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けぶり
ふりがな文庫
“
気振
(
けぶり
)” の例文
旧字:
氣振
貧乏咄をして
小遣銭
(
こづかいせん
)
にも困るような
泣言
(
なきごと
)
を能くいっていても、いつでもゾロリとした
常綺羅
(
じょうきら
)
で、困ってるような
気振
(
けぶり
)
は少しもなかった。
斎藤緑雨
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
もしそれが日頃の
誓約
(
せいやく
)
や態度とちがって、裏切るようなことでもあったら、
嘲笑
(
わら
)
ってやろうという
気振
(
けぶり
)
さえ見えないこともない。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
今までドンナ悲況に陥っておりましても、私を見ると直ぐにニコニコして何か話かけたりしておりましたものが、この頃はソンナ
気振
(
けぶり
)
も見せませぬ。
二重心臓
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
それから
暫
(
しばら
)
くたって、鶴見はまた何か忘れていたことを思い起したという
気振
(
けぶり
)
を見せて、
傍
(
そば
)
の粗末な本立から、去年の日記帳を引きずり出して繰っている。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
糸
的
(
こう
)
、
糸的
(
きみ
)
はひとりで目の覚めた顔をして澄ましているが、内で話した、外で逢ったという
気振
(
けぶり
)
も見せない癖に、よく、そんな、……お京さんいい名だなあ
薄紅梅
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
「いや、たつてといふわけぢやないんだ」と、紅庵は再び
表面
(
うわべ
)
だけもぢ/\とためらふ
気振
(
けぶり
)
をみせたが
雨宮紅庵
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
ほかの書生さんたちもそういう見送人に対して遠慮するらしい
気振
(
けぶり
)
も見せようとはしない。
星座
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
文化生活の基本であるこれらの問題について新しい運動を起される
気振
(
けぶり
)
さえありません。
婦人指導者への抗議
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
此方
(
こちら
)
は
暢気
(
のんき
)
なものだから
那様
(
こんな
)
事
(
こと
)
とは
些
(
ちつと
)
も知らない、
山田
(
やまだ
)
も
亦
(
また
)
気振
(
けぶり
)
にも見せなかつた、けれども
前
(
さき
)
にも言ふ
如
(
ごと
)
く、
中坂
(
なかさか
)
に社を
設
(
まう
)
けてからは、
山田
(
やまだ
)
は
全
(
まつた
)
く
社務
(
しやむ
)
に
与
(
あづか
)
らん姿であつたから
硯友社の沿革
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
もし貴様が途中、穏かならぬ
気振
(
けぶり
)
でもしようものなら、その瞬間に、そのでぶを二つに斬られてしまうのだ、おどかしではない、事実を言うのだ、よく見て置かっしゃい、あの長いのを——
大菩薩峠:37 恐山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
何事もなかったような
気振
(
けぶり
)
で貞昌は座に帰った。そして静かな声でいった。
艸木虫魚
(新字新仮名)
/
薄田泣菫
(著)
併し岩や恋は思案の
外
(
ほか
)
という諺もあって、是ばかりは解りませんよ、そんならば
宅
(
うち
)
にいて
気振
(
けぶり
)
でも有りそうなものだったが、少しも気振を見せない、
尤
(
もっと
)
も
主
(
しゅう
)
家来だから気を
詰
(
つめ
)
るところもあり
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「何だえ、今の音は?」お米がそこに出て見ると、表二階の客、蜂須賀家の森啓之助が、妙な
気振
(
けぶり
)
でスタスタと植込みの中へ隠れて行った。
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
時々鍬を休めてボンヤリとそこいらを見まわしては又、思い出したように仕事にかかるらしい
気振
(
けぶり
)
が見えて来た。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
煩
(
うる
)
さい都会を避けて田園を楽しむような
気振
(
けぶり
)
を見せたりして、そんなことを少しずつ書いたりしてもいた。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
されども渠はいささかも心に
疚
(
や
)
ましきことなかりけむ、胸苦しき
気振
(
けぶり
)
もなく、
静
(
しずか
)
に海野に打向いて
海城発電
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
余り突然だったので、
故郷
(
くに
)
に急な用事でも出来たかと
訊
(
き
)
くと、
脚気
(
かっけ
)
だといった。ソンナ
気振
(
けぶり
)
はそれまでなかったのだから
嘘
(
うそ
)
とは思ったが、その日ぎりで来なくなってしまった。
三十年前の島田沼南
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
親たちも家になくてならぬ娘であるから、自分が結婚を望む
気振
(
けぶり
)
もないのを
善
(
い
)
い事にして格別勧めようともしなかった。そうして自分は出来るだけ従順に働いて、
忙
(
せわ
)
しい家業に心を尽していた。
私の貞操観
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
そこへゆくと、旅川周馬、腕に器量はないが人を食ってもいるし、鼻ッ先の機智もあるので、ギョッとした
気振
(
けぶり
)
も見せずに
鳴門秘帖:02 江戸の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
されども渠は
聊
(
いささか
)
も心に
疚
(
や
)
ましきことなかりけむ、
胸苦
(
むねぐる
)
しき
気振
(
けぶり
)
もなく、静に海野に
打向
(
うちむか
)
ひて
海城発電
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
そうかといって他に相当な生活の道を求める手段を講ずる
気振
(
けぶり
)
もなかったから、
一図
(
いちず
)
に我が子の出世に希望を繋ぐ
親心
(
おやごころ
)
からは
歯痒
(
はがゆ
)
くも思い
呆
(
あき
)
れもして不満たらざるを得なかった。
二葉亭四迷の一生
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
……が……しかし、Wがそんな
気振
(
けぶり
)
でも見せるような男でない事は無論であった。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
恰
(
あたか
)
も十年の
知己
(
ちき
)
を迎えたようですらある。一国一城の主といえばとかく威容を作りたがるものなのに、そんな
気振
(
けぶり
)
はみじんもない。しかも予想以上その
風采
(
ふうさい
)
は至って堂々たるものではなかった。
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
素振
(
そぶり
)
、
気振
(
けぶり
)
が精一杯、心は通わしたでしょうのに、
普通
(
なみ
)
の人より、色も、恋も、百層倍、御存じの貴方でいて、
些
(
ちっ
)
とも汲んでお遣んなさらない!——
否
(
いいえ
)
、小雪さんの心は、よく私が存じております。
浮舟
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
何かしら重大な秘密を隠しているらしい
気振
(
けぶり
)
を見せた。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
長崎へ行かないかと云えば、一緒に逃げて来そうな
気振
(
けぶり
)
もある。
春の雁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と取っても附けない
気振
(
けぶり
)
をしながら
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
『誰か、そんな
気振
(
けぶり
)
を、見たものはねえか』
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
気
常用漢字
小1
部首:⽓
6画
振
常用漢字
中学
部首:⼿
10画
“気”で始まる語句
気
気色
気遣
気勢
気持
気質
気障
気配
気味
気高