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海豹
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あざらし
ふりがな文庫
“
海豹
(
あざらし
)” の例文
小さい連中は快活に駈け出して、氷のまじった汁を四方にはねかしながら、学校道具を
海豹
(
あざらし
)
皮の
背嚢
(
はいのう
)
の中でがらがらいわせながらゆく。
トニオ・クレエゲル
(新字新仮名)
/
パウル・トーマス・マン
(著)
『あそこなら
海豹
(
あざらし
)
も何千となく
跳
(
と
)
びはねているし、足もとには
海象
(
せいうち
)
がねむっているんだもの。漁はたしかで、おもしろいにちがいないわ!』
絵のない絵本:01 絵のない絵本
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
僕はこの地方に十七年も来ていたが、いまだかつて
海豹
(
あざらし
)
が老幼にかかわらず、そんな鳴き声をするのを聞いたためしはない。
世界怪談名作集:09 北極星号の船長 医学生ジョン・マリスターレーの奇異なる日記よりの抜萃
(新字新仮名)
/
アーサー・コナン・ドイル
(著)
氷のうえの、遠近が見定めにくいところに、狼に似たような犬をつれてのろのろうごいている漁師は
海豹
(
あざらし
)
漁夫ともエスキモーとも受けとれた。
森の生活――ウォールデン――:02 森の生活――ウォールデン――
(新字新仮名)
/
ヘンリー・デイビッド・ソロー
(著)
まるで
海豹
(
あざらし
)
の大軍が、乗るべき潮流を待って北海の浜にひなたぼっこをしているようである。何たる奇観! なんたる異象!
つづれ烏羽玉
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
▼ もっと見る
一
疋
(
ぴき
)
の親の
海豹
(
あざらし
)
が、
氷山
(
ひょうざん
)
のいただきにうずくまって、ぼんやりとあたりを見まわしていました。その海豹は、やさしい心を持った海豹でありました。
月と海豹
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
海豹
(
あざらし
)
のやうに、極光の見える氷の上で、ぼんやりと「自分を忘れて」坐つてゐたい。そこに時劫がすぎ去つて行く。
宿命
(旧字旧仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
『二
列
(
れつ
)
さ!』と
海龜
(
うみがめ
)
は
叫
(
さけ
)
んで、『
多
(
おほ
)
くの
海豹
(
あざらし
)
や、
海龜
(
うみがめ
)
なぞが、それから
往來
(
わうらい
)
の
邪魔
(
じやま
)
になる
海月
(
くらげ
)
を
追
(
お
)
ッ
拂
(
ぱら
)
ふ——』
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
しかし、二十五号機の姿は見えず、氷の裂け目から大きな
海豹
(
あざらし
)
がぬつと頭を出したのには、驚かされました。
北極のアムンセン
(新字旧仮名)
/
豊島与志雄
(著)
そこいらの漁師の神さんが
鮪
(
まぐろ
)
を料理するよりも鮮やかな手ぶりで一匹の
海豹
(
あざらし
)
を解きほごすのであるが
映画雑感(Ⅵ)
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
月光の銀いろのかがやきの中に
海豹
(
あざらし
)
どもが跳ねているのを彼は長いあいだ見ていたが、やがて呼んだ。
精
(新字新仮名)
/
フィオナ・マクラウド
(著)
「これが、今度入りました新荷でがして」と、
海豹
(
あざらし
)
使いのヒューリングがしきりと喋っている。
人外魔境:08 遊魂境
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
同じ記事のなかに
海豹
(
あざらし
)
島のオットセイの話も出ていて、これは大山猫とは全然正反対な、生めよ殖せよの極致だった。ここにあるものは生殖のための血だらけな格闘だった。
黒猫
(新字新仮名)
/
島木健作
(著)
動物の世界の物語であるが、この短篇集の中に若い雄の白
海豹
(
あざらし
)
ルカンノンの物語がある。
山の彼方は:常識とはどういうものだろう
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
そこにだけしゃ切り立ったような黄褐色の毛が
簇
(
むらが
)
り、全身はあまりにも短い滑らかな密毛に被われているために、さながら水に濡れた
海豹
(
あざらし
)
か
膃肭臍
(
おっとせい
)
のようにヌラヌラした感があり
陰獣トリステサ
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
蚯蚓
(
みみず
)
が
蜈蚣
(
むかで
)
になったと載せ、『和漢三才図会』に、蛇海に入って
石距
(
てながだこ
)
に化すとあり、播州でスクチてふ魚
海豹
(
あざらし
)
に化すというなど変な説だが、
蛆
(
うじ
)
が蠅、
蛹
(
さなぎ
)
が
蛾
(
が
)
となるなどより推して
十二支考:03 田原藤太竜宮入りの話
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
白髪の童顔、桃色の頸筋、白木のテーブルの上の火皿では、
海豹
(
あざらし
)
の油が燃えている。小屋の中には、やりきれない温気と、獣脂の燃える匂いと、ぼんやりとした闇が立ち
罩
(
こ
)
めていた。
地底獣国
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
宿酔
(
ふつかよい
)
の
海豹
(
あざらし
)
が
恍惚
(
うっとり
)
と薄目を開けると、友染を着た
鴎
(
かもめ
)
のような舞子が二三羽ひらひらと舞込んで、眉を
撫
(
な
)
でる、鼻を
掴
(
つま
)
む、
花簪
(
はなかんざし
)
で
頭髪
(
かみのけ
)
を
掻
(
か
)
く、と、ふわりと胸へ乗って、
掻巻
(
かいまき
)
の
天鵞絨
(
びろうど
)
の襟へ
白花の朝顔
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
いずれも、「
海豹
(
あざらし
)
」という同人雑誌に発表したのである。昭和八年である。
十五年間
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
海豹
(
あざらし
)
のように息を吐きながら、水から顔を出すと、身体にしたたる水を
拭
(
ぬぐ
)
いもやらず、急いでテーブルのところに行き、のろわれたる作品を引っつかみ、それを猛然と引き裂きながら、つぶやいた。
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
こういう奥地へ行くと、私はいつも登りはスキーに
海豹
(
あざらし
)
をつけて登るのであるが、降りはスキーを脱いで、両手に引きずりながら、直歩降をすることにしている。その方がけっきょく速いからである。
大雪山二題
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
僕は
肥
(
ふと
)
つた人の手を見ると、なぜか
海豹
(
あざらし
)
の
鰭
(
ひれ
)
を思ひ出してゐる。
耳目記
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
巻きなだりいやつぎつぎに
重
(
し
)
き
層
(
かさ
)
む波の穂
冥
(
くら
)
し
海豹
(
あざらし
)
の顔
海阪
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
「
海豹
(
あざらし
)
の禿げたのって感じがあります」
冠婚葬祭博士
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「うむ、まあお前は
海豹
(
あざらし
)
だな」
痴人の愛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
氷の山に
海豹
(
あざらし
)
の
花守
(旧字旧仮名)
/
横瀬夜雨
(著)
たとい最も悪い場合を想像してみても、われわれは氷を横切って陸に近づくことも出来る。
海豹
(
あざらし
)
の貯蔵のなかに
臥
(
ね
)
ていれば、春まではじゅうぶん生きてゆかれる。
世界怪談名作集:09 北極星号の船長 医学生ジョン・マリスターレーの奇異なる日記よりの抜萃
(新字新仮名)
/
アーサー・コナン・ドイル
(著)
いつかあなたは黒い大きな
海豹
(
あざらし
)
を捕えた、それは呪文によって姿を変えさせられた人間であったが、あなたは弟子の僧たちと一緒になってその男を大岩の上で十字架にかけた
海豹
(新字新仮名)
/
フィオナ・マクラウド
(著)
これは、さるところから
纏
(
まと
)
めて手に入れまして……、さて、訓練にかかったところ、大変なやつが一匹いる。どうも見りゃ
海豹
(
あざらし
)
ではない。といって、
膃肭獣
(
おっとせい
)
でもない、
海驢
(
あしか
)
でもない。
人外魔境:08 遊魂境
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
陽気なピロちゃんが、鮎子さんの腹の下を
潜
(
くぐ
)
り抜けて、筏のすぐそばで
海豹
(
あざらし
)
のようにひょっくりと顔を出す。間髪をいれずにえらい
水飛沫
(
みずしぶき
)
をあげながら、鮎子さんとトクさんが到着する。
キャラコさん:07 海の刷画
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
一面に
海豹
(
あざらし
)
か
膃臍
(
おっとせい
)
でも想わせるようなヌラヌラとした密毛に蔽われている。
陰獣トリステサ
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
海豹
(
あざらし
)
は頬の髭黄なり孔まろき白き
頭骨
(
づこつ
)
となりはてにけり
海阪
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
わたしは
海豹
(
あざらし
)
のやうに嘆息した。
定本青猫:01 定本青猫
(旧字旧仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
「
然
(
そ
)
うですな。
海豹
(
あざらし
)
と
猟虎
(
らっこ
)
です」
親鳥子鳥
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
そうして、
海豹
(
あざらし
)
漁猟開始期の暗い夜など、水夫らに
輪番
(
りんばん
)
をさせるには非常に骨が折れたのであった。
世界怪談名作集:09 北極星号の船長 医学生ジョン・マリスターレーの奇異なる日記よりの抜萃
(新字新仮名)
/
アーサー・コナン・ドイル
(著)
海豹
(
あざらし
)
と
海象
(
ウォーラス
)
の
混血児
(
あいのこ
)
だ。学名を“Orca
Lupinum
(
オルカ・ルピヌム
)
”といって、じつに
稀
(
まれ
)
に出る。その狂暴さ加減は学名の訳語のとおり、まさに『鯨狼』という名がぴたりと来るようなやつ。
人外魔境:08 遊魂境
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
削がれた樹の枝や
海豹
(
あざらし
)
の毛のほそい
束
(
ふさ
)
や野鴨や
鵞鳥
(
がちょう
)
の羽じくを以て仔羊の皮や巻物に聖い御言葉をかくことも出来、御言葉のなかに散らばる大きい文字をば、土の褐色にも空の青色にも輝く緑色にも
精
(新字新仮名)
/
フィオナ・マクラウド
(著)
海豹
(
あざらし
)
のやうに來たものです。
定本青猫:01 定本青猫
(旧字旧仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
「やっ、
海豹
(
あざらし
)
じゃないか。」
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
そらの鳥にも、人間の眼を持つ
海豹
(
あざらし
)
にも、
獺
(
かわうそ
)
にまでも
魚と蠅の祝日
(新字新仮名)
/
フィオナ・マクラウド
(著)
おおい、おおいと、
海豹
(
あざらし
)
も
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
海豹
(
あざらし
)
のうかぶ
潮漚
(
しほなわ
)
。
海豹と雲
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
海豹
(
あざらし
)
のうかぶ
潮漚
(
しほなわ
)
。
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
“海豹(アザラシ)”の解説
アザラシ(海豹、Phocidae)は、鰭脚類に含まれる海棲哺乳類(海獣)のグループである。アザラシ科、もしくはアザラシ科アザラシ亜科に分類される。
(出典:Wikipedia)
海
常用漢字
小2
部首:⽔
9画
豹
漢検準1級
部首:⾘
10画
“海豹”で始まる語句
海豹島
海豹捕
海豹皮