“猿猴橋”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
えんこうばし66.7%
ゑんこうばし33.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
家の跡を見て来ようと思って、私は猿猴橋えんこうばしを渡り、幟町のぼりちょうの方へまっすぐにみちを進んだ。左右にある廃墟はいきょが、何だかまだあの時の逃げのびて行く気持を呼起すのだった。
廃墟から (新字新仮名) / 原民喜(著)
夜はもう大分遅かったが、猿猴橋えんこうばしを渡ると、橋の下に満潮の水があった。それは昔ながらの夜の川の感触だった。京橋まで戻って来ると、人通りの絶えた路の眼の前を、何か素速いものが横切った。
永遠のみどり (新字新仮名) / 原民喜(著)
万里蒼波一鬨烟家こうのえんかみな掌中にあり。又本途に就き遂に二里広島城下藤屋一郎兵衛の家にやどる。市に入て猿猴橋ゑんこうばし京橋を過来る。繁喧は三都に次ぐ。此日朝涼、午時より甚暑不堪じんしよにたへず。夜風あり。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)