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擁
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かか
ふりがな文庫
“
擁
(
かか
)” の例文
さはいへまた久留米絣をつけ新しい手籠を
擁
(
かか
)
へた菱の実売りの娘の、なつかしい「菱シヤンヲウ」の呼声をきくのもこの時である。
水郷柳河
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
買いものの好きなお銀は、出たついでにいろいろなものをこまごまと
擁
(
かか
)
えて、別の通りから
冴
(
さ
)
え
冴
(
ざ
)
えした顔をして家へ帰って来ていた。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
夫を、兄弟を、あるいは情人を送ろうとして、熱狂した婦人がその列に加わり、中には兵士の腕を
擁
(
かか
)
えて
掻口説
(
かきくど
)
きながら行くのも有った。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
各
旨
(
うま
)
い物を
竊
(
ぬす
)
んで少しも自ら味わわず病猴に与え、また
徐
(
しず
)
かにこれを抱いて自分らの胸に
擁
(
かか
)
え、母が子に対するごとく叫んだが、小猴は病悩に耐えず、悲しんで予の顔を眺め
十二支考:07 猴に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
その時反絵の眼には、
白鷺
(
しらさぎ
)
の羽根束を
擁
(
かか
)
えた
反耶
(
はんや
)
の二人の
使部
(
しぶ
)
が、積まれた裸体の鹿の間を通って卑弥呼の部屋の方へ歩いて行くのが見えた。反絵の拡げた両手は、だんだんと下へ下った。
日輪
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
▼ もっと見る
生徒は私の言った意味を何と
釈
(
と
)
ったか、いずれも顔を見合せて笑った。中には妙な顔をして、頭を
擁
(
かか
)
えているものもあった。
千曲川のスケッチ
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
あの
挿話
(
エピソード
)
は誰に聞かしたつて腹を
擁
(
かか
)
えるだろう、この
悪戯者
(
いたづらもの
)
はその翌日看守長から鹿爪らしく呼び出された、それはかうだ。
桐の花
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
不思議な動物や
活
(
い
)
き人形などがお増の目にも物珍しく眺められたが、電車の乗り降りなどに、子供を抱いたり
擁
(
かか
)
えたりする浅井の父親らしい様子を見ているのが、何とはなしに寂しかった。
爛
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
予ク公の言の虚実を
試
(
ため
)
すはこれに限ると思い、抜き足で近より見れば、負傷蟹と腹を
対
(
むか
)
え近づけ両手でその左右の脇を抱き、親切らしく
擁
(
かか
)
え上げて、
徐
(
そぞ
)
ろ歩む友愛の様子にアッと感じ入り
十二支考:04 蛇に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
宿の女中から貰った杉菜や、生椎茸を
擁
(
かか
)
えて彼は山小屋の方へ登った。
旅愁
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
と節子が家の方から洗濯物を
擁
(
かか
)
えて来て
一寸
(
ちょっと
)
岸本の二階へ顔を見せた。彼女は父がこの二階で話したことを心配顔に
訊
(
き
)
いた。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
パナマ帽に黒の上衣は脱いで、
擁
(
かか
)
へて、ワイシャツの、片手には鶏の首のついたマホガニーの農民美術のステッキをついてゆく、その子の父の私であつた。
白帝城
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
子が階段を昇ると母はその後から蒲団を
擁
(
かか
)
えて昇った。
火
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
それほどに
好
(
す
)
きで、
抱
(
だ
)
き、
擁
(
かか
)
え、
撫
(
な
)
で、
持
(
も
)
ち
歩
(
ある
)
き、
毎日
(
まいにち
)
のように
着物
(
きもの
)
を
着
(
き
)
せ
直
(
なお
)
しなどして、あの
人形
(
にんぎょう
)
のためには
小
(
ちい
)
さな
蒲団
(
ふとん
)
や
小
(
ちい
)
さな
枕
(
まくら
)
までも
造
(
つく
)
った。
伸び支度
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「あっはっはあはあ、そりゃ困る。」と庄亮が両手で頭を引っ
擁
(
かか
)
える。やあぁとその上で手先きを
揉
(
も
)
み上げる。
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
終
(
しまい
)
には皆さんが泣くような声を御出しなさると、尖った鼻の御客様は頭を
擁
(
かか
)
えて、御座敷から逃出しましたのです。
旧主人
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
そこでこの肥って善良な七面鳥が奥の室から
廉物
(
やすもの
)
の蓄音機を、耳環をちらちらで
擁
(
かか
)
え出して来て、窓際の小さな
卓子
(
テーブル
)
に据えると、煤色の大きな
喇叭
(
ラッパ
)
の口を私たちの方へ差向けたものだ。
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
お俊はお延と一緒に、風呂敷包を
小脇
(
こわき
)
に
擁
(
かか
)
えながら帰った。包の中には、ある呉服屋から求めて来た
反物
(
たんもの
)
が有った。
家:02 (下)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
だらしなく
擁
(
かか
)
へ出されて
薫
(
かを
)
りたる
薄黄
(
うすき
)
の、赤の
乳緑
(
にふりよく
)
の、青の、
沃土
(
えうど
)
の
東京景物詩及其他
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
種夫に着物を着更えさせて、電車で
駒形
(
こまがた
)
へ行った時は、橋本とした
軒燈
(
ガス
)
が石垣の上に光り始めていた。三吉は子供を抱き
擁
(
かか
)
えて、
勾配
(
こうばい
)
の急な石段を上った。
家:02 (下)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
大きチエロ立ち
擁
(
かか
)
へつつ夜は
明
(
あか
)
し押しあてて
弓
(
きゆう
)
のいまだしづけさ
夢殿
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
雨戸の外では、
蕭々
(
しとしと
)
降りそそぐ音が聞える。雨は
霙
(
みぞれ
)
に変ったらしい、お雪は寒そうに震えて左の手で
乳呑児
(
ちのみご
)
を抱き
擁
(
かか
)
えながら、右の手に小さなコップを取上げた。
家:02 (下)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
かい
擁
(
かか
)
へかやの実ひろふ朝寒し子が
掌
(
て
)
にもしかと一つ持たしつ
風隠集
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
あの大きな風呂敷包を背負って毎朝門前を通った
噂好
(
うわさず
)
きな商家のかみさんのかわりに、そこには
薪
(
まき
)
ざっぽうのような
食麺麭
(
しょくパン
)
を
擁
(
かか
)
えた仏蘭西の
婦女
(
おんな
)
が窓の下を通った。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
大き籠を
擁
(
かか
)
へ来ましぬ蜜柑なりいまだ
馴染
(
なじ
)
まねど友が母刀自
風隠集
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
この青年が中学の制服を着けて、例の浅間土産を手に提げて、
名残
(
なごり
)
惜しそうに別れを告げて行く朝は、三吉も学校通いの風呂敷包を
小脇
(
こわき
)
に
擁
(
かか
)
えながら、一緒に家を出た。
家:01 (上)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
立ちかまへ
擁
(
かか
)
ふるチエロは黄褐の女体なり
弓
(
きゆう
)
のかいなづる胸
夢殿
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
隠居は烏帽子を
擁
(
かか
)
えたまま自分の部屋の方へ逃げて行った。お種もその後を追った。
家:01 (上)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
目籠
(
めがたみ
)
擁
(
かか
)
へ、
黄金
(
こがね
)
摘
(
つ
)
み、袖もちらほら
邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
翌々日、相川は例の会社から家の方へ帰ろうとして、復たこの
濠端
(
ほりばた
)
を通った。日頃「腰弁街道」と名を付けたところへ出ると、方々の
官省
(
やくしょ
)
もひける頃で、風呂敷包を小脇に
擁
(
かか
)
えた連中がぞろぞろ通る。
並木
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
にくいあん畜生と、
擁
(
かか
)
えた猫と
思ひ出:抒情小曲集
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
猫を
擁
(
かか
)
えて夕日の濱を
思ひ出:抒情小曲集
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
擁
常用漢字
中学
部首:⼿
16画
“擁”を含む語句
抱擁
擁護
相擁
簇擁
擁護者
擁立
相抱擁
包擁
雪擁藍関
豪歩簇擁
繁擁
雪擁藍關馬不前
雪擁藍関馬不前
求児擁護
擁遏
擁護愛愍
一擁
擁護人
擁済会
擁書楼
...