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ふりがな文庫
“
猜
(
そね
)” の例文
所謂正統派の教うる神は怒り、
猜
(
そね
)
む暴君であったが、霊訓の教うる神は愛の神父である。しかもそはひとり名のみの愛ではない。
霊訓
(新字新仮名)
/
ウィリアム・ステイントン・モーゼス
(著)
「……そんな裏面の消息を、唯二人の間の絶対の秘密として葬り去るべく……怨みも、
猜
(
そね
)
みも忘れて……学術のために……人類のために……」
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
白髯
(
しらひげ
)
の
土手
(
どて
)
へ
上
(
あが
)
るが
疾
(
はや
)
いか、さあ
助
(
たす
)
からぬぞ。
二人乘
(
ににんのり
)
、
小官員
(
こくわんゐん
)
と
見
(
み
)
えた
御夫婦
(
ごふうふ
)
が
合乘
(
あひのり
)
也
(
なり
)
。ソレを
猜
(
そね
)
みは
仕
(
つかまつ
)
らじ。
妬
(
や
)
きはいたさじ、
何
(
なん
)
とも
申
(
まを
)
さじ。
弥次行
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
其上、朝令暮改、
綸旨
(
りんし
)
は
掌
(
たなごころ
)
を飜す有様である。今若し武家の
棟梁
(
とうりょう
)
たる可き者が現れたら、恨を含み、政道を
猜
(
そね
)
むの士は招かざるに応ずるであろう。
四条畷の戦
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
毎
(
つね
)
にかの家に往って供養を受く、ある時居士遠来の僧を供養するを
猜
(
そね
)
み、今日の供養は山海の珍物を尽されたが、ただなき物は
油糟
(
あぶらかす
)
ばかりと悪口した。
十二支考:08 鶏に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
▼ もっと見る
猛
(
たけ
)
びに猛ぶ男たちの心もその人の前には
和
(
やはら
)
ぎて、
終
(
つひ
)
に崇拝せざるはあらず。女たちは皆
猜
(
そね
)
みつつも
畏
(
おそれ
)
を
懐
(
いだ
)
けり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
「当時我輩は月給二十五円。破格の抜擢で二回続けさまに昇給したんだから、同僚に
猜
(
そね
)
まれていたんだね」
ガラマサどん
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
此のエゴの重荷に堪えない人は、路傍に坐して悲しむ事なく
猜
(
そね
)
むことなく、通行者を眺めるがよい。
第四階級の文学
(新字新仮名)
/
中野秀人
(著)
という
猜
(
そね
)
みも受け、中にも橋本貞吉という乱暴な奴は、時折変な
悪戯
(
いたずら
)
をしかけるのであった。
劇団「笑う妖魔」
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
しかし友人から
猜
(
そね
)
まれて、独立軍に忠実でないという嫌疑を受け、調べられたりしたので、
終
(
つい
)
に一七七五年に英国に逃げて来て(妻子は置いたまま)、殖民省の官吏になった。
ファラデーの伝:電気学の泰斗
(新字新仮名)
/
愛知敬一
(著)
そこがそれ情慾に迷って、思う儘欲しいまゝに貪り、憎いの
可愛
(
かあい
)
いの、
嫉
(
ねた
)
みだの
猜
(
そね
)
みだの、
詐
(
いつわ
)
り
僻
(
ひが
)
みなどと
仇
(
あだ
)
ならぬ人を仇にして、末には我から我身を捨てるような事になり
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
ふだんから塩子の村の者は、この山が発見されたために蒙る利益が、こちらの村にばかり落ることを
猜
(
そね
)
んでいた。その感情を利用して、寅吉をそそのかしたに違いないと思った。
恨なき殺人
(新字新仮名)
/
宮島資夫
(著)
女同士の朋輩の妬み
猜
(
そね
)
みは珍らしくないことで、その蔭口や悪口を
取
(
と
)
っこにとって、こっちから改めて掛け合いめいたことを言い込むのは、却っておとなげない、穏やかでない。
籠釣瓶
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「心愚痴にして女に似たる故、人を
猜
(
そね
)
み、富める者を好み、
諂
(
へつら
)
へるを愛し、物ごと
無穿鑿
(
むせんさく
)
に、分別なく、無慈悲にして心至らねば、人を見しり給はず」というような、心の
剛
(
つよ
)
さを欠いた
埋もれた日本:――キリシタン渡来文化前後における日本の思想的情況――
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
それが大量に上る時には、一般人の妬みと
猜
(
そね
)
みの眼をもって見られやすい。
人口論:03 第三篇 人口原理より生ずる害悪を除去する目的をもってかつて社会に提案または実施された種々の制度または方策について
(新字新仮名)
/
トマス・ロバート・マルサス
(著)
それは働きのない人間どもが他人の成功を
猜
(
そね
)
んでいうことで、泥棒をして金を儲けたわけじゃなし、お前、金を儲けようという上は、泥棒をしない限り、手段に選み好みがあるべきわけがない。
星座
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
此の様な発明をしたと云って学者の間へ出て行って御覧なさい、一時は今もいう通り、世界中の新聞雑誌にまで書き立てられましょう、けれど私の名が揚がれば揚がる丈、学閥の
猜
(
そね
)
みは益々加わり
幽霊塔
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
それをお
怨
(
うら
)
み
申
(
まを
)
すのではない。
嫉妬
(
ねたみ
)
も
猜
(
そね
)
みもせぬけれど、……
口惜
(
くちをし
)
い、
其
(
それ
)
がために、
敵
(
かたき
)
から
仕事
(
しごと
)
の
恥辱
(
ちじよく
)
をお
受
(
う
)
け
遊
(
あそ
)
ばす。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
新吾 近所ばかりでなく、留守番の奴等にも
猜
(
そね
)
まれますよ。はゝゝゝゝゝ。
正雪の二代目
(旧字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
道理
外
(
はず
)
れた憎しみ
猜
(
そね
)
みで。
彼奴
(
きゃつ
)
が邪魔じゃと思うた揚句が。何のおぼえもない人間をば。巫女や坊主や役人
輩
(
ばら
)
に。
賄賂
(
わいろ
)
使うて引っ
括
(
くく
)
らせます。
有無
(
うむ
)
を言わさずキチガイ扱い。国の
掟
(
おきて
)
の死刑にさせます。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「
猜
(
そね
)
め/\か? ハッハヽヽ」
負けない男
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
前
(
ぜん
)
から居る下役の
媽々
(
かかあ
)
ども、いずれ夫人とか、何子とか云う奴等が、女同士、長官の細君の、
年紀
(
とし
)
の若いのを
猜
(
そね
)
んだやつさ。下女に鼻薬を飼って
讒言
(
つげぐち
)
をさせたんだね。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
どの道、うつくしいのと、仕事の上手なのに、
嫉
(
ねた
)
み
猜
(
そね
)
みから起った事です。何につけ、かにつけ、ゆがみ曲りに難癖をつけないではおきません。処を図案まで、あの方がなさいました。
縷紅新草
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
嫉
(
ねた
)
み
猜
(
そね
)
みは、まだこうまで惚れない内だと考えるで。
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
猜
漢検1級
部首:⽝
11画
“猜”を含む語句
猜疑
猜疑心
猜忌
猜疑深
猜忌邪曲
猜知
猜疑嫉妬
相猜疑
疑雲猜霧
疑猜
猜視
猜疑褊狭
媢嫉猜忌
猜忍
猜察力
猜察
嫌猜