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わいきょく
ふりがな文庫
“
歪曲
(
わいきょく
)” の例文
悪罵
(
あくば
)
、
奔走
(
ほんそう
)
、
駈引
(
かけひ
)
きは、そののち永く、ごたついて尾を引き、人の心を、生涯とりかえしつかぬ程に
歪曲
(
わいきょく
)
させてしまうものであります。
女の決闘
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
学問の純粋性が彼に
沁
(
し
)
み込んで、それによって世の中を見るようになれば、女の持つ技巧や
歪曲
(
わいきょく
)
の世界から脱れようかとも思った。
河明り
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
ここには
些
(
いささ
)
かの弁解も
歪曲
(
わいきょく
)
もありません、現実にあったことをあったままに書きますから、どうかそのおつもりで読んで下さい。
失蝶記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
北条家に、事情を書かせれば、当然、いいように
歪曲
(
わいきょく
)
して書き出すにちがいない、もうそれは六波羅に提出されているかもしれないのだ。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
扮飾
(
ふんしょく
)
され
歪曲
(
わいきょく
)
された——あるいはそれが自身の真実の姿だかも知れない、どっちがどっちだかわからない自身を照れくさく思うのであった。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
▼ もっと見る
同じような
歪曲
(
わいきょく
)
が政治外交経済あらゆる方面の記事にも多少ちがった程度で現われているであろうと想像しないわけには行かないのである。
ジャーナリズム雑感
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
写真ハ全裸体ノ正面ト背面、各部分ノ詳細図、イロイロナ形状ニ四肢ヲ
歪曲
(
わいきょく
)
サセ
彎屈
(
わんくつ
)
サセ、折ッタリ伸バシタリシテ最モ
蠱惑的
(
こわくてき
)
ナル角度カラ撮ッタ。
鍵
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
そんな空想で
歪曲
(
わいきょく
)
された形でもってこのことを解釈したり、考えたりしておられようとは、重々意外千万でしたよ……しかも、その上……その上……
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
この三十すぎの
小姑
(
こじゅうと
)
の口から描写される家の空気は、いろんな
臆測
(
おくそく
)
と
歪曲
(
わいきょく
)
に満ちていたが、それだけに正三の頭脳に熱っぽくこびりつくものがあった。
壊滅の序曲
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
史実を少しも
歪曲
(
わいきょく
)
することなくして而も文学者としての正しき解釈を加えたものと見ることが出来るのである。
大衆文芸作法
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
しかし、子供めいたお
互
(
たが
)
いの友情を、そんなふうに
歪曲
(
わいきょく
)
して
弄
(
もてあそ
)
ばれることは、
我慢
(
がまん
)
できない腹立たしさでした。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
委員のうちには鉱毒の害ではなくて単なる洪水の害であるといって、ことさら
歪曲
(
わいきょく
)
を試みる者があるということも洩れてきた。正造は血相をかえて憤慨した。
渡良瀬川
(新字新仮名)
/
大鹿卓
(著)
現実の国家に多かれ少なかれ伴うところの権力
濫用
(
らんよう
)
の
幣害
(
へいがい
)
や、法と刑罰による人間性の
歪曲
(
わいきょく
)
や、階級的な
搾取
(
さくしゅ
)
や
抑圧
(
よくあつ
)
の危険を排撃する点には、大きな
魅力
(
みりょく
)
があって
政治学入門
(新字新仮名)
/
矢部貞治
(著)
ワルターの演奏は非常に端正で、むやみな
歪曲
(
わいきょく
)
はほとんど発見されない。その点では、フルトヴェングラーやストコフスキーとは、全く異なった立場にいる人である。
名曲決定盤
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
、
野村長一
(著)
で、
材料
(
ざいりょう
)
の
取捨
(
しゅしゃ
)
選択
(
せんたく
)
の
責
(
せめ
)
は
当然
(
とうぜん
)
私
(
わたくし
)
が
引受
(
ひきう
)
けなければなりませんが、しかし
通信
(
つうしん
)
の
内容
(
ないよう
)
は
全然
(
ぜんぜん
)
原文
(
げんぶん
)
のままで、
私意
(
しい
)
を
加
(
くわ
)
へて
歪曲
(
わいきょく
)
せしめたような
個所
(
かしょ
)
はただの一
箇所
(
かしょ
)
もありません。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
しかるにいま祭司長・学者・長老らは、この語から霊的・終末観的な意味を抜き去って、世俗的・政治的意味のものに
歪曲
(
わいきょく
)
してしまった。これが彼らの用いた
偽計
(
トリック
)
であります。
イエス伝:マルコ伝による
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
身を全うし妻子を
保
(
やす
)
んずることをのみただ念願とする君側の
佞人
(
ねいじん
)
ばらが、この陵の
一失
(
いっしつ
)
を取上げてこれを誇大
歪曲
(
わいきょく
)
しもって
上
(
しょう
)
の聡明を
蔽
(
おお
)
おうとしているのは、
遺憾
(
いかん
)
この上もない。
李陵
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
それをそうと信ぜさせられた時、その市井の女はいよいよ
些
(
いささか
)
の
歪曲
(
わいきょく
)
をも
容
(
ゆる
)
さぬ真相を示すのである。世間も、彼の母も、その母の地位も、すべて残る
隈
(
くま
)
なく、彼の心眼に映って来る。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
だからこういうことをいうのは実は儒教そのものを
歪曲
(
わいきょく
)
することになる。儒教の術語を現代にあてはめようとするのも同じことであって、王道というような語を用いるのもそれである。
日本に於ける支那学の使命
(新字新仮名)
/
津田左右吉
(著)
すべてそれは、公家の外の人々の心にひそむ公家文化への仰望の
歪曲
(
わいきょく
)
された表現のように思われる。『草庵集』の淡雅な味は、むしろ連歌から宋画への味のつながりを持っているとおもう。
中世の文学伝統
(新字新仮名)
/
風巻景次郎
(著)
そこにこそ人々がなし得ないでいる解放の努力が残されていた。彼らはドイツの利益に役だたせんがために理想主義を
歪曲
(
わいきょく
)
して満足していた。たとえば冷静にして表裏あるヘーゲルを見るがいい。
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
……すべてそうした
過誤
(
かご
)
と
歪曲
(
わいきょく
)
を、従来の史からのぞいて、正しきに正す、それが光圀の根本である。わかったか、お身方には
梅里先生行状記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「率直な意見を云ってくれ」と周防が云った、「私はどうしたらいい、
歪曲
(
わいきょく
)
された無根の罪状を、黙って甘受すべきなのか」
樅ノ木は残った:01 第一部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
それは全く、奇妙に
歪曲
(
わいきょく
)
した。このあいそのつきた自分の泡のいのちを、お役に立ちますものなら、どうかどうか使って下さい。卑劣と似ていた。
花燭
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
あるいは葬式や嫁入りの門先に
皿鉢
(
さらばち
)
を砕く、あの習俗がこんな妙な形に
歪曲
(
わいきょく
)
されて出現したのかもしれない。
三斜晶系
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
自分の方の利点と長所を力説し、相手の不利と弱点を強調するため、誇張や
歪曲
(
わいきょく
)
が伴うのである。
政治学入門
(新字新仮名)
/
矢部貞治
(著)
それだけの事実が、こんなにも
歪曲
(
わいきょく
)
され拡大されて伝わって行くとはと、ぼくが訳もなく口惜しがっているあいだに、川北氏は考えを
纏
(
まと
)
め、しずかに意見を述べだしました。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
しいて
歪曲
(
わいきょく
)
している点もなくはないが、
不倶戴天
(
ふぐたいてん
)
の仇敵をやッつけた筆誅の余勢である。多少の誇張はしかたがあるまい。
私本太平記:10 風花帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ヤソのヤソくさきは真のヤソに
非
(
あら
)
ず、と断じ、支那の儒者先生たちが孔孟の精神を
歪曲
(
わいきょく
)
せしめたように、キリストの教えも、外国のヤソ坊主たちが堕落せしめてしまったのだ
惜別
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
それも不正の事実は除いて、単に、借りた金を弁済しなければならぬ、というふうにでも云ったとすると、聞いた者の口から、
歪曲
(
わいきょく
)
されて伝わったと、考えられないことはない。
竹柏記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
従って映像の真実性が著しく
歪曲
(
わいきょく
)
することになるのではないかと想像される。
映画芸術
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
若し私論を以て、国家の大法を
歪曲
(
わいきょく
)
するに於ては、以後天下の法令というものは、有っても無い事になり、複雑な社会人心はどう
赴
(
おもむ
)
くか分らない
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それを
歪曲
(
わいきょく
)
することなく、できるだけあったままに私は写し取っていった。
季節のない街
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
ともかくもその論文の要点はそんなにひどく
歪曲
(
わいきょく
)
されずに書いてある。
錯覚数題
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
どんなに女の運命を逆転させ、ロマンスを
歪曲
(
わいきょく
)
させるか判りませぬ。
皮膚と心
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
「呂布は、人道の上において、正しき人であったか。曹操は真の忠臣か。袁紹は、世を救うに足る英雄か。ご辺はなぜ、ことばを
歪曲
(
わいきょく
)
して、無用な
讒言
(
ざんげん
)
をなさるか」
三国志:06 孔明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
勘定奉行の荻原近江守や柳沢一門の権勢に
蔽
(
おお
)
われて、佞吏派は極力、事実を
歪曲
(
わいきょく
)
し、五郎左衛門の家は断絶、大岡十家はのこらず閉門禁足の久しい厄に封じ込まれて
大岡越前
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
……軍師、大法を
歪曲
(
わいきょく
)
するのではなく、仮にしばらくその法断を待って欲しいのじゃ。たのむ
三国志:08 望蜀の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その
創痍
(
そうい
)
が
癒
(
い
)
えきれないであるのだ——とは強いて
歪曲
(
わいきょく
)
していわないのであった。
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
賢
(
さか
)
しげの理論を立てて
歪曲
(
わいきょく
)
の文を作り、賊子が唱えて大権を
偸
(
ぬす
)
むの具に供す。
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
(法の尊厳は、
寸毫
(
すんごう
)
犯
(
おか
)
すべからず。法を
歪曲
(
わいきょく
)
して、国政なし)
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
将門にとっては、すべてが
歪曲
(
わいきょく
)
された無実である。
平の将門
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
歪
漢検準1級
部首:⽌
9画
曲
常用漢字
小3
部首:⽈
6画
“歪曲”で始まる語句
歪曲美