俗
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
猴
漢検1級
部首:⽝
12画
“猴”を含む語句
猿猴
獼猴
沐猴
猿猴橋
狗頭猴
猴牽
飛狐猴
頭巾猴
義猴記
獮猴桃
猿猴草
猿猴杉
猿猴公
猴蟹
猴玃
仙猴
猴摘
猴嶼
猨猴
溌猴
...