染渡しみわた)” の例文
岐阜団扇ぎふうちわに風を送り氷水に手拭てぬぐいを絞りれるまでになってはあり難さうれしさ御馳走ごちそううりと共にうまい事胃の染渡しみわたり、さあたまらぬ影法師殿むく/\と魂入り
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
敵として戦うことは決して出来ないという観念は、一般に染渡しみわたって居ります。ですから兵士は僅かでもそんなに多く内乱も起らずに治まって居るです。大抵チベットで
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
はじかれ寒氣さむけおぼえ、吐氣はきけもよほして、異樣いやう心地惡こゝちあしさが指先ゆびさきまで染渡しみわたると、なにからあたま突上つきあげてる、さうしてみゝおほかぶさるやうながする。あをひかり閃付ちらつく。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
能々よく/\うんかなひし事かなされど二日二夜海上にたゞよひし事なれば身心しんしんつか流石さすがの吉兵衞岩の上にたふふし歎息たんそくの外は無りしが衣類いるゐは殘らずしほぬれ惣身そうしんよりはしづくしたゝり未だ初春しよしゆんの事なれば餘寒よかんは五體に染渡しみわたはりにてさゝれる如くなるを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
かおりよいが、ほんのりと五臓六腑ごぞうろっぷ染渡しみわたる。
星女郎 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
はじかれ寒気さむけおぼえ、吐気はきけもよおして、異様いよう心地悪ここちあしさが指先ゆびさきにまで染渡しみわたると、なにからあたま突上つきあげてる、そうしてみみおおかぶさるようながする。あおひかり閃付ちらつく。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
つくせしゆゑ千太郎の代とも成るならば舊の支配人に召使めしつかはんとかたく約束なし千太郎より書面しよめん迄も久八へ渡し置千太郎も久八が忠義の異見いけん骨身ほねみ染渡しみわたり一旦迷ひし小夜衣も長庵のめひなれば五十兩のかたりも同腹どうふくにてなしたる事ならんと思ふ故愛想あいそもこそもつき果しかば其後は
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)